今日は、半年ぶりに

クラスメートに会った。成績表を取りに行ったからである。成績表を取りに行ったというよりも、今年度の学生証を取りに行ったというのが正解である。
 ボクは後期試験をすべて放棄していた。すべての登録科目は「不可」であると確信して学校に行った。みんなはボクを待っていた。ボクがどんな顔をしてくるのだろうかを、楽しみにして待っていたというみんなの目だった。ボクは試験を放棄して5度目の大学受験を受けていた。結局はミゴトに不合格だった。みんなのその目を見るなり、ボクは両手で大きなバツをつくってひょうきんに、
 「ダメやったし、しゃぁないわ!」
と繰り返しみんなの中に入って行った。ボクにはそうすことしかできなかった。それでも二三人の仲間は、
 「どこ受けてん!」
と訊いてくる。
 「いろいろなッ。だめやったんやし、しゃぁないわ!」
とボクは答えるだけだった。自分にも何が「しゃぁないのか」よくわからなかったが、ボクの口からはその言葉しか出ようとしなかった。
 「まぁとにかく成績表と学生証をもらいにいかはったらどうですか」
と一番親しいサトウがみんなの追及をかわしてくれた。彼だけは、ボクにいつも敬語を使う。

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