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The Red Pill 感想

 今年の8月、ついに数年前から、個人的に観たいと密かに思っていたドキュメンタリー映画が、手に入りました。

 アメリカで作成・公開された映画なので、英語字幕・英語音声しかなく(しかも、字幕全部大文字で読み辛かった。)内容理解するのに結構時間がかかりましたが、わからないところのセリフを機械翻訳しながらも、概ね映画全編の内容が理解できたので、映画のレビューをブログで記載していきます。

 この映画、これからアマゾンとかでDVD買ってからみるよん♪って方は、少しだけ、ネタバレ注意です!!

 そしてもちろん、この映画みたぜ!って方は是非この記事をお楽しみください。





THE RED PILL  主な登場人物 キーパーソン

 

 ●キャシー・ジェイ さん Cassie Jaye 

この映画の制作者及びインタビュアーです。彼女は18の時に女優になるために、ハリウッドに行き、ゾンビに襲われる女性の役などをもらって活躍していましたが、プロデューサーや写真家などに嫌がらせを受けたことにより、女優をやめて、2008年頃からドキュメンタリー映画の作成をしていました。

その活動を始めたての頃の殆どの仕事は、女性の問題に関するものばかりでしたが、活動を続けていく内に、シングルマザーの権利やLGBTの権利問題など、女性の権利問題だけではなく、他の問題も取り上げました。キャシーさんは、2012年に結婚の平等についての映画を公開した後、ネタ切れになってしまい、何をとりあげていいのか分からなくなった時、オハイオ州の事件やインドの「レ●プカルチャー」について、調べていたら、『A VOICE FOR MEN』というサイトが出てきました。

そのサイトは、インドの「レ●プカルチャー」の矛盾している部分の指摘や、フェミニストに対する批判などが、書かれてありました。キャシーさんは、そのサイトを閲覧して、『私がいままで女嫌いであると思っていた物には、非常に多くの賛同者がいるのかもしれない…』と考え、このドキュメンタリー映画を作成しようと考えたそうです。


 ●ワレン・ファレルさん Warren Farrell

 アメリカの社会学者であり、マスキュリズムの主唱者。映画の中のインタビュイー(インタビューされる人)の内の一人。



 ●ポール・イーラムさん  Paul Elam

『A VOICE FOR MEN』の創設者、映画の中のインタビュイー(インタビューされる人)の内の一人。本名である、Elamを逆にするとMale(男性という意味)になる。



 ●ディーン・エズマイさん Dean Esmay

 アメリカの俳優、『A VOICE FOR MEN』の元編集長、インタビュイー。



   ●ジョー・マンシーさん  Joe Manthey

 男性の権利活動家、インタビュイー。



   ● フレッド・ヘイワードさん  Fred Hayward

 男性の権利活動家、インタビュイー、元妻に親権を奪われた方。



   ●キャサリン・スピラーさん  Katherine Spillar

    フェミニスト・マジョリティの共同創設者兼常務理事、インタビュイー。



    ●マイケル・メスナーさん  Michael Messner

 ジェンダー社会学者、インタビュイー



     ●エリン・ピジーさん  Erin Pizzey

 元フェミニスト・男性の権利の擁護者、家庭内暴力の提唱者。インタビュイー、史上初の女性用シェルターを設立。



 ●カーネル・スミスさん  Carnell Smith

 男性の権利活動家、11年間、不当に自分のDNAが入ってない子供に養育費を支払ってしまった方。



THE RED PILL  感想


 アメリカって国民の権利意識がすごい国で、それをすごく実感させてくれる作品でした。特にハリウッドドラマやディズニーのような、フィクションではなく、リアルな人間の社会問題を描いたドキュメンタリー作品なので、そういったアメリカの権利意識の強さも、より一層映像越しに、リアルに伝わってきました。

 ワレンさんが、トロント大学で男性問題の講演会を妨害する時のフェミニストグループの暴動は、非常に激しく、映像越しで、「ここまでするのか…」と感じました。(フェミグループの人が、ファ○クスカン的なこと、すごい言ってたんで、そのシーンは結構記憶に残ってました。笑)

