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80's FACTORYよ永遠に (福岡の音楽シーンを支えたメディア、ライヴハウスについて〜その④)

福岡市長浜にあったライヴハウス、80's FACTORY(1979/8/1〜1982/3/31)について、下記の内容で書きました。

【80's FACTORYの閉店】
【スタンディングのステージを最初にやったのはTHE MODS】
【80's FINAL】
【そして25年後〜80's FACTORY 25】
【忘れられない場所、心に刻まれた日々】


【80's FACTORYの閉店】
今から42年前、1982年3月31日。長浜公園の隣にあったライブハウス、80's FACTORYが閉店しました。この日が最後という事で「80's FINAL」と題されたライヴが行われました。
出演バンドは
ヒップス
マーキーズ
フルノイズ
ザ・モッズ

ヒップス(雑誌ブルージャグより)
マーキーズ(ブルージャグより)
フルノイズ(ブルージャグより)

【スタンディングのライヴ】
80'sがオープンしたのは1979年8月。80年代の音を作る「工場」を目指してネーミングされました。

当時を知る人には懐かしいロゴ
正面入り口はこんな感じでした

オープン日の出演バンドはモッズとロッカーズ

オープン時のポスター

ルースターズ、ARB、シーナ&ザ・ロケッツといった福岡出身でデビューしたバンドはもちろん、モダン・ドールズ、フルノイズ、マーキーズなどの地元人気バンド、そしてアナーキーや生活向上委員会、もんた&ブラザーズといったプロも出演していました。デビュー前のコンベンション会場としても使用されていたようです。

1979年12月のライヴ・スケジュール
(ブルージャグより)
ロッカーズ(ブルージャグより)
チケットはオリジナルで作られていました
SONHOUSEの歴史を貴重な音源と写真で紹介したイベント
HISTORY OF SONHOUSE

80'sで最多出演はモッズ。最初の頃は椅子とテーブルが置かれ、お客さんはステージを見上げてました。それを「スタンディングのステージがしたい。椅子を全部取っ払って自由に動けるごとしたい」と店長の伊藤エミさんに言ったのは森山さん(ブルージャグNo.7の記事より)。福岡の地で、あのライヴのスタイルを作ったのは紛れもなくTHE MODSです。

【80's FINAL】
80's FINALに話を戻します。
開場前に並んでたら通りの向こう側からモッズのメンバーがこちらを一瞬覗きました。大声で叫んだら手を振って応えてくれました(^^♪ ヒップスの大田黒恵美さんは「今日で最後やけん、店の壁が少々壊れてもいいけん」と言ってましたが、本当に超満員のお客さんが入ってました。マーキーズ、フルノイズの熱演も終わりいよいよモッズの登場。「COUNTER ACTION」でスタート。前日が森山さんの誕生日だったので「ハッピー・バースデイ」を即興演奏しながら皆で大合唱。少しリラックスしたムードで特別な夜を噛み締めてました。アンコールで「TWO PUNKS」を全員で歌いました。森山さんもMCで言われてましたが、無くなるのは非常に残念だったし、お店を出る時とても寂しかったのを今でも覚えてます。でも自分にとって「決定的なROCK体験」だったのは間違いありません。

80'sの最後はTHE MODSで…(ブルージャグより)

80'sでは、いつもライブを見て帰るだけでしたが、もっと大人になってライブ中にお酒を飲んだり騒いだりしたかった。そんなちょっと上の世代の大人たちが羨ましかった。

【そして25年後〜80's FACTORY 25】
そして時は流れ、2007年3月31日。閉店から25年を記念して『80's FACTORY 25』というイベントがCBで開催されました。80'sにゆかりのあるバンドマンが出演。店長の伊藤エミさんを中心に当時のスタッフが集まり準備から実施までを行い、僕もお手伝いしました。これは楽しかったです。PRのため、開催に向けて準備しているところを取材して特番も作りました。

スタッフ用PASSと入場者に配布したバッジ

出演は 
岡部鉄心BAND(ex おっしょい)

おっしょい

THE MARQUEES

マーキーズ
ボーカルは、いときゆきさん

ボーン タツヤ(ex LAST SCENE)
THE GRASS
石橋凌三喜彦(ex ハカパラ)
 メンバー:花田裕之、穴井仁吉(ex THe ROCKERS)、川嶋一秀
森山達也(from THE MODS)
 メンバー:北里晃一(THE MODS)、花田裕之(ROCK'N'ROLL GYPSIES)、川嶋一秀(SHEENA & THE ROKKETS)、佐々木モトアキ


トリのスペシャル・バンドがプレイした曲は
Chinese Rocks
Boom Boom
I Wanna Be Your Dog
Brand New Cadillac
(encore) Route 66


R&Rの塊のような演奏でした。アンコールのRoute 66で、森山さんが花田さんに「行けっ!」って目線を送って花田さんがソロを弾く場面は痺れました。このメンツが集まったのは奇跡に近いですし、今のところこの時だけ。80'sへのリスペクトがあるから実現したイベントです。終演後も出演者やスタッフが懐かしそうに語り合ってました。博多弁飛び交ってました。そして、「じゃあ、また…」と言いながら帰って行きました。

【忘れられない場所、心に刻まれた日々】
同じ時代を過ごした仲間たちにとって、80's FACTORYは、もう戻れないけれど、「永遠の青春の場所」なのかもしれません。懐かしむだけではなく、忘れられない日々が誰にでもあるのです。

モダン・ドールズの『ブラインド越しの俺達』は80'sのことを歌った曲ですが、こんな一節があります。

いつも俺達が吹き溜まった
あのLIVE HOUSE
今じゃ跡形もなく
安酒場に変わっちまった
思い出は心の中に 
思い出の場所は消えてゆくものさ
友達は喧嘩もしないのに 
みんなみんな離れていってしまった
ブラインド越しの俺達の幻が 
夜の静寂の深みの中に
遠ざかって消えてしまった
Time waits for no one


『ブラインド越しの俺達』


このベスト盤で聴けます

my note #77

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