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私はこうするよ ~インボイス編~

3度の飯より確定申告を愛するナレーター・むとうまきこです。

いよいよインボイス始まりますね。そこかしこから阿鼻叫喚が聞こえます。

「こんなことで立ち行かなくなる仕事なら、それは商いとして成り立ってないんだ」とか、「文化の担い手をつぶしちゃいけない」とか、様々な立場で様々な意見があって、私がどういう立場かを表明することはしませんが、もう、本当にフラットに、
「私はこうやって乗り切るよ」をまとめておこうと。

これが万人にとっての最適解というわけではもちろんないし、私は専門資格を持っていないので具体的な相談には乗れないけれども、一定程度「本当にマジでどうしていいか分からない」「全然何も考えてない」という人が居るということに驚愕し、考える気になった時の助けとして、私のまとめがお役に立つのではと思ってまとめるものであります。

できるだけ正確にまとめるよう気を付けますが、分かりやすさを優先してかなり省略した書き方をしています。
また、2023年9月27日時点の最新情報を元に書くもので、以後の法令改正やサービスアップデートに逐次対応するものではありませんので、この記事を参考にしていただくのであれば、閲覧時点の最新情報を確認するようにお願いします。

0.前提として

インボイスが始まるにあたって、最後までSTOP掲げてる人もいらっしゃいますし、現に後出しで緩和策や特例が出てくるのでどうなるか分からないっちゃ分からないんですが、少なからず影響を受けると思われる事業者の姿勢として私が一番良くないと思うのは、「何も考えてない」ことと、それを安易に表明してしまえるスタンスです。

まったくの趣味で、文化的活動として声の仕事をするならば別ですが、企業を相手に、対価を頂いて仕事をする以上、フリーランスに発注する企業としても一大関心事であるインボイスがどうなっていくのか、どう対応するのか、考えてないっていうのは、すごく問題であると。

9月下旬とかに「どうしようかなー」とか言ってる人が居るのを見るにつけ、いや、本当なら3月末が申請期限だったんだから(延びたけど、結果として延びたけど)、この期に及んで対応決めかねてるなんていうのは、違う意味でお仕事なくなっちゃうよ…と戦慄しているのであります。

賛成反対という立場は信念の世界ですので、それを表明することはまさに個人の自由ですが、「仕事溜まってるけど今日やる気でなーい」とか「このクライアント超めんどくさーい」とか発信する人に仕事頼めないよね、というのと同じ次元で、「法改正あるけど何も考えてなーい」はリスキーだよということを申し上げたい。

という私の問題意識を前提として、この対応内容が正しいとかそういう押し付けでは全くなく、「私はこうする」をまとめます。

1.受注側として

①適格請求書発行事業者になる

なります。これは、なります。なりました。

いろいろ考え方はあると思いますが、私は取引先に大企業が多く、取引相手が免税事業者じゃない・簡易課税制度を選択できない企業が多いと思われ、私の適格請求書がないと、取引先が仕入れ税額控除できないと容易に想像できるため。

これまで納税せずに済んでいた消費税分、端的には手取りが減るわけですが、その分いっぱい働こうー!お仕事もらえるように頑張ろうー!場合によっては料金設定を見直していこう!それに見合う価値を提供できるように頑張ろうー!以上です。

②簡易課税制度選択届出書を提出する

出しました。10月から適用されます。
でも、これは結果として出さなくてもよかった。後から「③2割特例」というのが登場したので…。だからといって取り下げないといけないということもありません。

「簡易課税制度」とは、ものすごく簡単に言うと、
受け取った消費税-支払った消費税という計算をすることなく、「受け取った消費税額×業種ごとの一定の割合(みなし仕入率)」という計算で仕入控除税額を求め、納付する消費税額を決められる制度です。

「業種ごとの一定の割合」はこちらで確認できますが、声の仕事に従事する私は「サービス業」と分類され、みなし仕入れ率が「50%」になります。
受け取った消費税-(受け取った消費税×50%)が、納める消費税額ということになります。

この方法ですと、計算簡単というメリットに加え、
自分が支払う消費税に関して、必ずしも適格請求書(いわゆるインボイス)を収集・保管する必要がありません。
このことは、「2.発注側として」で詳しく書きます。