 あと、それと講義のために、大学の火災アラームをフェミニストが違法に鳴らして、講演会の妨害をしてたりしました。正直かなりやりすぎだなと思いましたね。

 この作品では、親権問題についても取り上げられていましたが、日本でも両親が離婚した時は、母親側が親権を獲得することがほとんどですが、アメリカでも似たような状況みたいです。(親権を持つ側 女性が81.6% 
男性が18.3%  2011年の古いアメリカのデータなので、今では状況が少し変わってるかも…)

 映画の中で出てきた事例の中で、あまりにも酷いなと思ったエピソードがありました。それは、15歳の男の子をレ●プして刑務所に入れられた35歳の女が、出所した後、その被害者男性から養育費を取ることができた。という事例でした。(そもそも、日本だったら、その女執行猶予になってそう…)被害者側が慰謝料を払わなければいけない状況ってどういうこと?って感じですね。アメリカの男性差別もかなり深刻ですね。

 また、男性のDV被害やDVの冤罪被害の深刻さについても、取り上げられていました。アメリカでは、家庭内暴力事件が起きた時、警察は男性には事情を尋ねずに、問答無用で連れていかれることが、ちょくちょくあるみたいです。

 息子が14歳の時に、元妻に親権を奪われてしまった、男性の権利活動家のフレッドさんは、元妻に何度か暴行を受けており、出血した状態で、警察に行ったそうです。そしたら警察は『元妻が再び殴り始めたら、あなたは早く家から出て行った方がいい、なぜなら、もしまた元妻があなたを殴ろうとして、彼女の爪が壊れたら、あなたを逮捕しますから。』とフレッドさんに言ったそうです…

 つまり、被害男性側が出血するぐらいまで、暴力を振われていても加害女性は逮捕すらされず、むしろ逆に抵抗して、少しでも女性側に傷がついたら、逮捕されてしまうということです。これは酷いですね。

 アメリカでは、2000を超えるDV被害者用シェルターがあります。しかし、そのほとんどのシェルターが女性用で、男性用のシェルターはなんと1つしかないそうです!!(2016年時点) アメリカでは、女性の3人に1人、男性の4人に1人が、生涯にわたって、パートナーによる身体的暴力の被害者になるらしいです。確かに、女性の被害者の方が少し多いけど、シェルターの数の多さに偏りが多くないですか…?これは男性差別だと言わざるを得ないんじゃないですか…

 それから、アメリカの全自殺の78%は男性だそうです。もし、それを考慮して自殺予防のサービスの殆どが、男性のためのサービスであったら、すぐに女性差別の問題として挙がっていたでしょうと、作中でキャシーさんが言ってました。

 作中でかなり印象に残ったシーンは、世界で初めて女性用の家庭内暴力シェルターを設立したエリンさんが『ほとんどのDVは、男も女もどっちもどっちでしょー 女性は男性と同じぐらい暴力的だよん💗(こんな口調ではないけど…笑)』って言って、彼女が設立したシェルターから追い出されたというエピソードです。

 上記のエピソードに対して、フェミニストのキャサリンさんは、『いやいや、妻の暴力は、夫に対する抵抗でしょw正当防衛だー』的なことを言ってましたが、私はエリンさんの方が正しいなと思います。そう思う理由は、エリンさんは最前線の現場の経験を経てから、意見を述べている感じがしたからです。

 エリンさんは、世界初女性用シェルターを設立したという功績に加え、様々なDV被害者女性とその子どもの保護をしてきました。そして、避難してきた女性の中には、自分自身の子どもに対して、暴力的になる女性も少なからずいました。エリンさんは『最初にシェルターに入った100人の女性のうち62人は元夫と同じぐらい暴力的であり、子どもたちに対して暴力的であった。』と述べていました。

 キャサリンさんは、フェミニストとしての活動も活発にしていて、社会問題の勉強もされているとは思うのですが、女性の暴力性を無視している時点で『この人は、シェルター内の女性が抱えている問題について、客観的に考えてないんじゃないかな』ってどうしても思っちゃいました。

 キャサリンさんは、『女性用シェルターに関する資金不足が深刻だ』的なことも言ってましたが、本当に資金不足なら、なぜアメリカ国内にシェルターが2000施設以上もあるのでしょうか?

