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そごう美術館(神奈川県横浜市・横浜駅 ドールハウスの世界展)

そごう美術館で開催されていたのは「ドールハウスの世界」展。会期ギリギリの最終日に滑り込み。混雑が予想されたので朝イチで向かったのだけれど、既に会場は見学者が多く集まっていた。ドールハウスというとその傾向から女性の比率が目立つものの、デパート内の美術館ということもあってデパート利用者らしき人たちも多くいる。それだけ興味を引く展覧会ということもある。

ドールハウスは人形の家というだけでなく、住んでいる家をそのまま一定の縮尺で小さくしたミニチュアハウスの呼び名で、もともとドイツの貴族が娘に贈ったものが最古と言われている。遊び道具というよりも自分の家の部屋がどのように使われるのか、立ち振る舞いをどうするのかを教える学びの要素が強く、ヨーロッパの貴族を中心に広がったとされる。基本的な基準は1/12で、これはイギリスのメアリー王妃のドールハウスから始まっている(動くエレベータや給湯設備まで付いていた)。アメリカではその他に1/24、1/48というサイズのものをドールハウスと呼んでいるらしい。逆にそれ以外の縮尺はドールハウスではないという厳しいルールがあるという。

1790年のドールハウス ジョージIII世の紋章がある

最初はイギリスのヴィクトリア朝時代のドールハウスを中心に展示。豪華な貴族の家のドールハウスはもとより、産業革命下に生きる庶民を描いた鉄工場や屋根裏部屋などの模型も展示されているのが面白い。

イギリスの鉄工場 実際に動かせるらしい

続いてはイギリスだけでなくフランス、ドイツ、アイルランド、スペイン、アメリカといった諸外国で作られた作品を展示している。一風変わって騙し絵のある部屋だったり、食料品店だったりが採り上げられている。日本ではひな壇など割と古くからミニチュアの作品はあったものの、ドールハウスという概念が一般に浸透してからまだ50年ほどしか経過していない。

明治〜大正時代の御殿飾りの雛人形

次の章ではまだ発展途中の分野ではあるけれど、国内における多くのドールハウス作家の作品が一堂に介している。日本ドールハウス協会という組織があり、そこに所属している作家の作品が数多く展示されている。中でも個人的に注目なのは倉林進の作品。主に年配層へ向けたシルバータイムドラマ『やすらぎの郷』に提供していた作家だという。あのドラマ面白かったんだよな。平日の昼間だったからリアルタイムで見られずわざわざ録画して帰宅後に観ていた。たぶん対象年齢ではないのに。他にも土屋靜による「男のゴールデン街」といった街角そのものを作った作品など、とにかく見どころがいっぱいで観ていて飽きない。

男の憧れが詰まってるぜ

最後のコーナーはNoeCafeコレクション。ドールハウスの聖地らしく、現在も練馬区でギャラリーとして多くのファンが訪れているらしい。ムクムクとギャラリー熱がもたげてしまう。とにかく大満足の展覧会、人が多いのも頷ける。久々に大人数の中に来てしまった。朝イチの博物館とか来館者ゼロとかがザラなので。トイレはウォシュレット式。

いつか訪れたいNoe Cafe


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