見出し画像

葛飾区郷土と天文の博物館(東京都葛飾区・お花茶屋駅)

都内23区の郷土博物館はいよいよ大詰め。休館中の世田谷区郷土博物館を除けば葛飾区でコンプリートになる。まさか1年で全てを攻略できるとは。我ながら呆れる。葛飾区郷土と天文の博物館はお花茶屋駅から歩いて十分くらいした場所にある。天文の博物館と銘打っているだけあってプラネタリウムも包括している印象的な外観をしている。

吹き抜けの高い天井がある正面階段を上った2階が展示室となっている。まず常設展のほうは葛飾エリアの歴史から。下町エリアは古代から中世にかけて湿地帯だったことが知られており、こちらの葛飾区も標高が非常に低い。洪水なんて起きようものなら水没してしまいそうな低さ。江戸川区や足立区ではほとんど紹介されていなかった土器は、葛飾区では意外にも多く紹介されている。だいたい古墳時代の後期から住み始めているようで、奈良時代から平安時代の土器も見られている。農耕や漁労が中心だった葛飾エリア。隣の千葉県市川市との関わりも深く、同じ下総国として文化圏はかなり近かったようである。

意外と土器も豊富 石棒はない

鎌倉時代には葛西氏が周辺地域を支配し、鎌倉幕府の御家人として活躍したという。戦国時代には北条氏の傘下に入り千葉県側を治める里見氏と争い勝利するなどそれなりに安定した地域となった。江戸時代に入ると江戸幕府のお膝元として整備が進められるようになり、この頃に当時は江戸湾へ流れていた利根川が河道改変の工事によって太平洋側へとその流域を変えている。

利根川の変遷も詳しく紹介

時代は明治に入り、葛飾を代表する庭園である堀切菖蒲園や、葛飾区の産業を支えた大規模工場、農業経営を経てやがて葛飾区が誕生した歴史のほか、戦争における大空襲の被害から立ち直った葛飾区の姿を紹介している。
なんといっても目を引くのは郷土博物館にありがちな実物大の再現された家。汲み取り式であったトイレや、工場の多かった葛飾区の一般的な仕事場と家庭とを紹介しており、あまりにリアルな造りにここだけでもテンションがあがる。

葛飾はこうでなくっちゃ

なお、企画展では葛飾区に掛かる橋の歴史を特集。山ほど(橋を紹介するのにこれほど相応しくない言葉があるだろうか)掛けられた橋の姿を紹介している。

赤い点が橋 引くほど多い

3階にはフーコーの振り子が実際に稼働している。地球が回っていることを証明する振り子で、時間ごとに一目盛りずつピンが倒れて行くという仕様になっており、いつまでも眺めていたくなる振り子である。

フーコーを見たら宇宙に触れよう

そして3階は天文エリアで宇宙について、宇宙から色々なメッセージが届いている、という一見するとスピリチュアルっぽいキャッチフレーズで宇宙における光の様態の変化などを紹介している。プラネタリウムも時間によっては開館している。トイレはウォシュレット式。かなり広くてプラネタリウムも楽しめるため郷土博物館には珍しく子連れも多かった印象。

2階が郷土博物館で3階が天文博物館とプラネタリウム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?