 資金が足りないなら、そんなに多くシェルターを設立できるはずはないので、どうしても私はキャサリンさんには、アメリカ国内のシェルターの現状やそこに避難してくる女性(ごく一部男性)や子どもの状況や気持ちが、詳細に理解できていないのではないのか?って感じちゃいました。つまり、キャサリンさんは、お勉強はものすごくなさってるのかもしれないけど、現場の感覚はあまりわかってないから、机上だけの論理で留まってるのでは?とどうしても感じてしまったのです。

 また、キャサリンさんは『女性が不利』であることを大前提でお話しされていたので、私がキャシーさんの立場だったらインタビューしたくないなと、思っちゃいました。少なくともDVシェルターやDV被害当事者については、エリンさんの意見の方が、賛同できると感じました。

  上記の問題以外でも、男性は様々な問題を抱えていて、作中では様々なデータと共に、問題提起されていました。例えば、飛行機が海に落ちる事故が、ニューヨーク付近で実際に起きた時、救命ボートに優先的に救出されるのは女性で、男性は女性全員が救命ボートで救出されるまで後回しにされたそうです。

 この記事をみてる方の中には、『うーん、有事の際はしょうがないんじゃない?女性は子どもを産むことができる性であり、女性が居なければ子孫繁栄できないから、優先的に助けるべき。』みたいに、考えている方もいらっしゃるかもしれません。でもそれは『ご高齢や何かしら健康的な問題を抱えていて子どもを産めない女性は、後回しにしてもOK!』って言ってるのと同じだと思います。それは男性に対しての差別だけではなく、子どもを産めない女性への差別でもあります。

 また、体力的な問題で女性が優先されるのはしょうがないじゃないか的な意見もあると思いますが、これに関しても、男性のなかには、泳げない人や体力のない人もいるので、この理論もナンセンスですね。男性も女性も色々な事情を抱えている中で、男性だけがまるで消耗品のような扱いを受けており、それが実際にアメリカで起きている事を実感し、ショックを受けました。

 そして、男性の権利運動を支持している人々は、単純に男性の権利主張をしたいという感じだけではなく、真に社会問題を解決したいと思っていて、キチンと芯のある意見を堂々と言える方々だなと思いました。なぜそう思えるのかというと、様々なバックグラウンドがあって、MRA(以下、男性の権利活動家のことをMRAと表記します。)になった人がいるんだなと、作品を通して実感したからです。例えば、女性の方でMRAを応援していて、『私たちは異性に媚び売りたいんじゃなくて、男女両性のためにMRAを応援している』という人達もキャシーさんのインタビューを受けていました。『見返りはいらないから、男性は思いやりがある人が多いんだということを世間に伝えてい!』的な発言をインタビューでする、MRAの方もいました。

 このように、真剣に社会問題を考えている組織が、なぜアメリカ南部の法律センターでは、ヘイトスピーチグループに分類されてしまうのか…私はこの映画を観て、アメリカの少し前の男性問題や性差別の現状に、衝撃をうけたのと同時に、『あーやっぱりアメリカも日本と同様に男性の権利主張は理解され辛いんだなー』ってな感じで、落ち込んでしまいました。

 



 最後に、映画の中に出てきた1番印象に残った英語フレーズをこの記事を読んでいるみなさんに、ご紹介してこの記事を締め括りたいと思います。


  ” Down the rabbit hole! ”


  上記のフレーズは、直訳すると『ウサギの穴に入る』という意味になりますが、映画内では、『本筋から外れる、不思議な方向へ転がる(よくない意味で)』という意味で使われておりました。おそらく日常会話でもイディオムとして使われているフレーズだと思います。もし日常会話で使う機会があれば、使ってみてください!

 それじゃあ!また次のブログでお会いしましょう♪ちゃお!🙌🏻


 ▼このブログを記載するにあたって、参考にした作品


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