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「E TICKET PRODUCTION&岡島紳士インタビュー これまでのMIC RAW RUGA、これからのMIC RAW RUGA」(4)

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「E TICKET PRODUCTION&岡島紳士インタビュー これまでのMIC RAW RUGA、これからのMIC RAW RUGA」(4)


コロナ禍のMIC RAW RUGA


――コロナ禍に入って、みなさんはどのような日々を過ごされていたのですか?

岡島:通信教育ですね。Eチケさんが作成した「ラップの作り方」のテキストと音声データをメンバーに送り、都度課題提出をさせながら、全10回行いました。あと、リモートでの作品作りが流行り出したじゃないですか。マイクロウも「dog kawaii」のパロディで、手洗い&うがいを推奨する「wash kawaii」という替え歌を作ったりとか。メンバーがそれぞれスマホで録ったボーカル音源を使って制作し、CD-R「reoprt」シリーズの「report5」に収録して販売しました。

――「ラップの作り方」のレッスンでは具体的にどういうものを教えたんですか?

Eチケ:ラップは、韻を踏むってことが重視されることが多いのですが、そうじゃなくてフロウを具体的に体感するというのをやってました。片言で「わたし・にほんご・しゃべれ・ないよ」という言葉が、三連符のフロウに変わるなどを繰り返し教えましたね。

岡島:通信教育を経たことで、メンバーが普通にラップを書けるようになりましたからね。

Eチケ:その集大成として本人たちが歌詞を書いた「LESSON2020」という曲があって。レッスンを経て自分たちで作った曲として出しました。

――それってどういう形で音源化したんですか?

岡島:それもCD-Rですね。「実験を繰り返す過程でできた曲やライブ音源など入れていく」っていうコンセプトなのが現場販売のCD-R「report」シリーズなんですけど。

Eチケ:ジャケットには薬の試薬品のラベルが引用されていて。

岡島:laboratoryって研究所の意味もあるので、薬の実験のイメージ。もっと言うとDOOPEESのキャロライン・ノヴァクが白衣を着て実験している写真が当時雑誌などに載っていたんですが、そのイメージもありますね。

Eチケ:後半は変わっていて、初期は試験管の中にミキサーのピークメーターが入ってる。

――コロナ禍になって、Eチケさんはどう思われましたか?

Eチケ:コロナ禍に対しては、僕はなんにも思ってなくて。ずっと作業してたのが一度止まって、「ボケ―っ」としていた。当時、岡島さんから「コロナになって思うことないんですか?」って聞かれたけど「何もないなぁ」って思って。みんなコロナ禍においていろいろな表現をしてるんだけど、当時は世界が変化しすぎて、エアポケットみたいになってました。

岡島:別にコロナだろうがなんだろうか、元々家でやる仕事の方が多かったので。

Eチケ:それもあるけど、ずっとあったライブがなくなって、ボケっとしてた時期というのが正直あります。

――運営としてはどう思われましたか?

岡島:発生当初は誰しもがここまで流行るとは思ってなかったと思うんですが。感染拡大し始めてからは、未知の病気ということで、まずはライブ活動を休止する、という選択になりました。今でこそ「どういった症状が出て、どういった治療ができるのか」分かっていますが、当初は不確定なことが多過ぎたので、歩みを止めるしかなかった。あの頃って「1年後には沈静化している、少なくとも1年半後はワクチンもできておさまってるだろう」って意見が大半だったじゃないですか。でも、気がついたら2年半くらいすでに経ってる。マスクも取れない状況ですよね。

――ライブは8ヶ月間、止まっていたのですか?

