『1987』(韓国映画)

1月21日、県立美術館で『1987、ある闘いの真実』の上映会をやっていました。光州事件後の、韓国民主化運動の結節点を描いた作品です。民主勢力のみならず、権力側の人物像もきめ細かく描かれています。原題は、『1987』。韓国人にとっては、この数字だけで内容が想像できるようです。「拷問死」の事実をめぐっての権力と反権力の、間髪を入れぬ、手に汗握る攻防を描いています。

1987年1月13日、ソウル大の学生が拷問死しました。ソウル大は、日本の東大にあたる大学です。また、その抗議デモの最中に、延世大の学生が催涙弾の直撃を後頭部に受け、死にました。延世大は、日本の慶大にあたる大学です。その他春秋に富む多くの若者たちが、人生を奪われました。

父親の死をめぐるトラウマもあり、ノンポリ学生だったあどけない少女は、映画の最後、バスの屋根に上って、こぶしを振り上げていました。「政治状況」を描いたこの映画では、登場する人物すべてが、主人公です。しかし、あえて言えば、民主勢力の連絡役だったこの少女が、男どもの血と涙と汗でむせ返るこの映画の主人公と言えるでしょうか。

映画の中の暴力は、半端でなく、その暴力描写でぐったり疲れたご婦人方もいらしたようです。気合の入った制作現場でも、ケガ人続出だったのではないかと想像されます。

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