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WHO国連加盟国に緊急ひきこもり指令

 WHO(世界ひきこもり機関)は、2020年4月1日、全世界の国連加盟国に緊急ひきこもり指令を出した。新型コロナウィルスCOVID-19の感染が拡大するなか、世界各国では、学校の一斉休校、人の集まるイベントの中止、生活必需ではない店舗などの閉鎖、外出制限、都市の封鎖(ロックダウン)など、多くの人びとが自宅で過ごすことを余儀なくされている。そして4月1日、ついにWHO(世界ひきこもり機関)が緊急ひきこもり指令を発出するにいたった。指令内容は「不要不急の社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6カ月以上にわたって、おおむね家庭にとどまり続けること(他者と交わらないかたちでの外出をしていてもよい)」となっている。なお、WHOは、指令対象は原則として新型コロナウィルスの陽性にもとづくひきこもり状態とは一線を画した非ウィルス性の場合としているが、実際には確定診断がなされる前の状態が含まれている可能性は低くないことに留意すべきである」としている。

 流通や生産活動も停滞するなか、世界規模で経済への深刻な影響が懸念されているが、一方で、これまでの経済状態は過剰な生産と消費によって無理やり拡大されてきたのであって、コロナウィルスによって、それが可視化されたのだとも言える。各国でひきこもりを命じられた人びとは、現在の状況をどう受けとめているのだろうか。

 イタリア北部ミラノで自宅待機を命じられているマリオ・コモリオーネさん(42歳)は、本紙の電話取材に対し「深刻な事態だけど、こういうときこそ落ち着いて生活することが必要さ。パスタをゆでなきゃならないんで、もう切るよ。チャオ!」と話した。また、アメリカ東部ゴッデムシティのホアキン・パプキンさんは「トランプをするならジョーカーが欠かせないね。人々は気づき始めている。これは悲劇ではなくて喜劇(コメディ)なんだ。君には理解できないだろうけどね。オレが狂っていると思うかい? 狂ってるのは、この世界さ」と話すと、大声で笑い続けた。

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 これまで、ひきこもりは社会の害悪であるかのように見なされてきたが、そもそもは、多くの人が過剰な生産のために過剰な労働を強いられてきたことが、そこからこぼれる人への憎悪となってきたのだと言える。そして、さまざまな問題を生み出してきた。
 新型コロナウィルスの影響は早期の収束が望まれるが、必要なことは、ウィルス対策にとどまらず、人びとが強いられたひきこもり生活を通して、この社会のあり方を根本から問い直していくことだろう。
【ゴッデムシティ支局・クラウン浅田】

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