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校長室通信HAPPINESS ~やんちゃ坊主とのつきあい方

やんちゃ坊主は「やんちゃのプロ」


 ふてくされる子、ルールを守らない子、口答えをする子…。こんな「やんちゃ坊主」たちが毎日教師を手こずらせています。叱ったり、褒めたり、なだめたり…。何をやってもうまくいかない毎日が続くと、「私は教師には向いていないのかも…」と落ち込みます。でも落ち込むことはないんですよ。なんせ彼らはやんちゃのプロなんですから。大人をイライラさせることなんてお安い御用です。だから「やんちゃ坊主」たちと付き合っていくにはそれなりの心構えと正しい知識が必要です。今回はそんなお話を…。


「怒り」の感情はNGです!


 まず前提として、やんちゃ坊主との付き合いには「怒り」の感情はNGです。
 心理学者のアルフレッド・アドラーは、「怒りは人と人を引き離す感情である。私たちの犯しやすい間違いは、叱ることで関係を遠くしておいてから援助しようということ。実際には関係が近くなければ援助はできない」と言っています。彼らが大人に怒られるような行動をとるのは「注目されたい」からです。子どもというのは大人から注目されるためにまず「褒められよう」とします。でも小さいときからあまり褒められてきていないやんちゃ坊主たちは、「褒められ方」が分からないためうまくいきません。すると今度は、「叱られる行動」をわざととり始めます。つまり、やんちゃ坊主にとっては「褒められること」も「叱られること」も同義なのです。だから、やんちゃ坊主を怒ることは、彼らにとっては「してやったり」なのです。

「上手に無視」する


 やんちゃ坊主の不適切な行動に対しては、できるだけ「上手に無視」するのが得策です。もちろん目に余るような、あまりにもひどい行動には、「今はそれをやっていい時間ではありません」「そんな言い方は友だちに失礼ですよ」と声をかけることも大切です。しかしここでも、感情的にならずサラッと流すことがポイントです。長い時間のお説教や個別指導は全くの逆効果。
 大切なことは「上手に無視」しながら、その子のちょっとしたプラス行動を見逃さないこと。プラス行動を見つけたら、「あ、今言ったこと大切。もう一度言って!」とか、「みんなのことをそんなふうに大切に思ってくれていたんだ…ありがとう」というふうに即座に取り上げ、その場で認めてあげましょう。しかし、これもあくまで「サラッ」とです。
 要は「何が良くて、何が悪いのか」を繰り返し示めしていくことです。そして「君は特別じゃないんだよ」と言うことを暗に伝えていくことです。

リスペクトのための3つの気持ち 
 

 しかし、このような関わりを「策略」としてやっていても長続きしません。大切なのは子どもたちへのリスペクトです。人は敬意を受けると、敬意で返します。これを「返報性の原理」と言います。長い時間をかけて子どもたちに敬意を持って接していれば、子どもたちもそのうち必ず敬意を持って大人と接してきます。
 リスペクトするというのは、次の3つの気持ちを持つこととも言い換えられます。
①リスペクトとは「相手を変えようとしない」ことです。そもそも「アイツは間違っているから指導してやろう」なんて、随分傲慢な話です。人が「正しい」と思っていることは「好き」の言い換えでしかないということを忘れてなりません。「大きな声であいさつしよう」というのは「大きな声であいさつする子が大好き」というだけのこと。「小さい声だって、頭を下げるだけだってあいさつにちがいはない」と考えられる「認知複雑性」こそが、教師には必要不可欠だと思っています。
②リスペクトとは「相手の主体性を認める」ことです。その子がどんな子であれ、「「自分で考え、自分で行動する」ことを大切にしてあげることです。そのためには、「指示する」ことよりも「問いかける」ことが重要です。「早く準備しなさい!」ではなく、「今何をすればいいと思う?」と相手に問いかけます。
③リスペクトとは「感謝の気持ちを持つ」ことです。「褒めること」も大切ですが、「褒めること」自体は上から目線です。だって自分の尊敬する人に向かって「褒める」なんてできませんよね。だったら「褒める」ことより「感謝」を言葉に表すほうがずっといい。やんちゃ坊主たちに1日100回の「ありがとう」が言えれば、数週間後には、その子たちは学級になくてはならない存在になっているかもしれませんね。

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