岡島:はい。僕は普段は個人でライターをしていて、専門分野はアイドルなんですが。その視点から言うと、このコロナ禍によって「ライブの動員力を上げて行くことで知名度を上げメジャーに向かって行く」という、アイドルや一部のアーティストが成り上がって行くための“動員力ゲーム”が完全に成り立たなくなりました。そんな状況下で「では日々、どうすればいいのか?」と考えて、例えば音源だけでも勝負できるようになるほど、ラップを作る力やラップ表現そのものの力を磨き向上させる方向に動きました。それが前述の通信教育です。「ライブができるようになった時のために力をつけときましょう」と。ライブ活動を再開した後もより技術力を高めるために、ラップの発声方法のレッスンなどを続けました。

23 Go Forward


――そんなコロナ禍の中で、最初に発表されたのが「Go Foward」です。先程は何も言うことはないとおっしゃっていましたが、この曲にはコロナ禍に対するメッセージが込められているように感じますが。

Eチケ:「Go Foward」はコロナに対してではなく、メンバーが2人になったけど「それでもやるしかない」という気持ちの方が込められていると思います。この曲は踊れる曲にしようと思って作りました。トラックはテクノ寄りですね。説明ではわかりやすく「ガバ」だと言っているけど、実際はLFOの「Tied Up」の流れを組んでいる曲ですね。REIとAKIRAはダンスが得意な2人なので、2人にハマるような曲をと思って作りましたね。

――「セーフはとっくにアウトらしい」は政府とセーフがWミーニングですね。

Eチケ:頓智が効いてるでしょ(笑)

――社会派ヒップホップだと思いました。ライムベリーからマイクロウまでの流れであったハッピーな感じを、コロナ禍に続けるのは難しくなっているから「Go Forward」の方向なのかなぁと当時は思いました。だから、ライブで聴くとすごく今の時代の気分にしっくりくるんですよね。

Eチケ:シリアスな曲ばかりになるのもダメと思うのですが、この時は迷いなく作りました。

――岡島さんは「Go Forward」を聴いてどう思われましたか? 今までの曲とはだいぶカラーが違いますが?

Eチケ:ビートだけ聴くとなんのこっちゃわからんって感じですよね。

岡島:リリックはシリアスだなぁと思いました。ただ、サウンド的に今後、こういう方向性で行くとも思っていなかったので「こういう曲もあるんだろう」って印象でした。Eチケさんは、いろんな音楽性を持っているプロデューサーなので、別にとりたててこの曲だけが特別とは思わなかったですね。

――ダンスがメインの曲となりましたが、フリはどうやって考えたのでしょうか?

Eチケ:メンバーにまかせてますね。作ってもらったものを「ここは良い」「ここは変えてほしい」と提案するだけです。

岡島:REIとAKIRAが踊れる2人だったので、「とにかく激しいダンスを入れて欲しい」と伝えた気がします。振り付けに関しては、AKIRAがダンスの振り付けに関してはプロということもあるので、当初はAKIRAに任せるという感じでしたけど、REIもダンスの専門学校に通っていたこともあり、現在は2人で協力して作っています。

24  世界中にアイラブユー


――次が「世界中にアイラブユー」。ライムベリーの時の曲ですね。

岡島:これも年末のライブですね。毎年新しい特別なことをやりたいなと思って、候補曲が何曲かあるんですけど、この時はこの曲だった。強い曲や良い曲は出し惜しみせずにやって行きたい、と思っています。久しぶりに聴いたらやっぱりいい曲だなって思いました。

コロナ禍のライブの方向性


――コロナ禍に入ってからライブの作法が大きく変わってしまいましたよね。お客さんは声を出せないですし、飛んだり跳ねたりできない。そんな中でライブは聴かせる方向に変わっていきましたか?


岡島:聴くこともできるし、ルールの範囲の中で盛り上がることもできるという方向を目指してます。


――Eチケさんが作る曲のトーンは変わりましたか?


Eチケ:やっぱり、お客さんが声を出せないので、ただ「騒ごうぜ」みたいな曲がちょっと現場で通用しにくいんじゃないかという実感はありますね。

岡島:「騒げ騒げ」とか「声上げろ」とかの煽りは全部変えてますからね。「セイホー」とか言えないので。

Eチケ:曲のトーンを変えていかないといけないというのは、ありますよね。

25  Moon Reverb


――「Moon Reverb」、これはGOMESSさんとコラボした曲ですね。

Eチケ:まずGOMESSくんとのコラボをしたいというのがありまして、それにあたって、どういう曲を作ったらいいかと考えた時に、引っかかりがないと面白くないから有名な曲をサンプリングしようと思って、パッヘルベルの「カノン」を使いました。海外のヒップホップでも「G線上のアリア」をサンプリングしたものもありますし、クラシックがいいんじゃないのってGOMESSくんに相談しました。

――「カノン」を選んだのはどうしてですか?

