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【レンタルサロン】鍵を受け渡しする3つの方法のメリットとデメリット

レンタルサロンで鍵を管理する方法について説明します。利用者さんと管理人との間で鍵を受け渡しする代表的な方法は3つあります。

・管理人から直接手渡し(対面)
・鍵ボックス(または郵便受け)で受け渡し(非対面)
・スマートロックで開錠/施錠(非対面&オンライン)

それぞれ一長一短あります。必ずしも電子的な方法(スマートロック)がよいとはいえません。実際のレンタルサロン運営において、原始的な鍵の受け渡し方法(手渡し・鍵ボックス渡し)を選択するべき状況は多々あります。

結論的に、ぼくは一回すべてスマートロックを導入したのですが、あまりにもトラブルとクレームが頻発したので、原則スマートロックを使わないことにしました。

鍵の受け渡し方法(解錠/施錠)はレンタルサロン運営の根幹に関わる重要な問題


鍵の受け渡し方法をどうするかは、レンタルサロン運営の根幹に関わる問題だと考えています。理由は3つです。

・セキュリティの管理
・鍵の受領/返却=利用時間の管理
・鍵の管理コスト=人件費

中でもセキュリティの管理をどうするかは重要な課題です。

レンタルサロンは様々な利用者さんが訪れます。セキュリティ上の不安やリスクを抑制するためにも鍵の管理方法は重要です。「このひとに鍵を預けてよいのか」、「スペースをレンタルしてよいのか」、「暗証番号を伝えて大丈夫か」など。

特に、初回の利用者さんや事前の見学者さんなど、はじめてお会いする方は慎重な判断が求められます。

管理人から直接手渡し(対面)

もっとも原始的でもっともセキュリティ性が高い方法です。利用者本人であることを対面で確認できます。状況によっては免許証などで本人確認をすることもできます。

直接手渡しのメリット

  • なんといってもセキュリティ性が高い。(セキュリティ◎)

  • 鍵を渡す相手が利用者本人かを対面で確認できる。(本人性確認◎)

  • 入室/退室の時間をごまかされない。(入退室管理◎)

  • 対面での丁寧な対応ができれば満足度とリピート率があがる。

一方、利用者さんの入室/退室のたびに、受け渡し場所にいなければいけない管理人は大変です。受け渡しの手間と時間がすごいです。

予約した時間通りに入退室してくれればまだよいのですが、利用者さんやそのお客さんの都合で入退室時間はけっこうブレます。

利用開始時間に遅れる/利用終了時間が早まる/急な利用時間の延長など、予定外の事情は多々発生するものだと思ってください。

直接手渡しのデメリット

  • 管理人は受け渡し場所で利用者さんを待たなければならない。

手渡しで鍵の受け渡しはしていませんが、利用者さん退室後に点検・掃除をするつもりで退室を待つことがあります。ところが、直前で急な延長があったりすると予定外でさらに1時間ほど待機しなければならない(泣)みたいなこともたまにあります。

同一フロアに複数のスペースがあるサロンや、隣接する店舗にスタッフが常駐している等の形態であれば、鍵を直接手渡しする方法も検討できます。

しかし、小規模レンタルサロンを単独で運営する場合には鍵の管理コストがかかりすぎで現実的な方法ではありません。会社員の副業でレンタルサロンを運営する場合、鍵を手渡しする方法では難しいですよね。


鍵ボックスで受け渡し(非対面)

鍵ボックスというのはこれ(↓)です。

これ(↑)に鍵を入れて建物の手すりやドアノブなど第三者に持っていかれない場所に掛けておきます。

利用者さんには事前に(またはレンタルサロン到着時に)ボックスの番号を伝え、セルフで取り出してもらいます。返却時も同様にボックスに鍵を戻してもらいます。

鍵ボックスの代わりに郵便受け(ポスト)を利用する方法もあります。また、郵便受け(集合ポストなど)の中に鍵ボックスを保管する「物理的な二段階認証」を採用するとセキュリティ性が高まります。(手間も増えます)

管理人は鍵の受け渡しから解放され、自宅にいても外食していても旅行に出てもOK。もちろん他の仕事をしていてもOKです。

鍵ボックス(ポスト渡し)のメリット

  • 受け渡しのために管理人が現地で待機しなくてよい

  • 番号を正確に伝えればセルフ方式でも受け渡しエラーが発生しにくい

  • 2回目からは詳しく説明がいらない

  • 利用者さんによっては非対面のほうが好まれる(僕もそう)

