【映画感想129】健太郎さん/高木駿輝(2019)

※ネタバレあり感想


斉藤家には赤の他人、"健太郎さん"が同居している。奇行を繰り返す彼は殆ど言葉を発することはなく、夫妻はどこか怯えたように彼を丁重に扱っている……

という不気味はシチュエーションの短編映画。

冒頭で健太郎さんが夕食を犬食いするシーンが強烈なインパクトがあり引き込まれました。

家族がみている幻覚とか幽霊なのかな?と思ったら近所の人にも健太郎さんは見えていて、
じゃあこの人一体だれなんだ…!!
とますますわけがわからなくなってさらに怖くなっていくのがよかったです。

ただ、この恐怖って「正体のわからない」というのがポイントで、後半に「健太郎さんは“誰”なのか」がわかると怖さは半減してしまう気はしました。

では正体がとわかってなお怖いポイントといったら、何がトリガーになってどんな行動をするか「わからない」という健太郎さんの思考回路ではないかと思うので、個人的にこの辺の彼の狂いっぷりをもっと見てみたかったです。

例えば「クレヨンを見たらトイレに行かなければならない」みたいな強迫症じみた独自ルールのような、彼の中で整合性は取れているけど他人からしたらまったく意味がわからない、予測不能なスイッチとか。(尺の問題で描写されてないだけであの家でもっと細々とした怖いこと色々やらかしてそうなキャラクターにもみえる)

犬食いをしていたのは食べ方を叱られた娘のためだったのか?復讐したいんじゃないのか?
復讐と娘への投影がごっちゃになってる?

と一応考察はできるのですが明確な答えの提示はされておらず、個人的にこの方が好きです。

家の住所がわかったのはなぜなんだろう。
ハンカチに書いてあったのかな……?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?