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修二会 神秘的な神名帳

奈良 東大寺の修二会。

修二会というのは3月1日から14日間。

二月堂というお堂にこもってお坊さんたちが国家のために祈ってくださる法会です。

昼も夜もずっと祈り、体をなげうって拝礼し、呪術的な作法も取り入れてひたすら観音さまに祈ります。

このお行の中で、全国の神様をお呼び出しするという「神名帳」というくだりがあります。

神様って神社の中にいらして、仏教とは関係ない…気がしますが、じつはこれは明治以降の新しい感覚。

かつては仏と神は同居し、お寺の中にお社があったり、神社に仏さまが祀られることは普通でした。

東大寺さんには今も手向山八幡宮という神社がありますし、奈良の大神神社の若宮神社はかつて「大御輪寺」というお寺でした。


この神名帳のトップバッターを飾るのが、吉野にある金峯山寺の蔵王権現様。

「金峯の大菩薩」という名前で読み上げられます。

そして最後に登場するのがタタリ神たち。

日本には恨みをもって死んだ方々が「御霊」として祀られることが多くあります。

京都の天神さんなどがわかりやすいですね。

菅原道真公は、陥れられ大宰府に流され、死後怨霊になって都に災いをもたらした為、神として祀られたといいます。

御霊神たちのなかでとても聞き取りやすいのが「八島御霊」

これは早良親王のこと。

早良親王とは、平安京を開いた桓武天皇の弟。

彼は僧侶になっていましたが、兄の仕事を手伝うため還俗。

片腕として働いていたのに、皇位を狙っていると疑われそれに抗議して食を絶って絶命した凄まじい経歴を持っています。

神名帳は毎晩読み上げられますので、ぜひそのくだりを耳にされたときは耳をすましてみてください。


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