川柳20句『風向きはバロック』
魂を恐竜の形に嵌める
甦る二人称まで熱こもる
文末に生命線と怪奇譚
人形の裏側にあるラテンアメリカ
女王から果実の匂い認識す
若干の空気感だけ畳二畳
ネタバレはリゾート地から浮かび出す
メキシコの流線形の時間軸
土着的語り手に欠く回帰線
月光の先住民を正当化
ヨーヨーの舞台装置にある南米
ヨーロッパの手触りさえ我は無く
フランスを浸してみせる泡石鹸
行間が二重化された青い砂
晩年のバベルを愛でて死ぬ狐
竪琴の母国語にまだ憧れる
ゴーゴリの忠誠心もほどけない
仮世界のモチーフほど点滅す
キマイラの比喩を仕組んだイエス・キリスト
風向きはバロック風の老醜へ
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