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小説

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主に短編ですが、ひとまずのところ、書いたものをまとめています。
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記事一覧

走り続けて

 息を吸うと、肺が焼けそうになる。  息を吐くと、臓腑が出そうになる。  どこへ どこま…

ふみ
1日前
35

部屋に ひとり

 春を通り越して夏のような日差しに辟易しながら、無理やり遠出した買いものが終わる。汗だく…

ふみ
2週間前
47

おかしいのは――

 部屋の扉をノックすると、どうぞ、と小さく聞こえる。私は聞こえないように深呼吸をすると、…

ふみ
2週間前
38

たとえ ひとり でも

 ふと、気がついた。  それは何か、前触れがあったわけではない。    けれど、もしかした…

ふみ
1か月前
54

横顔

 それは、浮遊感、とでも呼べばよいのであろうか。  いや、浮遊しているわけではない……ど…

ふみ
2か月前
80

どう見える

 彼の左目の端が、きらきらしていた。  あ と思う間に、彼は 「なんだろう、とっても目の…

ふみ
3か月前
107

絵画

 昨日は、一日雨だった。正確には、お昼前に一度止んで、日差しも差しこんできたというのに、夜になってからまた降り出した。  そんなふうに突然移り変わることもあるのだなぁ、なんてのんびり思いながら、一日を持て余していた。外に出る気は起きず、晴れてからもそれは変わらなかったし、夜に降り出した雨を見て、なおさら出なくてよかった、なんて思ったものだ。  今日はそんな昨日が嘘みたいにからりと晴れた空だった。乾燥もするし、空は澄み渡り、凛とした空気が心地もよい。この時期とは思えない昨日

日常の差異

 あなたの中で、日常とはどんな日々のことでしょう。  それは普通? それは異端? それは…

ふみ
4か月前
73

一夜のための苦悩

 最悪だ……いや、すべて自分の行いのせいだ。  頭を抱えながら、それでもまだ、という気持…

ふみ
4か月前
57

 空を見上げながら歩いていると、何も感じなくてもいいような、そんな気持ちになれる。ものご…

ふみ
5か月前
90

私は どうしたい

 こんなにも、必要とされていない、と感じていることはない。  私はいらない人間で、いても…

ふみ
6か月前
122

まやかし、なのか

 それは、一瞬の出来事だった。  いつもの帰宅道、自転車を転がしている。  この時期、仕…

ふみ
6か月前
66

同じことの繰り返し

 私が話しをすると、誰かが不幸になる。  そんな、気がする。  私が口を開くと、誰かが不…

ふみ
6か月前
55

感じられる世界が すべてではない

 目に映る、すべてのものが気持ち悪い。  気持ち悪いと、感じてしまう。  特に何があるわけではない。何をされるわけでもない。ただ、目に映る、というだけで、それだけで、気持ち悪くなる。  あの看板がだめだ、通りにいる鳩がだめだ、過ぎていく車が、ゆれる木々が……。  なんで、だろう。  なんで、こんなに、気持ち悪くなってしまうのだろう。  世界はこんなにも、気持ち悪いもので溢れているのかしら。  あぁ、いやだ。  何も、見たくない。  何も、感じたくない。