稼げるライターになるための条件

私自身が編集者として最も喜びを感じるのは、ほとんど実績のない新人ライターの才能を発掘し、一緒に成長するときです。大丈夫かな?と思いながらもドキドキワクワクする緊張感は病みつきになります(^..^);。 もちろん見込み違いで「金の卵」ではないことも多々あって、凹むこともありますが、その見極めも編集者として磨くべきスキルかなと思っています。

そういう意味で、やはりライターとして「向いている向いていない」という資質はあると思います。たとえばライターの多くはたいてい下記のような資質を持ちあわせているかと思います(編集者もほぼ同じだと思いますが)。

◎ 三度のメシより書くことが好き
◎ 読書が大好き(雑誌、マンガ、映画でもよし)
◎ 人に会うのが好き
◎ 思考がいつもポジティブ
◎ 好奇心が強い
◎ どんなことにもミーハー精神
◎ 細部にこだわる
◎ 常に+αを心がける

しかし、これからのライターは、これらの資質だけでは生き残れません。めざすべきは、編集者とプロデューサーの視点を持つハイブリッドライターなのです。特にWebメディアにおいては、編集者やライターという職種の棲み分けすらも意味をなさなくなってくると思います。

なぜでしょうか。

出版不況と言われる時代ですが、じつはライターにとって活躍の場はむしろ広がっています。ただ原稿料の安さが大きな問題として立ちはだかっています。「Webコンテンツの原稿料はなぜ安いのか?」にも書きましたが、マネタイズに成功しているWebメディアは数えるほどしかありません。

最近あるメディアの編集長をしていた知人がセミナーを開催したところ、一番多かった質問が「原稿料をもっと安くする方法はないか?」の類だったそうです。知人はやや呆れ顔で「コンテンツを安く作ることばかり考えていてはメディアは成功しません。むしろお金をかけてでも良いコンテンツを作ることを考えてください」とビシっと言ったそうです。

では、ライターが安い原稿料に甘んじることなく稼ぐにはどうすればよいのか? まずは自身がライターとしての役割を変えていくことを考えるべきでしょう。それが編集者とプロデューサーの視点を持つハイブリッドライターなのです。残念ながら、今後も原稿料自体の単価が上がっていくことはあまり期待できません。そのためにもハイブリッドライターになる必要があるのです。

以下はハイブリッドライターが求められている背景です。

① 終わりなき出版不況
② 一般企業がWebメディアを持ち始めている
③ Webメディアには経験豊富な編集者が足りない
④ プロとアマチュアの境界線がなくなってきた

ひとつずつ見ていきましょう。

① 終わりなき出版不況

雑誌が売れなくなり、広告収入が減れば、出版社は当然原価を下げることで利益を確保しようとします。そして原価で最初に削られるのが原稿料なのです。「縮小」「削減」に向かう死に体のメディアに依存することは、自らのライターとしての可能性を削ぐことでしかありません。最近の「週刊文春」の勢いを知らない人はいないと思いますが、彼らは「攻め」「拡張」路線で成功しているのです。雑誌が売れない時代だからこそ、投資をしてコンテンツ力を高めることで成功しているのです。お金がないからと、投資せずに原価を削ることしか考えない出版社に当然未来はありません。コンテンツに力を注がないメディアや、お金のないメディアに、人を魅了する優秀な才能は集まらないからです。

② 一般企業がWebメディアを持ち始めている

マスメディア、Webメディアともに広告の効果が薄れてきているのを背景に、企業は自らメディアを持ち、情報を発信し始めています。これまで一般企業がテレビ局や新聞社、出版社のようなマスメディアを持つことは困難でしたが、Webメディアは簡単に持てるようになりました。そこで企業発のメディアが次々と生まれ、コンテンツを制作するニーズ、つまりライターの必要性が一気に高まったのです。

③ Webメディアには経験豊富な編集者が足りない

一般企業がWebメディアを簡単に持つことができるようになったとはいえ、コンテンツ制作のノウハウを持つには至っていません。そこで企業はコンテンツを制作するパートナーを探すことになります。しかし、Web業界は編集者不在に慌てることになります。Webディレクターやデザイナーはいっぱいいますが、編集者? どこにいるの? となったわけです。そこでプロの編集者がいる出版社や編集プロダクションの出番なのですが、彼らは紙メディアを中心にコンテンツ制作をしてきたため、往々にしてWebメディアのお作法に勝手がわからず戸惑っています。それゆえに、Webリテラシーの高いライターや編集者が重宝される状況が生まれました。

