Naruki Chigira

CTO@Mirrativ, inc. https://twitter.com/_nar…

Naruki Chigira

マガジン

  • 月刊 読んだ本

    その月に読んだ本を感想付きでまとめています。ジャンルは技術書・ビジネス書が多いですが、興味の向かい方によっては色々な本を読みます。

  • コラム

    読んだ文献や論文などについて、不定期でまとめます。

最近の記事

読んだ本 2024年4月号 7冊

★★★★★ / THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス インターネットを THE MODEL で検索すると4分割されたプロセスのシンプルな図が出てくるが、本書を読んだ印象はそのシンプルさとは異なり、試行錯誤で作られたプロセスについての考え方が書かれている。 また、本書で扱う範囲は営業のモデルに限らず、経営に関する他の要素にも触れていて、広い領域で応用が効きそうである。 本書の立場は、「おわりに」の冒頭に書かれている文

    • 読んだ本 2024年3月号 6冊

      ★★★☆☆ / WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理 上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源原題は『The WEIRDest People in the World: How the West Became Psychologically Peculiar and Particularly Prosperous』で、WEIRD は Western, Educated, Industrialized, Rich and Democratic のそれぞれの単語の頭文字

      • 読んだ本 2024年2月号 8冊

        人文書を2冊、技術書を3冊、ビジネス書を3冊読んだ。 一般意味論★★★★★ 空軍の大佐であり数学者でもあるラポポートが、コーズィブスキーの提唱する一般意味論に則り、意見の相違による衝突の問題などを評価の過程、価値判断、抽象作用等々によって日常的な言葉を通じて解明していく。 本書は22のセクションから構成されていて、それぞれのセクションがテーマを持っている。冒頭では具体例を提示することに注力していたり、会話形式で議論を展開したりなど、全体を通して読みやすいように工夫されて

        • 読んだ本 2024年1月号 7冊

          ビジネス書を5冊、技術書を2冊読んだ。 コーポレートファイナンス 戦略と実践★★★★☆ 会社の設立と成長、上場後のIRやM&Aまで、時間の経過による企業の成長を Life of a Company と呼ぶ図式で捉え、各ステップで必要になる前提知識や財務戦略の解説がされている。 実在する企業の実績や数字を示して説明がされているため、実感を持って読み進めることができる。一方で、指標の計算方法は知っているが意義が分からないといった読者に向けて書かれているように読める部分もあり、各

        読んだ本 2024年4月号 7冊

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        • 月刊 読んだ本
          19本
        • コラム
          0本

        記事

          読んだ本 2023年12月号 5冊

          ビジネス書を4冊、技術書を1冊読んだ。 会社はだれのものか★★★★☆ 機械製工場を利益の源泉とする資本主義である産業資本主義の時代が終わり、差異性が価値を生む時代になったことでヒトの価値が上がったという主張を軸にして、M&AやCorporate Social Responsibility(CSR) の議論と共に会社の社会的な存在意義について論じている。 本書は第一部と第二部に分かれていて、分量はそれぞれ本文のおよそ半分を占めている。第二部は対談の書き起こしになっていて、著

          読んだ本 2023年12月号 5冊

          読んだ本 2023年11月号

          専門書を2冊、ビジネス書を3冊、技術書を1冊読んだ。 軍事学入門★★★★☆ 軍事力が持つ様々な役割や歴史的な推移、陸上・海上・航空戦力と作戦、情報やミサイルなど現代の各種戦力の解説などが書かれている。軍事力の国際的な役割や、抑止の為の戦略などが分かり、おもしろい。 本書は6章構成になっている。 第一章 理論(軍事力とはなにか)  第一節 軍事力の概念 / 第二節 軍事力と外交 / 第三節 国際法と軍事力 / 第四節 リーダーシップ 第二章 軍事力の歴史的研究  第一節

          読んだ本 2023年11月号

          読んだ本 2023年10月号

          ビジネス書を1冊、プロダクトマネジメントについての本を2冊、社会学についての本を1冊読んだ。 クルーシャル・アカウンタビリティ 期待を裏切る人、約束を守らない人と向き合い、課題を解決する対話術★★★★☆ 前作『クルーシャル・カンバセーション』に続き、人と向き合う際に誠意を持って接するための考え方などが書かれている。前作と比較して、「この人はなぜこんなことをしたと思うか」というような問題の原因を何に帰属されるかという観点が強く書かれていて、ピープルマネジメントに対して有用であ

          読んだ本 2023年10月号

          読んだ本 2023年9月号

          コーディングについての本を1冊、組織論を1冊、コミュニケーションについての本を1冊読んだ。 ルールズ・オブ・プログラミング ―より良いコードを書くための21のルール★★★★★ 『Ghost of Tsushima』の制作者の一人による、コーディングの方針について書かれた本。読みはじめは挑発的な文章に見えるかもしれないが、全体的に楽しめながら、かつコードの具体例も交えつつ読み進めていける構成であり、内容も実用的である。 比較対象としてリーダブルコードを挙げると、リーダブルコ

