見出し画像

恐怖の恵方巻き



年齢とともに
嚥下機能が低下したのか
噛まないのがあかんのか
やばすぎる食べ物が増えてきた。

インスタントの焼きそばと
おにぎり(というか海苔)
この2大である

その結果
人生の試練恐ろしい行事No. 1
に躍り出たものがある

「恵方巻き」
である。

関西に出てきて、
はじめて恵方巻きの文化を知った時
一息で食う
と勘違いしてて、
関西人はなんとも我慢強い人種だと思ったのだ。

正式には
恵方巻きとは、節分に恵方を向いて無言で食べると良いとされる、切り分けられていない太巻き寿司のこと。

とあるので、
一言もしゃべらず…方向を向いて…もくもくと長い海苔巻きを食べるのだが

嚥下機能低下のおっさんにして
この行為は鬼畜の所業である。

今年の恵方は「東北東」
帰ってきてから
こころ穏やかにしずめて
静かに太巻きを両手で持つ…
もしかしたら
これが最後の会話になるかもしれない

方向どこや?
カーテンの空いてる隙間くらい
…わかった…

いくぞ

頭の中で静かにゴングが鳴り響く
今年も戦闘開始だ

頬張る

くっ…

太い…

しかし負けない。

三分の一に差し掛かった時
喉が悲鳴をあげる

やばい

く…苦しい。

海苔という海苔が
喉の中に積層して詰まっているが如く
進んでいかない。

「…タスケテ」

といいたいが
恵方巻きは
喋ってはいけないルールである

なんということだ
絶望というふた文字が
頭の中に浮かんで消えていく

意識が遠のく…

そのとき、
娘がお茶をいれてきた。

「健康願って死にそうなってるで

そんな時まで喋らんルール適用せんでええねん。」

その通りだ。

湯呑みを手に取り
お茶の救援により
海苔を追いやる

娘の援護射撃により
どうにか
海苔部隊を奥に追いやることができた。

ゴールがみえてきた。

今年も、長い戦いがおわる。

…勝った。
際どい勝利であったが
家族の協力もあって
なんとか勝利を掴んだ。

ふぅ…
大きく息を吐き
残りのお茶をのみほす。

詰まっていた海苔は見る影もなく
お茶が喉を潤してゆく。

ご馳走さまでした。

私的には餅より強敵やとおもう。
日本人は
風習とか
縁起とか
迷信に弱い。

短くてもええやん
切ってしまおう。

そして、
死にそうな時は
ちょっとたんま
「お茶」

とさけぼう。

そして、
よく噛んで食べよう。

高齢者にとって
海苔ほど怖いものはない。

今後も恵方巻きで
死人がでないことを
切に願う。

#恵方巻き
#海苔が怖い
#嚥下機能低下
#関西文化

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?