④ プロとアマチュアの境界線がなくなってきた

プロとアマチュアの違いは、書くことでお金を稼ぐか、稼がないか、だけです。自分で情報が発信できるようになったため、プロの編集者やプロデューサーに認められる必要はないのです。ブロガーやアフィリエイターやユーチューバーも、お金を稼いで生計を立てていればれっきとしたプロなのです。 

Web時代はアマチュアが趣味でプロと同じ土俵に立って情報を発信することができるのです。そしてその価値はユーザーが直接決めるため、そのコンテンツがプロの作ったものかアマチュアが作ったものかなど関係ないのです。

以上がハイブリッドライターが求められる背景になりますが、ハイブリッドライターになるには以下のような能力を備えると力強いです。

① Webメディアの特性を知る
② 企画力
③ ソーシャルメディア力
④ 文章だけに限らない表現力
(写真、動画、イラストなど)
⑤ 得意な専門分野

ひとつずつ見ていきましょう。

① Webメディアの特性を知る

下記はWebメディアと紙メディアでよく言われる違いです。

<紙メディア>
① 文字数制限厳しい
② 文章力の高さが問われる
③ 修正ができない
④ 原稿料が高い
⑤ 編集のプロがいる

<Webメディア>
① 文字数制限ゆるい
② 文章力のチェックがゆるい
③ 修正がすぐできる
④ 原稿料が安い
⑤ 編集のプロがいない

これを見て納得しましたか?

じつは①〜④の違いはメディアの特性としての違いではなく、「⑤ 編集のプロがいない」ために起きている現象と言ってよいでしょう。それゆえに、まだまだWebメディアには、クズ記事で埋め尽くされたアフィリエイトサイトやオウンドメディアが溢れているのです。つまり紙メディアで当たり前とされている編集スキルを持つことは、Webメディアで大きなアドバンテージになるのです。

② 企画力

「仕事がない」というライターは「待っている」からないだけです。あるいはニーズに沿ったスキルを備えていないだけです。企業も出版社もWeb制作会社も広告代理店もみんな、コンテンツを制作するための企画を欲しがっています。ユーザーを集めてくれる企画とコンテンツを探しまわっているのです。

そして、何よりも企画を出してくれるライターを探しているのです。

では企画力はどうやって身に付ければよいのでしょう?
企画力を磨く方法の一部を紹介しましょう。

【リサーチ】 
リサーチは情報感度を磨くための有効な手法ですし、リサーチに優る頭の体操はありません。たとえば「くしゃみをするとなぜ気持ちいいか?」を調べるとします。すると人間はくしゃみに限らず、涙、汗、声、おなら、射精、愛液など「出すことが気持ちいい」ことに気づくかもしれません。そして「涙・快感・健康・悲しみ・感動・喜び・セックス・玉ねぎ」など関連するキーワードを思いつくだけ出してみます。曼荼羅チャートを使ってみてもいいですね。連想ゲームは企画の原点ですのでぜひ試してみてください。

【出し続ける】
クルマもときどき走らせないと調子が悪くなります。どんなスポーツも練習しなければ上手にはなりません。アイデア出しも同じです。アイデアは出し続けると連想が連想を呼んで、アイデアの膨らむスピードが加速していきます。リサーチ同様にとにかく組み合わせるキーワードを出し続けることが重要です。

【ブレスト】
自分一人のアイデアには限界があります。とにかく自分となるべく遠い発想の人(嫌いな上司とか)、考え方の違う人(いけ好かないクライアントとか)、違う職業の人(大学時代の友人とか)、年齢の離れたお年寄りや女子高生(楽しそう)とやるほうが斬新なアイデアが出てくる可能性が高いです。ふだん仕事では編集者とすることが多いかもしれませんが、まったく畑違いの人とするほうが想定外の企画が生まれたりします。

【役に立つこと】
ゼロから何か斬新な面白いことを考えようとすると、すぐに行き詰まります。また「面白さ」は人によって琴線も違うことが多く、主観的になりがちです。面白さに振り回されることで企画主旨の軸がブレてしまう恐れもあります。まずは「役に立つこと」から考えるといいでしょう。

