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ショートケーキの苺


ショートケーキを食べる時、必ず思い出す。「ショートケーキの苺を先に食べる派?最後に残す派?」という論争。いや、私だけなのか?論争はそもそも存在しないのか?わからないけど。私は先に食べる訳でもなく、最後に残すでもなく、三角形の先の方から食べて苺のゾーンまできたらそれを食べる。そこまで特別扱いしていない。

ただ、好きなものは先に食べる派。お腹が空いていて、味わうにはベストだと思っているし、もしお腹いっぱいになった時、楽しみにしていたそれを結局食べられないことになるのが嫌だからだ。


小さい時、ご飯より甘いものと牛乳が大好きで、ご飯の前にたらふく食べて、ご飯をよく残していた。あんなにおいしいご飯を、栄養も考えて母は作ってくれていたのに。そんなありがたみもまだ分かっていなかったあの頃の私は、平気で残していた。

家族みんなでいただきますをして、今日の出来事をたくさん話して笑って楽しく食べていた時間も過ぎ去り、一人食卓に残って、時計とお皿を洗う母を交互に見て「もういいよ。残しなさい」の合図を待っていた。お風呂から上がってきた父や姉に何度、まだ食べてるの!?と言われたか分からない。口の中にもうないはずのご飯を噛み続けて、椅子の上で足をぶらんぶらんしていたのを今でも戻れるくらいには覚えている。


1日3食、もちろんちょっと食べなくても問題ないけど、やっぱり何かは食べたくて、毎日当たり前のようにご飯を作ってくれていた、そんな母の存在に、ショートケーキの苺から毎回思いを馳せている。

今度おいしいケーキをお母さんにプレゼントしよう。


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