③2割特例を使う

令和5年度税制改正で導入が決まったインボイス制度導入に係る激変緩和措置のひとつです。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/202304/01.htm

超簡単に言うと、インボイス制度を機に課税事業者になった売上1000万以下の事業者は、受け取った消費税から8割を差し引いて納付税額を計算できるという制度で、時限的な特例です。

サービス業の場合、簡易課税制度だと差し引けるのは「5割」ですが、この特例を使えば「8割」差し引ける。しかもこの特例は事前に申請書等を提出する必要がなく、消費税確定申告時に「適用を受ける」と記載すればOK。

簡易課税制度同様、自分が支払う消費税についてインボイスを保存する必要がありません。

2割特例を利用すれば、直接的なインボイスによる負担増は、
1年間の売上(初年度は10月~なので3か月※)× 0.1(売上に係る消費税額)× 0.2(2割特例)ということですので、年間売り上げの「2%」ということになりますね。

※修正:個人事業主は1~12月が基準期間ですので「3か月」ですね、失礼しました。

④確定申告ソフトを使う

そこそこ売り上げのある個人事業主は、元々何らかのソフトは使ってるのではと思いますが、これまで自力で帳簿付けて申告書書き上げてたという猛者も、消費税の申告まで入ってくるとなると、いよいよソフトの力を借りたほうがいいと思います。

私がお世話になってるマネーフォワードは、最安プランでは消費税に対応してなかったため、パーソナルミニ→パーソナルへ、ひとつプランを上げました。年2,160円の負担増です。しかも12月から料金改定でさらに年3,600円値上がりします。

改定後の年額で15,360円。
これでもfreeeの年額23,760円よりは安いんだけど、freeeさんはレシートの写真から内容読み取って仕訳してくれるOCR機能あるから単純な比較はできない。
OCR機能に関してはマネーフォワードも2024年6月に追加料金で対応するようなので注視。
続編として書こうと思っている改正電子帳簿保存法対応で大きく関わってくる内容なので、これはこれで重要です。

2.発注側として

①簡易課税制度(または2割特例)を適用する

制度については「受注側として」で書いてるので省略しますが、自分が納付消費税額を計算するにあたり、簡易課税制度や2割特例を適用していれば、取引相手からインボイスを取り寄せる必要がありません。

私自身、整音作業をエンジニアさんに依頼したり、ボイスサンプルの原稿を考えていただいたり、私から個人事業主の方へのお支払いが発生する場面があります。
こういう時、発注する買い手としての私は、相手からインボイスを取り立てる必要がなくなります。

私としてはこれ結構大事。
自分がインボイス発行事業者になることには迷いがないんですが、私が発注側に立つ時、インボイス発行事業者としか取引できない(でないと私が損する)というのはなんか悲しい。確認も面倒。

2割特例は、現時点で2026年9月末までの時限的措置ですが、簡易課税制度は…続いてくれると願おう。

3.まとめ

もっと項目増えるかと思ったけど、それほどでもありませんでした。
巷で言われてるように、電帳法対応のほうが大変になりそうだ…

インボイスに関しては、決して読みやすくはないけれど、国税庁が出してる事前準備チェックシートです。最初からこれを出せばよかった。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0022009-057.pdf

特例適用で、当面の直接的な負担増は「2%」と言ってしまっていいと思いますが、これをどうとらえるか。
多めに見積もって確定申告ソフトの利用料まで入れるとして、私の場合、10万円ぐらいの変化です。年間で、5本お仕事が増えれば、充分回収できる金額。

私はまだ開業4年目で、伸びしろがあると自分自身思えて、2022年は売上高前年比113%だったので、2023年もサボらず頑張れば「5本」あるいは「10万円」という負担増は乗り越えられる数字だと思っています。

2割特例が終わってしまうとこの数字はもっと大きくなるし、何事もいつまでも右肩上がりなんてことはないのですが、まずはこの特例がある3年間で、次の打ち手を考えよう!ってことかなぁ。

少なくとも、私というフリーランスに安心して発注いただけるように、社会人としての振る舞いはきちんとしていたいと思うのであります。



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