【盗む】
誰も思いつかないような斬新なアイデアや企画など、そうそう出てくるものではありません。まずは盗みから。

天才画家のピカソも言ってます。
「凡人は模倣し、天才は盗む」と。

発明家のエジソンも言ってます。
「商工業の世界では誰もが盗む。わたしもずいぶん盗んだものだ。 肝心なのは、いかに盗むかである」

芸術家のダリも言ってます。
「何もまねしたくないなんて言っている人間は、何も作れない」 

映画監督のコッポラも言ってます。
「私たちから取ってほしい。まずは盗んでみてほしいんだ。なぜなら、結局は盗みきれないからだ。盗めるのは、私たちが与えたものだけだ」

世の天才たちはみんな「盗む」ことを奨励しているのです。

【水中ウォーキング】
これは私がやっている手法です。原稿を書く前はたいてい水中ウォーキングでリラックスしながら、のんびりアイデアを考えたり、文章の構成を考えたりします。水中ウォーキングがアイデアを考えるのに向いているのはアルファ波が出るせいかもしれません(体験的にそう感じるだけです。事実かどうかは調べてみてください)。散歩が好きな人は散歩でもいいでしょう。思わぬ風景との遭遇でインスピレーションが湧いてくるかもしれません。


③ ソーシャルメディア力

Webライターとして生きていくためには、もはやソーシャルメディアの体験と知見は欠かせません。なぜならあなたが書いた記事はメディアに来る人に知ってもらうか、さもなくばソーシャルメディアを通してでしか拡散する手段はないからです。また自ら体験しないでソーシャルメディアの住民の心をつかむことはできません。「郷に入りては郷に従え」の姿勢で、ソーシャルメディアの特性を知っておきましょう。

【主なソーシャルメディアの特性】
Facebook→リア充・情報収集
Twitter→本音・情報収集
Instagram→おしゃれ・リアル
Pinterest→おしゃれ・情報収集
LINE→パーソナル
Vine→面白さ・インパクト

たとえば今年3月に、インスタグラマーとして人気の高いタレントのGENKINGさんの「Googleは使わない、SEO対策しているから」という発言がWeb業界で話題になりましたが、彼はinstagramの魅力の1つとしてユーザーが信頼できる「リアル」があると語っています。

④ 文章だけに限らない表現力

Webメディアにおいては、表現手法の質はあまり問われません。美しい写真やテレビCMのような高品質な動画は必ずしも必要ではありません。人に訴求するのは見た目の美しさより、心を動かすコンテンツです。プロが撮った写真や動画よりもアマチュアのリアルなコンテンツのほうが、ときには強い訴求力を持ちます。プロとアマチュアの境界線がないWebメディアにおいては、必ずしもクオリティの高い文章や写真、イラストが求められているわけではないのです。コンテンツの質とは、すなわち表現手段の質ではなく、ユーザーにとって価値があるかどうか、だけなのです。

「Webメディアは予算が少ないから、いいカメラマンを使えない」という話もよく聞きますが、逆に言えばアマチュアの写真や動画でも、ちょっとしたコツを掴んだコンテンツのほうがユーザーの心を動かすこともあるのです。その分野のプロになる必要はありません。「書く」以外のスキルもちょっとかじって身につけておくだけでとても重宝されます。自分でやらなくても、知識として知っておくだけでもディレクション時に役立ちます。原稿料2万円、撮影費3万円を払う予算はないけど、ライターが撮影を兼ねて3万円でやると言えば、かなり高い確率で仕事が増えます(ただしテクニック的なスキルがない分、ユーザーの心を動かす見せ方やメディアに合った見せ方は学ぶ必要があります)。

⑤ 得意な専門分野

これは紙メディアでも同じですが、文章の上手なライターより、専門分野に長けたライターのほうが生存能力もニーズも高いという事実があります。景気にもあまり左右されません。熱帯魚や鉄道が好きなマニアは、景気が悪くなっても一定数必ずいるからです。

また、依頼主にとっても、文章の上手なライターを見極めるのは難しいですが、その分野に強い、あるいはその分野のネットワークを持つライターはわかりやすいので、ニーズが発生したのときの判断がしやすいのです。自分の好きな分野は誰にしもあると思います。ぜひそれを得意領域として磨いておくと良いでしょう。

売れるライターの条件

紙だけ、Webだけ、待つだけ、書くだけ、というライターへの仕事はどんどん減り続けます。単価も下がる一方です。

年収300万円で満足できるのであれば、従来の職業ライターに留まるのもよいでしょう。しかし、それではライターという職業のやりがいも喜びも半減してしまいます。

はあちゅうさんやイケダハヤトさんは、稼げるハイブリッドライターの象徴でしょう。しかし、彼らのようにわざわざ炎上マーケティングを狙わなくても、稼げるハイブリッドライターにはなれます。

