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哲学教室 [中学生の部] (5月28日実施)

ナラナラ・スクール事務局の矢口ゆりです。
各教室の様子を個人的な感想と共にお伝えします。

https://narranarra-school.myportfolio.com/

5月28日(日)に哲学教室(中学生の部)を実施しました。
世界中で読み親しまれている『ガリバー旅行記』(ジョナサン・スウィフト 作、柴田元幸 訳)を読みながら、自由に語り合う教室です。


◉『ガリバー旅行記』第2部のまとめ、第3部が風刺する内容等
5/28に確認した内容:
・ブロブディングナグ国には、イデア、実体、抽象、超越といった哲学概念がない
・画家のパウル・クレーは、抽象という概念を絵画で表現しようとした抽象画の巨匠である
・超越とは、神のような存在のことを意味する
・ラプータ人が考える内容は数学と音楽のみで実際的なことは全く考えず、目は内側と上を向いているため、目の前の実体を見ることができない
・ラプータ人は抽象的なことばかり考えており、すぐに眠くなってしまう
・漂流先の新しい言語を短期間で習得してしまう点がガリバーの凄いところだが、その言語学習方法は自分で辞書を作成することである
・ラプータは天空から地上の人々を支配しているが、当時のイギリスがアイルランド等の植民地を支配していたことをスウィフトが比喩で表現している
・支配者側のラプータ人は実際的ではないことばかり考えて目の前を見ていないので、妻が支配される側の地上の男性と遊びに出かけても気付かない
・支配者が抽象的な遠い世界のことばかり考えており、支配される側にいる一人一人については考えられないということもスウィフトは風刺している

語り合った内容、意見等:
・魂やお化け等を信じるか、お祈りや墓参り等をしたりするか
・人生の危機について
・人間は失敗して当然であり、若い時に挫折を知っておくべきである
・神等の抽象的なことは、大事なことだと思うか
・算数や数学は好きか
・xy方程式等、抽象的思考である数学を何故勉強する必要があるのか
・抽象化について
・天体の音楽は存在すると思うか
・アインシュタインの相対性理論と量子力学について
・量子論で考えると、天体の音というものは存在する可能性がある

次回実施予定日:6月4日(日)




ここからは私の個人的な感想をお伝えしますね。

前回お休みされた参加者さんがおられたので、内容を振り返りながら始まりました。
イデア、実体、抽象、超越といった哲学概念についても、パウル・クレーの抽象画等を例に挙げて説明していました。

続いて、神等の抽象的なことは大事なことだと思うかについて、中村が参加者さんに質問していました。
参加者さんは「神様は信じないが、砂漠で遭難する等のサバイバル的な状況下であれば神様を信じたくなる時もある」「抽象的なことを考えながら、その中で具体的なことを見つけられることもあるので必要」と回答されていました。
極限状態で神にすがりたくなる気持ちは、確かに当然のものだと思います。
そして、そういった抽象的なことと具体的なことのバランスが重要なのだと思いました。
さらに、抽象的思考である数学を何故勉強する必要があるのかについて、参加者さんに質問していました。
参加者さんから様々な回答がありましたが、「色々な問題に対応するための力を育てるため」という的確な意見に深く納得しました。

抽象化についても、参加者さんへの質問を交えつつ中村が説明していました。
夕食後から就寝までの行動を例を用いていましたが、中村が発言していたように、参加者さんは非常にお忙しい毎日をお過ごしなのですね。
遊んでばかりだった中学時代の自分が恥ずかしくなりました。

後半は、天空の音楽と量子論の話になりました。
少し難しい内容でしたが、難しいながらもとても面白いと感じる理論でした。
天体の音というものが存在するのだとしたら、いつか聞いてみたいですね。

そのようなことを色々と感じながら、興味深く拝見いたしました。
特徴的な外見を持つラプータ人が登場する第3部ですが、ここでも様々な風刺が込められているのですね。
「支配者は支配される側を抽象的にしか捉えられない」という中村の発言が印象に残りました。
最後に、抽象画を次回までに描いてきてほしいと中村が参加者さんにお願いしていました。
次回の内容も楽しみです。
皆様、お疲れ様でした。


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