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一体何が違うんだろう

金曜の夜、新橋のまちに降り立つ。

「広い席ご用意できますよ!」
「一杯、どうですか?」
「ギョウザおいしそう~、ここにしない?」

一週間を終えた大人たちの、解放感と熱気が充満している。自然と肩の力が抜けていくのを感じた。

先日出会ったばかりの同世代の人たちと会う約束をしていた。学生の頃の友人でもなく、会社の同僚でもない人。友人でもなく、知人でもない。確かに言えるのは、この人たちは特別な存在で、定期的に話したい、ということくらいだろうか。お腹空きましたね、と言い合いながら店に向かう。

どういう会話の流れだっただろう。入管法改正案の話になった。改正案での主な論点は、不法滞在とみなされた外国人の収容施設で、何年にもわたって収容され続ける人たちがいる現状にどう対応するか、ということ。

どういう理由で不法滞在とされるのか。
なぜ外国人は収容されないといけないのか。
なぜ帰れる国がない人たちがいるのか。
この人は日本にいてはいけないってどうやったら判断できるのか。

本当にたくさんの考えるべきポイントが詰まっている。今国会でも重要法案のひとつで、あちこちで議論と、怒りと悲しみと思惑とが交錯していた。

にも関わらず、あっけなく法案は可決された。実際には各地で反対デモがあったし国会も荒れたのだけど、その熱を感じることはほとんどなかった。日々報道される内容を追っていても渦中にいる実感がもてなかった。そうこうしているうちに法律という大きな、大きなルールが変わろうとしていることを思って、ぞわっとした。

私にも「外国人」の友人がいる。日本に留学してそのまま日本で働く人。家庭の都合で0歳から日本で暮らす人。永住権をもつ人。状況は違えど全員「外国人」とされている。思ってもみないタイミングで「日本人」と「外国人」の、無理やり引かれた境界線を意識せざる得ないこともある。大切な友人なのに。私と彼らの一体何が違うって言うんだろう。

こういうひとつひとつの「なんでだろう」を、大事にしたいねと話し合った。疑問にまっすぐに、謙虚に向き合い、ゆくゆくは向き合う輪を広げていきたい。そんな話をした。

一晩経って、昨晩はふわりふわりとしていた思いが、形を成してきたのを感じる。さあ、私には何ができるのか。


20230617 Written by NARUKURU


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