大人の歯列矯正備忘録〜17.ついにカウントダウン開始!

時は令和5年、2023年だ。
私が矯正装置をつけてから丸2年が経過している。
順調にいって1年半という話だったし、一時はそれを少し上回るかと思われたときもあったけれど、結論からいって2年と少しが経過した。

しかし、ブラケット装置をはずす段取りが決まった。もうそれはゴールが決まったというか優勝がみえたも同然の心持ちだ。
この、鏡で見ても歯の裏側を舌先で滑らせてもわかるほどに見違えた歯の並びたちが、いよいよデビューするときがやってきたのだ。

ワイヤー固定装置のない歯の感覚、歯と唇の裏側(内側?)との間に人工物のない感覚、もはや思い出すことができない。
柔らかさしかない口の中にあって、ゴツゴツと角張った小さなブラケット、ワイヤーの無機質な張り、食べ物を絡めるゴム、それらがすべてなくなったら……どんな感じが訪れるのだろう。

歯列矯正を始めるまでは、考えることも意識することもなかったその『感覚』と向き合ってきた日々も、もうすぐ終わる。
終わったら、いつかこの違和感だらけの口の中のことも、忘れてしまうのだろうか。

赤ちゃんの離乳食や食事の介護をするとき、咀嚼して飲み込むことが誰でも当たり前にできるわけではないことに直面した。
そしてそれが自分の身にも起きた。

うまく噛めない、うまく飲み込めない。

噛んだものが喉のほうへと送り出されていくために、歯と舌と頬の動きとが総動員されているらしいこと。
食べ物を口の中に残さず飲み込むには、舌とだ液がどれほど偉大な働きをしてくれていたかを知ったこと。
もはや神業といえる。

これこそが本能というか、人間として発達していく中で身につけたことだと思うと、過言ではないのかもしれない。
けして教わって覚えたことではないわけだし。

とまあ大仰なことを書き連ねたくなるほどに、感激した。
改めて見つめ直した自分の食べる行為。
すごいことだった。

そんなことを書いてしまうくらいに、ブラケット装置との日々は、深く考えてしまうものが多かった。

はずれたその日の感覚、忘れずに記録しておこう。

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