対面で丁寧に説明するほうが確実にリピート率が高いです。しかし、利用者さんとしても急いでいるときなど顔を合わせていちおう笑顔で挨拶してちょっとした会話をするのが煩わしいと感じることがあるのも事実。

また、接触の機会を減らすことが望まれる昨今、非対面での受け渡しのほうがリスクが減るでしょう。

一方、鍵ボックスでの受け渡しでのデメリットはたくさんあります。

鍵ボックス(ポスト渡し)のデメリット

  • 利用者本人が受領しているか確認できない。(本人性確認△)

  • 入室/退室の時間をごまかすケースがある。(入退室時間管理△)

  • うっかり鍵をポケットにいれたまま持ち帰ってしまう人がいる

  • セルフでうまく操作できない人がいると説明が必要(満足度△)

  • 毎回ダイヤル番号を変えるのは大変(面倒△)

  • 毎回番号を変えるわけにもいかない(セキュリティ△)

  • 「ここに鍵がありますよ~」という見た目(セキュリティ△)

  • プロの空き巣ならたぶん一瞬で開けてしまう(セキュリティ△)

  • 建物の管理会社からも禁止されがち(手すりはもちろんドアノブも)

箇条書きにすると事前に思っていたよりデメリットめちゃ多かった。。。特にセキュリティ面でのデメリットが多くて不安になりますね。

それでも、管理人が現地待機が必要な対面での受け渡しの人件費的コストを考えると、鍵ボックス方式を選ばざるを得ないです。

スマートロックで開錠/施錠(オンライン)

スマートロックというのはこれです。一時期うちもほぼ全室これを導入していました。

株式会社Qrioは、もともとソニー(40%)+VC(60%)の出資で設立された会社なのですが、2017年にソニーの100%子会社になっているようです。

利用者さんのスマホにQRIOアプリをインストールしてもらい現地のドア前でセルフで開錠してもらいます。

スマートロックのメリット

予約システムと連動して、利用者さんに自動手的にスマートキーを発行したり、開錠操作を行える時間を自動的に設定したりする機能をもったスマートロックが出てきました。

従来は予約のたびに、開錠できる時間帯を手動で設定しなければならなかったのでスマートになりました。

  • 管理人の対応ゼロ!予約、鍵発行、入室、退室まですべて自動で完了!

  • 利用者ごとにスマートキーを発行して利用時間を制限できる!

  • 物理鍵のような紛失・盗難・無断複製・無断貸与などのリスクが少ない!

  • オートロック(自動施錠)機能があるので鍵の閉め忘れを防止できる!

  • 鍵の開錠/施錠のログ(履歴)を確認できる!

  • 管理人がどこにいても遠隔操作できる!

なんだかすごく便利でスマートなレンタルサロン運営になる気がしましたが、現実はそうなりません。

スマートロックのデメリット①スマホトラブル

まず、そもそもスマホでスマートキーをうまく扱えない人が想定以上に(ある程度の想定はしていたのですが想定の範囲内ではなかった、、、)たくさんいました。

  • ガラケー派でスマホを使っていない人(3年前はけっこういました)

  • QRIOアプリをセルフでインストールできない人

  • Bluetoothがうまく機能しない不安定なスマホの人

  • 充電切れでスマートロックのアプリを使えない人

  • なぜか分からないがうまく操作できない人

スマホの所有率はあがりましたが、うまく操作できないアプリをインストールするだけでも手間取るひと、アップデートできない人、いつも充電が切れかけの人、身の回りにたくさんいますよね。想定以上にスマホトラブルが続出する状況は当面かわらないと思います。

スマートロックは遠隔操作で開錠/施錠できる

そこで活躍するのがQrio Hubです。QRIOハブがあると、管理者が遠隔操作でカギの開錠(や施錠)をすることができます。

セルフでうまく開錠できない人には、レンタルサロンの玄関のドア前から連絡していただき、管理人が遠隔操作で開錠します。

これで解決、、、しません。

スマートロックのデメリット②遠隔操作トラブル

  • 手渡しと同様、利用者さんの来室/退室をじっと待つ必要がある(遠隔だけど管理人は時間的・精神的に拘束される)