最後に私が知る「稼げるハイブリッドライター」の例をご紹介します。

<リアル体験至上主義のNさん>

とにかく足を使う(リアル体験至上主義)ライターです。最近はWebから情報をかき集める二次情報のまとめ屋になってしまって、取材体験のないライターも多く見られます。しかし、稼げるハイブリッドライターになるためには、取材は基本中の基本です。取材とはすなわち「傾聴力」の訓練でもあります。いかに人の意見や要望に耳を傾けて、それを多くの人に届くように料理をするのがハイブリッドライターの仕事です。

私がNさんと始めて出会ったのは、旅行誌の編集をしていたときでした。そのとき私は全国の観光名所を紹介する1ページのコラムの担当をしていました。そこで私は試しにそのコラムをNさんに依頼することにしました。旅行好きというわりに旅行取材の経験もあまりなかったのですが、話していてNさんの考え方や取材に向き合う姿勢などに共感するところが多かったので、依頼してみようと思ったのです。

そのコラムページは予算が少なく、旅行会社の観光パンフレットや各地方自治体の資料や本などをまとめて書くというものでした。するとNさんは、資料集めはもちろん、現地名産のみかんを取り寄せて、みかんと合わせてその地の魅力を紹介する記事にまとめてきました。取材がないゆえに少しでも「リアル」な魅力を伝えようとNさん自身の判断で“みかんの味を体験した”のです。彼の“リアルな体験”を交えたコラムは、まさにシズル感に富んだ面白い記事に上がり、それまでは毎回違うライターに依頼していたのですが、以後、そのコラムはNさんの連載企画としてやることになりました。そして、その後は特集企画でも一緒に組んで全国各地に取材に行くことが増えました、

また、Nさんは「カメライター」という肩書きも持ち、撮影ができるライターだったので(好きで上手になった程度です)、予算の少ないちょっとした都内の取材のようなときには大変助かりました。


<口出しの多いSさん>

元々編集者ということもあり、企画について相談をすると、いつも必ず構成案を作ってきてくれます。なお私自身が考えた企画にスパイスとなるアイデアも提案してくれます。つまり、いかにしたら記事がより面白くなるか、を必ず一緒に考えてくれるのです。そういう企画に「口出しをする」ライターを面倒臭がる編集者もいますが、まともな編集者なら、企画を一緒に考えてくれるライターを嫌がる理由はありません。またSさんは日本酒に関しては知らないことはない、というほど造詣が深く、取材経験も豊富でしたので、自分にお酒の仕事が回ってきたときは、いつもSさんに丸投げしています(^..^);。

<リサーチ力とツッコミ力がハンパないIさん>

とにかく早い。Iさんは24時間パソコンの前で待機しているのではないかと思うくらいレスが早いライターです。この業界はレスの遅い編集者があまりにも多いので、こういうハイブリッドライターはとても貴重な存在です。またリサーチ力とツッコミ力が高く、その細部に至る執拗なこだわり方は、性格が悪いからではないかと疑うくらいです(^..^);。また腐女子的な雰囲気を醸し出していて、アニメやソーシャルメディアの知見が豊富。デジタルネイティブ世代ということもあって、まさに次代のハイブリッドライターの典型と言えます。

またIさんは20代半ばで1年ほど海外留学をして、帰国後、編集者として就職活動をしたそうですが、なぜか十社以上に落とされてやむを得ずフリーのライターになったそうです。しかし、今では会社員時代の収入の2倍以上を稼ぐ売れっ子ハイブリッドライターとして活躍されています。

以上、稼げるハイブリッドライターになるための条件について紹介しました。

これからライターになりたいという方、いますでにライターをやっているが、なかなか稼げないという方も多いかと思います。

これからは自身のライターとしての特性と適性を見極めて、稼げるハイブリッドライターをめざしませんか?

というわけで、ただいまあるメディアでハイブリッドライターをめざす方を絶賛募集中です。科学やハイテクに興味があるというライターさんは、下記メールアドレスにぜひご一報ください。
お待ちしております!

narita.yukihisa@gmail.com

(文・成田幸久)


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コメント3件

とても勉強になりました。元々テクニカルライターをしておりました。自分に足りないものを再認識できました。本当にありがとうございます!
コメントありがとうございます。がんばってください。
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