入院しました。

4月1日。エイプリルフール。
嘘みたいなことが起こった。

21時。仕事を早めに切り上げて、某大手商社グループに新卒で入社した友達と日本橋でご飯を食べてきて自宅がある早稲田に帰ってきた。

駅から徒歩一分のところに自宅があるので、駅の出口あたりで鞄から鍵を取り出そうとする。

ない。鍵がない。

会社に忘れたのだと気付き、ダメ元で会社に電話してみる。誰も出ない。あぁ、みんな帰ったのかと思い諦めた。家の鍵と会社の鍵は同じチェーンに付けている。家にも会社にも入れない。金曜日の夜。次の日は上野公園で友達と花見をする約束をしていたので何とかして家に入りたいと考えた。

この状況を打破するために何ができるか、何をすべきか。

鍵の110番に頼もうか…。
いや、あれ3万くらいかかるし、コスパ悪すぎる。

同僚の人に会社の鍵を借りようか…。
いや、金曜日の夜だ。みんな飲みに出掛けてて迷惑をかけてしまうだろう。

大家さんに電話しようか…。
大家さんの電話番号知らねぇや。。。

窓から侵入しようか…。
いやいや、24歳でこんな恥ずかしいこと…

これだ!!!

ということで自宅(アパートの2階)の窓から侵入することにした。私の窓の鍵はいつも開いている(謎)ので窓からはいつでも入れるのだ。

アパートの前まで来て確認する。見える。見えるぞ。自宅までの到達ルートが。一階の塀をよじ登り、水道管をつたって上がり、窓の手すりを掴んで家に入る。へへっ。浪速のアルピニストの血が騒ぐってもんよ。

もちろん。不安もある。不審者と勘違いされるのではないか、小雨で濡れているので滑りやすくなっているのではないか、築55年のオンボロアパートが耐えきれるのかどうか。ええい。そんなこといくら考えても仕方ない。そう思うと同時に塀に足をかけていた。

塀に立って改めて我が家を見つめる。その距離およそ2メートル。いける!と確信し、水道管をつかむ。少し揺らして確認してみると割りとしっかり固定されている。そのまま水道管に我が身を任せよじ登る。手を伸ばせば我が家の窓の手すりが届くところまで来た。あとひとつ。あとひとつ。頭の中ではファンキーモンキーベイビーズが再結成されて名曲が流れている。

手すりを両手で掴み体重を徐々に移動させる。持てる限りの握力を使い、水道管から両足を離した。手すりにぶら下がっている状態だ。毎日ジムで懸垂をしているからか思っていたより辛くはない。そのまま手すりに足をかければもう家だ。そう思ったその時だった。手すりを支えていたネジが外れ、ガシャンという音ともに手すりはねじ曲がった。それと同時に私は我が家への侵入を拒絶された。

21時30分。
救急車が目の前に来ていた。私は緊急隊員の質問に答えていた。そう、我が家まで残り30センチというところでアパートから投げ出された私は、春の小雨が降る夜の早稲田で宙に舞った。高さ3メートルからアスファルトに着地した瞬間、グキッという今までに感じたことのない音を右足が奏でた。ファンキーモンキーベイビーズと同じく、私の右足の骨と靭帯も解散してしまった。

その後は、音を聞きつけたアパートの住民が駆け寄り、救急車を呼んでくれて、最寄りの大型病院に緊急搬送された。

そのまま搬送された先でレントゲン、MRI検査を済まし、診断された結果が右足の骨折と靭帯の損傷。担当医によると来週の手術(ライブ)で、私の右足の骨と靭帯は金属チタンプレートという新規メンバーを向かい入れ再結成を目指すとのこと。

花見も行けない。雨には濡れる。骨は折れる。自宅の窓の手すりは壊れる。アパートの住民に不審がられる。入院と手術の費用が必要になる。看護婦に事情を話して笑われる。
不幸過ぎるわ!!!!

皆様、今年度もよろしくお願いいたします。

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