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寮美千子編(2024)『名前で呼ばれたこともなかったから―奈良少年刑務所詩集』新潮社文庫が届いた!

2024/1/29 Field Notes. 寮美千子・松永洋介編
寮美千子編(2024)『名前で呼ばれたこともなかったから―奈良少年刑務所詩集』新潮社文庫が届いた。読んでゆくと、懐かしさが込み上げてきた。2016年に出された『世界はもっと美しくなる 奈良少年刑務所詩集』の改題詩集だった。
文庫版あとがきを読み進めると、びっくり。

社会性涵養プログラムを「広めたいと思っても、メソッドやハウツーや学問的裏付けがない。しかし、確実に手応えがあった。法務省も、受講生のその後を追跡調査しようとしているところだった。また、授業に興味を持った研究者が見学に訪れ、次期から半年間、授業に参加したいと申し出てくれた。東京学芸大学大学院教授(当時)の成田喜一郎さんだ。授業を分析してメソッド化したいという。これもすでに決定していたのに、急な廃庁で実現できなくなった。成田さんはその後、手持ちの資料ですばらしい論文を書いてくださったのだが「授業に参加しての考察ができなかったのが残念」とおっしゃっている。わたしも残念だ。」とあった。

ここに書かれている「論文」とは、社会性涵養プログラムを通してフィールドワークをする機会が持てず、たった一回の訪問と文献・資料だけで書いたものだった。とても寮さんの期待にそえる論文ではなかった。今読み返しても、序文でしかなく、エスノグラフィー本文はない「残念」な作品だった。

拙稿(2019)「奈良少年刑務所「社会性涵養プログラム」の有意味性 : ホリスティック教育/ケア学の視点から」『東京学芸大学教職大学院年報』第7集, pp.9-21.
https://www.u-gakugei.ac.jp/.../a_report_2018_02.pdf.pdf

寮美千子編(2024)『名前で呼ばれたこともなかったから―奈良少年刑務所詩集』新潮社文庫
https://x.gd/zerlG

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