  • 遠隔操作で正常に反応してくれないことがしばしばあって焦る(常に不安を感じながら操作するので精神的に疲労する)

  • 万一の故障で開錠できないと現地対応(事実上その日は利用できないのでめちゃくちゃクレームになる覚悟がいる・・・精神的に・・・)

  • ちょっとした一時外出(コンビニやお迎えに行くなど)のたびに遠隔で開錠操作をしないといけない(利用時間中ずっと精神的に拘束される)

  • うっかりスマホ(連絡手段)を室内に置いたまま一時外出すると自動施錠されてしまうと再入室できなくなる(目も当てられません・・・)

利用者さんに入室時間/退室時間を守ってもらうので、管理人としても課金されている利用時間は100%使ってもらえる体制にしておかなければいけません。

遠隔操作がうまく行かず3分お待たせするだけでも利用者さんの準備時間を削ってしまうので双方ともに焦ります。開錠を待たせるのは基本的にはNGです。

さらに、故障だった場合には現地対応が必要ですが、30分以上お待たせしてしまう場合、事実上その日は利用できません。ただ、利用料金を返金すればいいという話ではありません。

利用できないとなると利用者さんのお客さん(施術を受けるために来室される人)も無駄足ですし、往復時間と労力が無駄ですし、交通費はかかっていますし、もちろん施術料金は受けれませんし、大切なお客様に迷惑をかけてしまっているので泣きたくなりますし、人によってはめちゃくちゃクレームになります。

うちのレンタルサロンでは、全国をまわって施術されている有名な施術者さんの1day利用も多いです。わざわざ新幹線で2時間かけてその方の施術を受けに来られる方もいます。すごいですよね。スタートが30分遅れると一日ずっと施術時間がおします。管理人めちゃくちゃ焦ります。

さらに、スマートロックのデメリットというか致命的な弱点があります。彼らはドアからしょっちゅう落下します(泣)。そのたびにトラブル&現地対応が発生します。いろんな理由で落下します。

スマートロックは定期的に端末が落下します

従来、スマートロックのような電子的な鍵をドアに取り付けようと思えば、ドアに穴あけ加工が必要でした。工事費も高いですし、原状回復ができないため、賃貸物件では難しい方法です。

一方、QRIOやAkerunなど最近主流のスマートロックは、ドアに穴あけ加工することなくスマートロック端末を粘着テープでドアに貼り付けて固定します。QRIOには3M製の超強力な両面テープが同梱されていて、30秒ほどドアに押し付けるとバッチリ固定されます。賃貸マンションなどでも手軽に取り付けられる素晴らしい方法です。

しかし、これがまたトラブルの元になります。

スマートロックのデメリット③端末の落下トラブル

・利用者さんが手動開錠しようと無理な力を加えて落下
・ドアの材質とフィットしていなくて落下
・取り付け方によってうまく回転しないと落下
・陽当たりがよいドアでは夏期になるとしょっちゅう落下
・特段の理由がなくても3ヶ月ほどすれば自然に落下

同じマンション、同じドアの材質なのに、ドアによって違います。3ヶ月ごと定期的に落ちるドアもあれば、1年くらいはもつドアもあったりします。まあ、そうはいっても1年に1度は落下しますが。

そんなわけで、一回すべてのレンタルサロンにスマートロックを導入したのですが、トラブルとクレームの多さに精神的に疲弊したので、原則スマートロックを使うことをやめました。

トラブル時に対応できる方法を併用する

利用者さんと管理人との間で鍵を受け渡しする代表的な方法3つのうち、「管理人から直接手渡し(対面)」は現実的ではありません。

非対面での鍵の受け渡しのうち、物理的な方法=鍵ボックス(ポスト渡し)か、電子的な方法=スマートロックのどちらを採用するにしても、それぞれのデメリットに対処できるよう事前に備えておく必要があります。

鍵ボックスを使うなら

万一の持ち帰りミスや、紛失・盗難でカギが見当たらないときでも、代替手段で入室して利用してもらえるような対策(予備鍵の用意など)が必要です。

スマートロックを使うなら

スマートロックが正常に動作しないときでも、代替手段で入室して利用してもらえるような対策が必要です。たとえば鍵ボックスやポスト鍵の用意など。


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