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巻の話(ベーゴマ考50)


いろんな巻き方

ベーゴマの巻き方、
はじめてベーゴマをやってみようとした時に最初の難関はやはり「巻き」である。
日本の独楽と異なり、芯棒がないベーゴマは、紐をかける起点になる場所がない。

そのため、
紐に団子をつくり
その団子をつかって、芯棒のかわりになる引っ掛かりを作るところから始まる。

これがむずい。
初めての人は、紐を固定する感覚が難しく、ズレてしまうのだ。

初めての時は、紐を全部濡らして、
絞ってからやると紐がずれにくい。

あらためて調べてみると
ベーゴマの巻き方もいろいろあって
現在わかっているだけで
五種類に分かれる。
こんかいは「巻き」5種盛りの話
(ここでは高知、北海道など、ベーゴマ文化の端にあたり、巻き方を知らない子どもたちのための、芯付きべーの独楽の巻き方は除外する)

①女巻き

難易度・⭐️⭐️
普及率・⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(全国)

一番メジャーな巻き方で、ベーゴマを購入するとこの巻き方の説明書がついてくるのがほとんどである。

紐の形状は
尻尾があって、団子が二つ。
その団子の真ん中をお山の頂上に合わせるように一周巻いて、時計と反対周りにまく。

児童館でつくった「女巻き」の巻き方

女巻きの強みは
内投げのため、目標物(床)との距離を計れて、すっぽ抜けにくい。
ベーゴマが廃れた要因のひとつに
・ガラスを使った窓の増加
があるため、コントロールのしやすさという要素は大きい。

また、
上からつまむようにして持つため、
相手に潜り込むための
「角付」がしやすいことも
大きな特徴ともいえる。

②男巻き

難易度・⭐️⭐️⭐️
普及率・⭐️⭐️⭐️

女巻きと違って
紐の形状が、
尻尾の先に団子が一つ、それからベーゴマを一周した先に団子がもう一つ。
つまり回ってきた団子と先の団子でひっかけるように芯をつくり、時計と反対周りに巻く。

こち亀などでは
「男まきの方が強い」という。
男巻きのポイントは
山の頂点の両側に団子を配置して
キリキリと締め上げることで
巻きが固くつよくなる。

ただし、
その締め上げる際のベストな団子の幅はプレイヤーにもよるだろう。

ということは、
たとえば低い加工のベーゴマになると
団子のベストの位置がかわってしまうということだ。

どんなベーゴマでも巻ける
他の巻き方に比べると汎用性には欠けると言えるだろう

ベーゴマの回転力をあげるために
ひっかけるほうが強い感じはする

ベーゴマの勝ち負けは
巻きだけでなく、加工や投げ入れ方にも左右されるので、一概には言えない。

男巻きの方が指導がしやすいと
言う話も聞くので、
また男巻きでの指導もしてみたい

③十字巻き

難易度・⭐️⭐️⭐️⭐️
普及率・⭐️⭐️(関西)

十字巻きの紐はお団子一つだけがあり、ベーゴマのお山の頂上から荷造りのように巻く。

バイとよばれた関西の巻き方は「十字巻」と呼ばれるもので、
「バイやん、むっちゃ懐かしいわ」といいよる、関西のおっちゃんはみんな
十字巻き
そのため私の紐は
片側が女巻き用に、片側が十字巻きようになっているのだ? 
先日の倉敷遠征で
十字巻きがかなり上手い子どもたちにであった。
十字巻きであんなにリキ入れた状態で
私は回せない。
十字巻きは外投げでコントロールも難しいからだ。

私自身、はじめてベーゴマに触れた大学時に「十字巻き」だった
その後、兄弟子のたけちゃんにであって矯正されるまで「十字巻き」使いであった。
兄弟子と酒を飲みながらこま談義してて、指導しやすく、かつ距離感を測れてすっぽ抜けにくい「女巻き」に変更した経緯がある。

十字巻きは団子が頂上からはじまる
一周巻いて団子で華麗にカーブ
十字になるように巻いていき、団子ごとつまんでヒネって起点を固くする
で、時計と反対まわりにまく。
ネットから参考(反時計まわり)

今思うと、江戸期からの資料に
バイ貝の独楽時代は書いてあれど
その巻き方については
何の記載もない。

しかし、
昭和初期ごろの
話をきいていくと
同じ上方という地域で伝承されたと
考えると
もともとの貝独楽時代の巻き方は
「十字巻」だったと
考えるのが自然であろう。

