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嗚呼、インプット不足。

彼女が購入した、雑草育成キットが根腐れをおこしかけている。
育ちが遅いものの、ゆっくり茎や葉を伸ばしていた草が、数日前から根元の方からくったりと倒れてしまい目に見えて元気がない。

「もうこのまま枯れちゃうのかな」

農家育ちの割にロクに植物を育てた経験のない僕。彼女も何等かの植物を育てているところは正直これまで見た記憶がない。
そんなふたりの蒔いた種は順調には育ってくれないようだった。

余った種を再度蒔いてみようと思ったけれど、残念なことに余った種はゴミ箱行きにしてしまっていて後の祭り。

残念そうに小さなブリキバケツに入った小さな芽を見ていた彼女は、思い立ち、販売元に相談したようで。
「不良品ならともかく、育て方の相談ってのってくれるのだろうか」
と思ったけれど、そんなのおそらく彼女だって既に考えたことだろうから言葉を飲み込んだ。

なんとなく、残念な結果にならなければ……なんて考えていたけれど、そうやらそれは杞憂だった。
販売元から、おそらく土が乾く前にたっぷり水をあげていたことが原因で根腐れをおこしかけているのだろうとの見解が彼女へと丁寧なメールで届いたのだ。
代わりの種を送ってくれる約束とともに、まだ大丈夫かもしれないから風通しのいい窓辺で土をしっかり乾かしてあげて欲しい、とブリキバケツの中のかわいい草が復活する可能性を添えてくれていた、と喜びのLINEが彼女から届いた。

実は僕も草にこっそり水をあげていたので、原因は僕なのかもしれない。
リモートワークの日は日当たりのいい僕のデスク横の窓辺に、草を移動していて。あんまり日が当たるもんだから、心配になってつい水を追加してしまっていた。
もちろんそのこともちゃんと謝った。僕も水をあげていたんだと。

乾きすぎてもだめだし、水をあげ過ぎてもだめ。
「過ぎたるは───」
なんて言葉は本当に正しいのだと、こういう時に心底思わされる。


僕という草はと言うと、このところなんとなくインプット不足を感じていて。
書きたい世の中の問題はいつも同じで、正直いうと堂々巡りになってしまっている。ハンドメイドに関する記事は幸いなことに自分の中でハンドメイド熱が再燃していることから、執筆案の提出も比較的好調。しかしいつか案が底をつくこともわかりきっていて。
本棚を眺めても、ラインナップがどうにも愛しいお馴染みのメンバーばかり。出会いというインプットが欲しい。

映画でもマンガでも、なにかもっと別の何かでも。もちろんそれが人や体験だっていい。
何かを出していくにしては今の僕は「今あるもの」で満たされていて。それはそれで幸せで良いことなのだけど、手の中にあるもの以外に思いを馳せたり楽しいことにアンテナは伸ばしていないと。いつか枯渇するから。

スランプともまた違う、こういう明確なインプット不足な時って、みなさんどうしてるんでしょう。
本屋に立ち寄る?人に会う?それともウォッチリストの消化?出来ることはきっといっぱいあるんだろうけど。
満足しているからこそ書けることもいっぱいあるだろうけど、紐解くきっかけや取っ掛かりがなくつるんとしてしまっているのかもしれない。

こういうのを、根腐れをおこしかけてる状態と言うのかもしれない。
水をたっぷり含んで、乾く間もなく幸せを享受して。
……いや、こんなありがたい状態を「根腐れ」なんて、失礼な話だね。
試しに、改めてたっぷり新しい水を含めるようにからっと完全に乾いてみるのも良いのかもしれない。日の光をたっぷり浴びて、からっと。

明日晴れるようなら散歩にでもいってからっとしてこよう。



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