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天才の時代は終わり、変態の時代がやってくる

この20年を振り返ると2000年からの15年あまりはまさにテクノロジーの天才の時代であったように思います。

スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツ、エリック・シュミット、マーク・ザッカバーグのような大企業に属さない圧倒的な才覚を秘めた個人がテクノロジーを駆使して、世界をディスラプトしていく動きこそがこの時代を象徴しています。

それは個人の能力こそが世の中を変える一番の力になった時代でもありました。天才的な起業家の華麗な活躍はドラマティックに僕たちを魅力してくれました。

一方で、こうした天才的な個人が大きく世界を変えていくという動きは今後は縮小していくのではないでしょうか?なぜなら、個人的な規模で開発できるテクノロジーはどんどん少なくなっていき、これからは天才たちの知能の集積に基づく大規模な研究開発が余儀なくされるフェーズに突入したからです。こうした状況でAMAZON、Facebook、Apple、Google等の大企業が天才たちをマネジメントするスキルを磨き、巨大資本と天才の集合知が合いまったビジネスの世界が始まっています。その一例が、AIやロボティクス、宇宙開発といった分野です。

それでは、今後は個人が世界を変えるようなイノベーションを起こすことは難しいのでしょうか?

僕は、こうした動きの中心になるのは、天才達ではなく、偏愛を秘めた変態達なのではと思っています。なぜなら、テクノロジーがすでにコモディティ化してきているからです。だれでも簡単にAIやブロックチェーンといった最新技術を利用できるようになってきており、その場合Geekでなくてもニューエリートと呼ばれる新しいビジネスサイドの階層であれば、高度なサービスやプラットフォームなどを構築することも可能となってきます。

つまり、テクノロジー自体が差別化要因にはならなくなってきているのです。プラットフォーム型ビジネスは、最近まで非常に優れたビジネスモデルとして取り上げられて来ましたが、現在はほとんどのプラットフォームが成長を確保できるユニット・エコノミクスを確立することなくクローズしていっています。

一方で、圧倒的な偏愛から生み出されるコンテンツは、コンテンツの量と浸透が、ある一定のラインを突破した瞬間に爆発的な拡大を見せることができます。例えば、実演販売で有名な、ロックオン錫村さんは、掃除に対するこだわりが異常に強いという偏愛の持ち主ですが、彼がプロデュースした洗剤はわずか2年で110万本以上(約20億円以上)の売上を上げています。

日本のスタートアップで2年間でこの売上規模に達することはほとんどありませんし、この2年で20億という数字は創業当初のメルカリの成長に匹敵するほどの数字です。

ビジネスモデルが異なるため、単純な比較はできませんが、偏愛のもたらすビジネスパワーの一端を感じることはできるのではないでしょうか?では、なぜ偏愛が圧倒的な優位性になるのかという点ですが、主に以下の部分であると思います。

●ビジネス構築に必要な膨大なインプットがほぼ日常生活に溶け込んでいるため、インプット効率が異常に高い。密度がヤバい。
●偏愛によるアイデアは、単なるプロダクトアウト的な視点に陥りにくい。
●自らが開発者でもあり、ユーザーもであり、R&Dとカスタマーサクセスが非常に連携した開発ができる。
●自分自身が、その分野の先進的ユーザーでもあるので常に最高のフィードバックを自律型で受けることができる
●偏愛は、消費者の共感を得るためのストーリーとコンテンツを高品質かつ大量に生み出すことができる。その結果口コミが感染的に広がる。

という点だと思います。IT分野のサービスでは

「自分の感じる不便やこうあったらいいなをサービスにした」

というアプローチでビジネスアイデアを作る方が多いのですが、このアプローチの失敗率は非常に高いです。なぜなら、絶対にそうでならなくてはならない、という絶望や渇望がそこにはないため、ユーザーの共感を得られにくくサービスの拡大がされないためです。

一方で、偏愛に基づくプロダクトやサービスは、そこに絶対的な「愛」があります。愛は普遍的に人間の脳を揺さぶります。当初こそ対象となるユーザーは少ないかもしれないですが、「愛」によってそのプロダクトに巻き込まれたユーザーは、大きな波となって、そのプロダクトの宣教師となって周りにプロダクトを拡散していきます。愛によるマーケティングは世界を覆いつくしていくのです。

やっぱ、「愛だろ、愛っ。」

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