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千文小説 その938:合言葉

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 13インチだろうが、256GBだろうが、M1チップだろうが。

 廃版だろうが、何だろうが、Proは、Pro。

 長いこと、iPad問題に取り組むうちに、浮き彫りになったのは、なぜか、MacBookの属性でした。

 とてとてとてとて。ちりんちりん。

 もわわー。

 よしよし。

 なでなで。

 ぬふーん。

 とてとてとてとて。ちりんちりん。

 ご機嫌なお散歩の途中、いきなり、くるっと振り向いて、僕に向かって、ひと鳴きし。

 撫でてくれ、とおっしゃるので、そのつど、頑張って、腕を伸ばして、ぽさぽさの、青緑色の毛皮をさすります。

 抜け毛の季節です。

 そろそろ、掃除機、かけないとな…。

 床に散らばる、ほわほわのポリエステルに、ゴミや埃がからまるのを、ため息で、眺めつつ。

 炬燵の上、静かに鎮座する、スペースグレイのノートパソコンを見やります。

 AirとProの間に、こんなにも、戻れない溝が、横たわっていようとは。

 初代のMacBookは、Airでした。

 使い勝手は、悪くはなかったが、いつの間にか、リセットして、二度と、再設定していない。

 おそらく、今後も、することはない。

 以前は、その理由を、Intel搭載だから、アメリカンキーボードだから。

 スペックによるものと断じていましたが、この頃、そうではないのでは。

 早々に見切ったのは、ひとえに、Airシリーズだったから、なのでは。

 僕とAirは、あまり、相性が良くないのでは。

 とてとてとてとて。ちりんちりん。

 ぼわわー。

 よしよし。

 なでなで。

 にふーん。

 とてとてとてとて。ちりんちりん。

 主として、経済的な事情で、今後、MacBookを買い継ぐなら、Airがいいな。

 そう思って、そのように、画策してみたりもしたけれど。

 …駄目だな。

 MacBookを、Airにするなら、iPhoneを、無印シリーズにしないと、バランスが悪い。

 そのうえで、iPadを、Proシリーズにしないと、釣り合いが取れない。

 つまりは、総とっかえ。

 せっかく、ここまで、死に物狂いで、炬燵の上の電子機器集団、カメラレオンのメンバー選定に、力を尽くしてきたのに。

 むざむざ、だいなしにするわけにはいかない。

 決めました。

 MacBookは、このまま、Proで。

 ずふーん。

 ぽてっ。

 ふるふる。

 むるむる。

 …。

 ほわま、ほわま。

 はいはい、ただ今。

 歩き疲れて、座り込み、いつもなら、そのまま、寝落ちするのですが。

 よほど、かゆかったとみえて、しばらく、毛皮を震わせた後。

 愛猫が、抱っこをせがみます。

 急いで立ち上がり、抱き上げて、おかゆいところは、どこでしょう。

 手のひらで、全身をマッサージしつつ、一緒に炬燵へ戻ります。

 同時に、決めたことが、もう一つ。

 現在、天板に乗っている五台は、リセットしない。

 どうしても、電源が入らなくなるまで、使い続ける。

 …となると、未来が、かなり、変わってきます。

 買い替えから、買い足しへ。

 固く閉ざされていた門戸が、ゆるやかに、後世へ、開かれました。

 新しい機体が来たら、先代は、片付けなくては。

 切羽詰まっていたのが、そうでもなくなった。

 新入りかい?

 よろしくね。

 仲良くやろうぜ。

 新旧関係なく、並んで、それぞれの役目を果たす方向に、シフトした。

 これは、なかなか、大きな一歩。

 とりわけ、MacBookとiPad、パソコンたちの将来像が、がらりと、回転。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 しばらくもまれて、安心したのか、愛猫は、すんなり爆睡。

 西武ライオンズのバスタオルで、大きなおしりをくるんで差し上げ、正面の壁、ドーベルマンの肖像と、対峙します。

 iPhoneは、やはり、OSのアップグレード終了を目安に、次代を迎えたい。

 幸い、今代は、Proシリーズ。

 同じ数字の無印よりも、一世代、チップが進んでいるので、通常、五年とされているOSの寿命も、もう少し、長いはず。

 それまでは、現役で、お願いします。

 MacBookは、今代が続投となると、もう、Airシリーズを、付け足す必要はなくなる。

 14インチのProを入れるか、あるいは、デスクトップ型か。

 いずれにせよ、モンスターマシーンのもたらす、さらなる深みが、待っている。

 iPadは?

 …どうしようかな。

 果てしなく、Proを極めるMacBookがいるので、Proシリーズに参入するのは、気が引ける。

 さりとて、Airやminiも、向いていない。

 取り得る道は、ただ一つ。

 無印を、貫く。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 iPhoneとMacBookは、Pro。

 iPadは、無印。

 色や容量は、お好みで。

 リセット厳禁を合言葉に、カメラレオン、本格始動です。それでは、また。

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