          読んだ本 2023年9月号

          読んだ本 2023年8月号

          専門書を3冊読んだ。 SLO サービスレベル目標 ―SLI、SLO、エラーバジェット導入の実践ガイド★★★☆☆ サービスレベル目標の概要や組織への導入などについて書かれていて、SLO, SLI がどういった考え方のものなのかが分かる。 概念的な説明が大半を占めている。実装や運用の例であったり、詳しい計算式などは実用に足るほどは書かれていない。文章量の割には得られる情報は多くなく、詳しくは他の書籍をあたるのがいいと思われる。 本書は17章3部構成になっている。 第Ⅰ部

          読んだ本 2023年8月号

          読んだ本 2023年7月号

          専門書を3冊、ビジネス書を1冊、読み物を1冊読んだ。 Joel on Software★★★★☆ 2004年に書かれた古典的な立場の書籍だが、本書の前半には現代においても変わらず重要な考え方が書かれていて、プレイヤーであってもマネージャーであっても参考になる。 ユーモアの一部なのだろうが基本的に語調が強く、特に著者が勢いにのって批判的な立場をとっている場合には、流されすぎずに冷静に読み進める必要がある。 本書は著者 Joel Spolsky のブログ記事をまとめたもので

          読んだ本 2023年7月号

          読んだ本 2023年6月号

          技術書を1冊、ビジネス書を2冊、会計の本を2冊読んだ。 プログラマーのためのCPU入門 CPUは如何にしてソフトウェアを高速に実行するか★★★★★ 「本書の主眼は、...CPUを理解してより良いプログラムを書きたい人のための説明である」。CPU上の計算の高速化のための工夫と、高速化の工夫を阻害する要因について説明がされ、阻害要因を回避する方法について一貫性のある構成でわかりやすく書かれている。 本書はアセンブリプログラムを通じてCPUの動作の再現が行われる。アセンブリプロ

          読んだ本 2023年6月号

          読んだ本 2023年5月号

          数学書を1冊、ビジネス書を1冊、専門書を3冊、読み物を1冊読んだ。 確率と生活★★★☆☆ ボレル集合のエミール・ボレルの本を見かけて、生活に根ざした確立の概念についてのお話が読めるかもと思って読んでみた。 訳者の補足によって多少複雑な数式が紹介されているものの、日常生活に根ざした内容で、難しい話は一切ない。 「ルーレットには良心もなければ記憶もない」といったユーモアのある話からはじまり、確率的に起こらなそうなものは現実的には起こらないという観点から、どういう出来事が確率

          読んだ本 2023年5月号

          読んだ本 2023年4月号

          ビジネス書を1冊、専門書を3冊、考え方についての本を1冊、デザインに関する本を1冊読んだ。 なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践★★★☆☆ 本書の原題は『Immunity to Change - How to Overcome It and Unlock the Potential in Yourself and Your Organization』であり、直訳すれば『変化に対する免疫 - どのようにしてあなた自身やあなたの組織の免疫を乗り越え

          読んだ本 2023年4月号

          読んだ本 2023年3月号

          技術書を4冊、ビジネス書を1冊、専門書を1冊読んだ。 Scaling Lean & Agile Development: Thinking and Organizational Tools for Large-Scale Scrum★★★★★ 副題である "Thinking and Organization Tools for Large-Scale Scrum" が内容をよく表している。スクラムの規模を拡大する際に役立つ考え方や組織構造について、現在の LeSS、LeSS

          読んだ本 2023年3月号

          読んだ本 2023年2月号

          法律書を1冊、技術書を3冊、ビジネス書を2冊読んだ。 新アプリ法務ハンドブック★★★★★ 本書は3部構成になっていて、アプリの「開発」「提供」「運用」の各フェーズで関わるかもしれない法律上の話題について過去の事例とともにまとめられている。 第1部の「開発」フェーズでは、主に知的財産権、Apple や Google といったアプリストア提供者がアプリ提供者に対して示す契約について書かれている。 Apple や Google の規約の全体像が分かりやすくまとめられていて、アプ

          読んだ本 2023年2月号

          読んだ本 2023年1月号

          専門書を1冊、ビジネス書を2冊、技術書を4冊読んだ。 産業・組織心理学 改訂版★★★☆☆ 過去の多くの研究の事例が各章でカタログ的に紹介されていて、5章の職務満足感までは職種によらない汎用的な話になっていて参考になった。とくに内発的モチベーションに関する話題は納得感があり、よかった。 一方で6章からは採用、評価、消費者心理学など、時代や国、職種にも依存するだろうと思われる話題が多く、文章としては読めるが安易に応用しようとすると危険なのだろうという印象を受けた。 コンピテン

          読んだ本 2023年1月号