Eチケ:宮村優子の「KANON」が好きで。

――名曲ですよね。

岡島:『エヴァンゲリオン』でも「カノン」は流れていましたし。

――劇場版エヴァの総集編「DEATH」のエンドロールで流れますね。

Eチケ:宮村優子がすごく好きだったので。あと、カノン進行があるとヒットするって話が昔あったので、じゃあカノンでって。

――ド真ん中が来たなぁと思って、ドキドキしました。

Eチケ:より売れる方を(笑)

岡島:前に打って出ようというタイミングで配信曲を2曲だそうとした時に、それぞれ毛色の違うものがいいと思ったので、「Go Forward」と「Moon Reverb」をレコーディングすることにしました。

――歌詞はGOMESSさんと2人で書いたんですか?

Eチケ:GOMESSくんのパートはGOMESSくんが書いて。マイクロウのパートは僕が書きました。

――どういうふうに作ったんですか?

Eチケ:GOMESSくんにトラックを渡したら、レコーディング当日まで歌詞がなくて。メンバーがレコーディングしている時にiPhoneで書いてて、今、書いてるのはすげーなと思いました。

――当日にならないと歌詞が出てこないってことなんですかね。

Eチケ:基本的にフリースタイルでやることが多いから、その延長線上なのかな。GOMESSくんは、他のメンバーのレコーディングでのディレクションもやってくれて。こうした方がいいんじゃないかと意見を言いながら、作詞も同時進行で進めていて。

――どっちの曲でもない感じが、面白いですよね。

Eチケ:ちょっと歌詞の解像度が違いすぎるというか。僕が結構、わかりやすい歌詞にしたのに対して、GOMESSくんがツメツメでガッツリ来たから、バランスが不思議な感じになりましたね。

――GOMESSさんには元々、「LIFE」でトラックを提供したんですよね。


Eチケ:「LIFE」の時はスキルトレードで、曲は無償で提供したんですが、その変わり、呼ばれたらラップするからって。それで、だいぶ経ってからここでGOMESSくんを呼ぼうって感じで。

岡島:音色的にも今までにない感じになりましたね。女性グループの中に男性ラッパーが入ると、ともすればアンバランスな感じになって反感を買う可能性もあったけど、GOMESSくんなら「LIFE」でEチケさんとコラボしてたし、フリースタイルでいろんな方と組んでいたので、問題はないと考えました。いい企画になったと思います。ミュージックビデオも綺麗な感じに仕上がったし。

Eチケ:MVの撮影は、前日に雨が降っていて。


岡島:外で撮るイメージだったんですけど、梅雨だったので、室内のスタジオメインで撮りました。ちなみに、ライブでは、GOMESSくんのパートがないバージョンで歌ってます。「Go Forward EP」に収録していますが、それはそれで良くて。Spotifyの公式プレイリストにも入れてもらって。なかなかこういう感じでやっているガールズラップグループもなかったので。

――あまりひねってないのが面白いですよね。素朴というか。優しい感じというか。

岡島:Eチケさんの曲はメロディがどんどんわかりやすくなってますね。

26  GET DOWN


Eチケ:この曲は元々、某アーティストに提供するために作った曲で、サンプリングをめっちゃ使ってるんですよ、「ゲバゲバ90分のテーマ」やkagamiの「Tokyo Disco Music All Night Long」やハープアルバート&ザ・ラフィナ・プラスの「Bittersweet Samba」や電気グルーヴの「FLASH BACK DISCO」とか。