説明書は
時計と反対巻きで描いてあるが
実際は、時計巻きのひともいた。
回転が同じになった方が
相手の回転力を吸収することがなく
弾き合うので、相手の巻きの方向にしゃあないからツワモンがそろえることは大事であろう。

またいちぶの人は
この十字巻きのことを「ち○こ巻き」と呼んでいたようだ。
形状が関東の男巻きと似ているからか 
子どもの発想は古今東西どこも同じである。

④川字巻き

難易度・⭐️⭐️⭐️
普及率・⭐️(特定の地域か)

以前、近代的なベーゴマであるメカベーの会社のHPにのっていたのがこれ、「川字巻き」
理屈としては、尻尾の根本に団子1つ(大きめの団子がやりやすい)で写真のように2周半ベーゴマにまわして、団子を中心に巻くようだ

唯一残っていた写真
(メカべーのページにあったもの)
この雰囲気が「川字」

こちらは、実際に巻いて回すことができた。しかし、団子1つのため締める感が薄く、練習しないと固く巻いてリキを入れることができない。

このようなご当地巻きがほんとは
もっとあったのかもしれない。

⑤井の字巻き

難易度・⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
普及率・⭐️(特定の地域か)

これもネットで出てきたので紹介。
何で回るのかよくわかんない。
イメージとしては
荷造りにちかいから、十字巻きの変形といったところか
しかし、巻き方がむずかしい。
そして、私は何度やってもまわらない。
リキをいれてまわせるのだろうか。
…できるんやろな。練習してみよう。

素晴らしい説明(ネットから)
確かに「井の字」

下の動画では井巻きでまわしている。
これは特定の地域なのかもしれないが、わたしはまだ回せない。
練習します。

ち○○巻き・ま○○巻き

94巻ベーゴマ名人両津
日三辻井さんとのやりとり
纏ちゃんとのやりとり

巻き方の話で避けて通れない話題であるが、
これはこち亀の94巻
「ベーゴマ名人両津」の項や、ほかの巻でもでてくるので有名になった話であるが、
もともと男巻き・女巻きという名ではなく、それぞれの性器の形状をもとにしたもっと直接的な名称であったというのだ。
男巻きにいたっては、確かに団子二つの真ん中にしっぽがどーん。関西の十字巻きも同じような形状(尻尾がたつ)になるので地域によってはち○こ巻きと呼ばれる。
小さな子どもたちがそんな言葉を連呼するのは保育士であり、現在も子どもに関わる仕事をしている私にとっては
日常茶飯事ではあるが、
大人に忌み嫌われた路地裏の遊びのなかで子どもだけの呼び方がのこっていたのかもしれない。

まんがの中で、呼び方を
「男巻き」「女巻き」と改めるところが出てくるが、こち亀が名称の変更に大きな役割を果たしたのは間違いないとおもうのだ。

ちなみに私はこち亀からベーゴマをしったので、こち亀がないとベーゴマをしていない。

ありがとう
こち亀


しかし、いまだに
なかなかこどもたちに
「なんで女巻きっていうん?」っていわれても説明がむずい。

初代ベーブレード

巻き方が難しすぎる
という問題は昔からあったようだ。
上の写真は
初代ベーブレードともよべるもので、
いままでお師匠さんの独楽博物館と愛媛の岡本さんのところを含め数回しか実物をみていない。
私は二つもっているが、戦後一大ブームとなったころのものではないだろうか。

Y字型の治具に鉄の独楽を置き、紐を巻いて回転させ、治具をコテンとひねって床入れする。

そこまで世の中に存在しないということは、そこまで数はつくられなかったのであろう。

芯付きバイ

そして、
土佐高知や北海道で使用が確認された
芯付きバイであるが
これも、巻き方難しい問題からの変形といえる

つまり、ベーゴマに馴染みがない地域であっても
芯があることで独楽の巻き方で対応できるようにしたことは興味深い

高知から大量に芯付きバイがでて
その内容を調べた際に、
中に数個の通常の加工されたベーゴマがあった。
引越しなどの影響で、違う地域のベーゴマ文化が入って、加工方法など
当時の子ども達が交流しあったことが垣間見える。


伝承遊びのメリットは
こんなんしててん、
こんなんしっとう??
と見たり聞いたりしたことを
自分のフィールドで行う中で
細かなルールなど
不明点が出てくる

そこで、
今回はこうしよう!
と独自のルールの派生が生まれるわけだ。

いろんな地域に
いろんな巻き方があって、
いろんな掛け声があって、
そこには
こどもたちの交流と
白熱した床の上での戦いや涙があった
だろう。
それを考えるだけで
わくわくしてこないだろうか。

さぁ
ベーゴマまわそうぜ!

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