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コレクティブ エクササイズを適用したプレハビリテーション1

NASMコレクティブ エクササイズ スペシャリスト (CES)は、外科的介入を予定しているクライアントに対して、術前にクライアントの体を最大限に整えることで、術後の回復を早めることを目的としたサポートができます。クライアントが安全かつ効果的に手術に備えることができるために、プレハビリテーションをどのように行うのか、その詳細を掘り下げてみましょう。
 
1 プリハビリテーションとは?
 
プレハビリテーションとは、手術などの医学的介入に備えて、筋力、スタビリティ、バランス、可動性への予防的なアプローチとして、筋骨格の非/間接的な接触やオーバーユーズによる損傷のリスクの軽減を目的としたコレクティブ(矯正)エクササイズ プログラムです。ここでは、術前のリハビリテーション=プレハビリテーションに焦点を当てます。
 
プレハビリテーションの考え方は「better in, better out=より良い状態で入院し、より良い状態で退院する」というものです。クライアントの術前の状態が良好であればあるほど、術後の回復もよい傾向があるからです。
 
理想的なプレハビリテーションプログラムは、栄養士からの栄養指導、メンタルヘルスプロバイダーからの行動療法、理学療法士またはコレクティブエクササイズの専門家からのエクササイズ指導など、患者のニーズに基づき統合的に介入し包括的に実施することが望ましいことが研究者によって提案されています。
 
2 一般的なプレハビリテーション
 
外科的処置など体に大きな負担がかかる医療的介入が必要な状況において、プレハビリテーションが適用される一般的な外科的処置は次のとおりです。
・心臓の手術
・急性期がんの治療
・ACL(前十字靭帯)の修復や関節の全置換術などの整形外科手術
 
研究によれば、プレハビリテーションは術後の回復を促進することを目的とし、クライアントの体、また長期にわたる医療費の負担の両方にプラスの効果をもたらすことが示唆されています。また、プレハビリテーションプログラムは、がん治療を受けている人の術後のQOL(クオリティオブライフ)を改善することが示されています。
 
研究では、手術前にターゲットを絞ったプレハビリテーションプログラムを6週間続けると、術後最大で6か月間の効果を示すこと、術前のプログラムは、術後の関節可動域と筋力の回復を改善することが示されています。
 
患者のニーズに応じて、医師は特定のプレハビリテーションの計画を推奨し、専門医に紹介する場合もありますが、術後の一般的な回復が見込まれ、回復期の危険因子が比較的低い場合、医師はプレハビリテーションをサポートするCESを見つけるよう、患者に任せることができます。

3 重要なポイント
 
あなたがクライアントからプレハビリテーションの指導を求められたら、クライアントの担当医師から運動の許可を得ましょう。手術を受ける患者にはさまざまなニーズがあるため、それぞれのクライアントの運動をする上での禁忌事項を確認することが重要です。
 
CESは、スペシャリストとしての役割と責任を果たすために、自らはクライアントに最良の術後結果を提供するために協力する大きなチームの1人のメンバーにすぎない、と認識することが重要です。重要なポイントを以下に挙げます。
 
◎医師からの明確な許可を得る
フィットネス専門家は、コンサル時にそのクライアントの具体的な禁忌事項、推奨される運動の範囲など、医師からの明確な許可を求めるべきです。コンサルは、クライアントをケアする領域について知るのに最適です。プレハビリテーションを求めるクライアントが、認定トレーナーからの運動指導を受けるだけでなく、理学療法士、栄養士、およびその他の医療従事者からのサポートを得ていることは珍しいことではありません。

◎クライアントのサポートに関与している医療の専門家との連携
クライアントをサポートしている医療専門家がどのように協力しているかを知ることによって、さらなる専門家への紹介が必要かどうかを判断することができ、また大きなチームにおけるトレーナー自身の役割が明確になります。
 
たとえば、クライアントがすでに栄養士から指導を受けている場合は、栄養に関して栄養士に聞くことができます。クライアントが栄養士のプログラムを順守する上でのアドバイスなど、追加のサポートを提供することができます。
 
◎理学療法士からの指導を受けているかを確認する
クライアントが理学療法士から指導を受けている場合、トレーナーは理学療法の予定とトレーニングの予定との間で適切に回復する彼らのプログラミングを適応する必要があります。
 
理学療法士や栄養士の計画を明確に理解し、またクライアントの安全とプレハビリテーションの効果の両方を高めるために、可能であれば直接、またはクライアントを通じて連絡をとりましょう。CESとしてクライアントを満足させることができれば、その後もトレーナーとしてクライアントとの関係が続く可能性が高まります。
 
◎医師からの承諾と助言を得る
医師からの了承を得る前に、クライアントがプレハビリテーションの指導をCESに求めることがあります。健康診断と身体活動のための事前のアンケートの結果によっては、追加のガイダンスが必要ない場合があります。
 
ただし、慢性疾患、急性の痛みや動きによる痛み、怪我の兆候など、危険信号がある場合は、クライアントのアセスメントや管理をするCESの責任の範囲を超える可能性があるため、医師の承諾を得ることを強くお勧めします。プレハビリテーションでは、クライアントの担当医師からより詳しい助言を得ることが、クライアントの安全にとって非常に重要です。
 
担当医による詳細なアセスメントには、そのクライアントのエクササイズにおける特定の禁忌事項も含まれ、CESとして知っておくべき情報です。そのクライアントの現在のすべての治療法、投薬、検査、運動経験、現在の身体活動のレベルを理解し、理想的には、身体機能の能力やQOLをアセスメントできると良いでしょう。
 
クライアントがリハビリテーションプログラムを開始した後に痛みを発したり、他の症状が現れたり悪化したりした場合は、クライアントの医師による再診察を求めるべきです。(「4 目的はケースバイケース」に続く)
 
著者

アンドリュー ミルズ


ANDREW MILLS アンドリュー ミルズ
NASMマスタートレーナー、全米スポーツ医学アカデミーCNC、CES、PES、FNS、およびBCS認定取得。マッサージセラピスト。

NASMブログ記事より
https://blog.nasm.org/prehabilitation-guide

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