岡島:「サンプリングを使いまくっていい、許可を取ったり弾き直したりするから」と言われて作ったけど、ボツになって。

Eチケ:これは絶対に発売できないから、どうせならサンプリングを詰め込めるだけ詰め込もうと思って。どんどん入れて、一回ライブでやった後もまたサンプリングを足して。

27 SUPERMCZTOKYO


――次が「SUPERMCZTOKYO」これもMOE-K-MCZ~ライムベリーと引き継がれてきた曲ですね。

岡島:(laboratory)が取れたセカンドワンマンでやった曲ですね。これも強い曲かつすごくポップな曲なので、いつかやろうと思っていました。

28 GET UP AND DANCE


岡島:スチャダラパーのリミックスですね。歌詞は変えています。

Eチケ:これは最初、YUKIZIの誕生日イベントでやりたいっていうからやって、僕は何にも触れてないです。作詞はYUKIZIが担当しました。彼女の世界観が良いですね。

岡島:オーディションで元々、特技として作って来てたんですよ。それとはまたリリックが変わってましたが。MIC RAW RUGA(laboratory)として2回目のワンマンライブ(21/11/6)で当時のREIとAKIRAが書いたリリックを足して、通常のライブでもできる形にしました。

29 HOW RAW

Eチケ:「Go Forward」を経て、どういう曲をやるかって考えた時に、もう一回、同じ方向性で曲を作ろうと思って。とにかくすごくシンプルなサビを作りたいと思ったので、まずはサビを作ってから全体を組み立てていったという感じですね。再スタートという気持ちで「ワンツー」のトラックをサンプリングして、スピードを変えてイントロに入れている。

岡島:これも 昨年の11/6に開催したワンマンライブでお披露目した曲です。歌詞的にはセルフボーストな感じで、HIPHOPっぽい。ライブでは1曲目にやることが多く、静かめな曲ではあるものの、初めて聴いたお客さんの反応はわりといつも良いです。

30 MAGIC PARTY~Right Now


Eチケ:これがさっき言ってた、つなげてる曲です。

岡島:このパターンで他の曲同士も繋げたりできそうではあります。

Eチケ:ちなみに「Right Now」がBPM132で、「MAGIC PARTY」が130なんですよね。つなげるために「MAGIC PARTY」のBPMを2上げてるるんですよね。歌詞で「130のBPM」ってあるんですけど、それが「132のBPM」に変わってるという。そこが細かいポイントです。

31 クオリア

――クオリアは元々、ライムベリーの時にHIMEさんが歌ったソロ曲でしたね。

岡島:去年の年末にREIとAKIRAの2人でやりました。

――年末にちょっとずつ昔の曲を解禁してるんですね。

岡島:解禁という気持ちは特に無いのですが、年末だから普段はやらない特別な曲をやろうという感じで。

Eチケ:「クオリア」はすごく変な曲で、サビとかないんですよね。アレンジも全体的にふわっとしてるし。

(5)に続く

 

MIC RAW RUGA 1st ONEMAN LIVE
「PAY YOU BACK」


日程:2022年9月23日(金祝)

開場 18:00 開演 18:30
場所:渋谷 club asia(東京都渋谷区円山町 1-8)
出演:MIC RAW RUGA
チケット:前売<9/9(金)23:59まで販売>
A.VIP 13000円(+D)
…最優先入場&「PAY YOU BACK」Tシャツ&メッセージカード&お礼動画&バッジ&MC集CD-Rつき
.SPECIAL 7500円(+D)
…「PAY YOU BACK」Tシャツつき
前売<9/22(木)23:59まで販売>
C.NORMAL 4000円(+D)
当日
D.NORMAL 4500円(+D)
●新曲を初披露します
●オールスタンディングです
チケットは8月24日(水)20時よりPassMarketにて発売。

購入はこちらから。
詳細はこちら

MIC RAW RUGA ニューシングル
「PAY YOU BACK」

発売日:2022年8月24日
レーベル:VIDEOTHINK
Streaming & Download

https://linkco.re/Y8V6a01U


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