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第五福竜丸展示館(東京都江東区・新木場駅)

夢の島公園の中にはミュージアムが二つある。一つは都内でも最大級を誇る夢の島熱帯植物館。夢の島公園へ行くとだいたいこちらのミュージアムをメインとする人が多いのだけれど、公園の隅にひっそりと佇むこちらの第五福竜丸展示館もまた非常に見応えのあるミュージアムとなっている。

第二次世界大戦が終わった後もアメリカによる核実験は各所で行われ、太平洋のビキニ環礁沖は何度もその核実験の場所として使われ続けてきた。1958年に行われた通称ブラボー作戦で導入された水素爆弾は広島に投下された原子爆弾の1000倍もの威力のもの。第五福竜丸はこの実験時に周囲の海域にいた1000隻以上ものマグロ漁船の一つで、核実験によって降り注いだ死の灰を浴びて多くの被害者を出した。アメリカの指定した危険水域の外にいたにも関わらず引き起こされたこの事件は世界中から多くの非難を浴び、3/1は原水爆禁止デーとして今も継続している。

死の灰か何か運命の時に救われるか賭けようぜ

施設の中には第五福竜丸の現物がそのまま保管されている。被曝した後も単独で焼津まで戻ってきたものの、大量の放射能を滞留していた第五福竜丸はその後に数奇な運命を辿り、洗浄されてこの地へとやってきた。展示館の中心に残された第五福竜丸を囲むような形で事件の経緯や被った被害(人が亡くなっている)などを紹介し、同時に現在も行われている核実験に警鐘を鳴らす。

漁船だけでなくマーシャル諸島の人たちも被害を被った

階段を上ると第五福竜丸の甲板部分を見下ろす形の展示室になっている。実際に中へ入ることはできないが、相次ぐ衝撃の中で船体はボロボロ。漁獲したマグロにも大量の放射能が検出され、それらは食卓へ並ぶことなく埋められた。展示館の外にはそれら埋められたマグロを弔うための鮪塚が残されている。

2階から甲板を見下ろす

唯一の被爆国となった日本において核の話には自然とデリケートにならざるをえない。ミュージアムショップには存命中の船員による当時の証言や、ビキニ環礁での核実験をきっかけに登場した怪獣ゴジラなどがある。二度と同じ過ちを繰り返さないようにしてほしいもの。トイレは男女共用の多目的トイレでウォシュレット式。

映画監督の新藤兼人からのメッセージも

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