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千秋文庫〜千鳥ケ淵戦没者墓苑(東京都千代田区・九段下駅)

・千秋文庫
千秋文庫は旧秋田藩主である佐竹家に伝わる多くの資料を保存し展示している博物館である。千秋の名前は秋田市にある千秋公園(長久の意味である千と秋田の秋)から採用されている。佐竹家に長く仕えた小林昌治氏が佐竹家より託された所蔵品を戦火の中でも守り抜いていたことによるもの。40年ほどの歴史を持つ博物館である。

二松学舎に隣接する、一見すると見逃してしまいそうなビルながら、1階に看板が立っていることでそこが博物館施設であることがわかる。エレベータで上がった2階が展示室となっている。今回は城絵図と町絵図というテーマで、城郭や江戸名所の絵を中心とした企画展を開催している。1フロアながら古文書や古地図など貴重な収蔵品が間近に見られる。特に今回は城郭の絵図などは城好きなら必見の展示かもしれない。

江戸城、大阪城、盛岡城、仙台城、そして忠臣蔵で知られる吉良家の屋敷といった絵図がある。クリップ留めしていて壁に押しピンで留めて引っ掛けてるだけなので、もしピンが外れたりしたらクリップの重みで破れてしまうののではないかと考えると少し怖い気もする。展示品には衆楽園という西日暮里の周辺ににあった庭園の紹介もされている。現在ではこの周辺はほとんど残されていないのだけれど、江戸時代には文学サロンとして、佐竹青霞、疋田柳唐、石井子直、橋本子行、町田一徳、東海林泰明・文弥、小野崎通賢といった文人が集ったのだという。儒学者である瀬谷桐斎も漢詩を吟じているほか、大窪詩仏による秋田侯衆楽園二十景の賛辞も寄せられている。

城郭や庭園の他には江戸の町並みとして安藤広重の浮世絵が紹介されている。浮世絵にはその制作過程から初摺や二摺以降のものがあるのだけれど、こちらではより貴重な初摺の作品も展示されており、安藤広重に興味があればこちらもぜひチェックしておきたいところ。トイレはなし。

・千鳥ケ淵戦没者墓苑
千鳥ケ淵には先の戦争で亡くなった人々を祀る戦没者墓苑がある。半蔵門の周辺を歩いている途中に発見したこの墓苑、昼間の都内でありながら人影もなく静かな広場になっている。

軍人・軍属・一般の人を含んだ無名戦没者の墓であるともに全戦没者の慰霊追悼のための場所だという。中央にある印象的な形の六角堂は谷口吉郎による設計だそう。中央には棺が据えられており、戦没者の遺骨が納められているという。合掌。

都会の真ん中にある静謐な場所

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