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福島県いわき市モニュメント「きみと」

福島県いわき市勿来(なこそ)地区にある
岩間海岸のモニュメント「きみと」。
「私たちの(き)記憶を(み)未来に(と)共に届ける」
という意味が込められています。
東日本大震災の記憶を次世代に残したいと、
地域の津波被災者642名が体験を語り、
音声や映像として記録。
それらを納めたタイムカプセルが、
モニュメントの下に保管されています。
2018年9月に設置され、震災から20年後の
2031年3月11日に掘り起こされる予定です。

海岸では釣竿を担いで歩く釣り人や
天気が悪かったので、波が荒く
ボードを持ったサーファーが多く見かけました。
波打ち際にはポコポコと穴が開いていて
覗くとカニがじっと身を潜めています。
それに気が付いて周りを見渡すと、
数え切れない程のカニが浜辺を歩いていました。
よく見ようと思っても10mくらいのところで
巣穴に隠れてしまうので、どんなカニかは分かりません。
今回はカメラを持って行かなかったので、
望遠レンズで観察もできませんでした。残念。
ネットで調べると「ツノメガニ」が有力そうです。

東日本大震災のマグニチュードは
日本の観測史上最大規模9.0でした。
震源地だった宮城県で震度7、
いわき市でも6弱を記録しています。
岩間海岸のあたりでは
津波が7.66mの高さに達したそうです。
写真の奥に見えるのは
常磐共同火力株式会社勿来発電所の建物。
防波堤を破壊して押し寄せる津波により
当時、稼動していた7号機9号機が停止しました。
この大きな建物が津波の勢いを弱め、
背後に密集した住宅地の盾になったといいます。
実際に海岸から近い市街地でも、
昔のままの建物が多く見られました。

インフラの被害は
市内約20万戸のうち約13万戸で断水、
停電が約2万戸、都市ガスは供給停止となりました。
JR常磐線、磐越東線の運転はすべて中止。
常磐自動車道、磐越自動車道も全面通行止、
一般道も道路陥没、土砂崩れなど多くの被害を受け、
食料品やガソリンなどのモノ不足に陥ります。
さらに原発事故が判明し、
輸送業界が福島入りに難色を示したことで、
モノ不足の深刻さが増していったといいます。

常磐道を走っていると、
時々、放射能量の計測器が立っています。
遠くに住んでいて、忘れてしまいがちな私に
まだまだ原発の問題は解決していないのだという
当然の事実を思い出させてくれるようでした。
2031年にタイムカプセルを見る方々が
「こんなこともあったね」と
いえる状況になっていればいいなと
ただただ祈ることしかできません。


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