いろんな道のプロが独自目線でゲームにツッコむ「ゲームさんぽ」が面白いぞ!

ライブドアニュースがYouTubeチャンネルが突如配信し始めた「ゲームさんぽ」が面白い。

ゲームさんぽ」はいろんな道のプロが、ゲーム内で巻き起こる出来事に独自の目線で切り込んでいくシリーズ。

もともとなむさんが制作していて、ライブドアニュースとのコラボ版はこれまで3本が公開されている(かなりハイペース)。

気象予報士×ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド

気象予報士の石原良純さんが登場する1本目は26万回も視聴されている(5/31時点)。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』をプレイする……というかゲーム内を散歩している。

同作は化学エンジンが非常に有名になったが、自然現象も多種多様で、寒い地方に行くとリンクの鼻が赤くなり厚着しないと震える、暑い地方に行くと汗をかく、といったリアリティのある描写がなされる。

リンクがグライダーで滑空する様子を見て、石原さんは「風でもっと揺れるはずだからグライダーには何か推進力がついている」と指摘。実際、下草が風でかなり揺れているにもかかわらずグライダーが真っ直ぐ進むので、ゲーム上の都合とはいえプロの目にはそう見えてしまうのだ。

なむさんがだだっ広い平原でキャンプをしたときには、「もっと反射熱を活かせる岩の下とかで……」と的確なツッコミ。屋根があると寒さをしのげるゲームは多いが、反射熱まで考慮しているゲームはまだあまりないだろう。

後半では『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』にゲームを移し、空の散歩へ。『BOW』ではやや納得いかなかった雲の描写だったが、同作の雲にはお褒めの言葉。雲粒と雨粒の解説を聞きながらプレイ(視聴)できる『エスコン』体験なんて初めてだ。

精神科医×Detroit: Become Human

「ゲームさんぽ」コラボ版2本目では、精神科医の名越康文さんと『Detroit: Become Human』をプレイする。約46分という長編だが、最後まで観る価値のあるたいへん面白い"ゲーム実況動画"だ。

動画を観ると、名越さんの観察力と分析力に驚かされること間違いなし。最初、主人公のコナーの顔が映るのだが、それだけで名越さんはコナーの左右の目の大きさ、そして位置が違うことを見抜く(↑のサムネイルでも分かると思う。こんなの一瞬で気づくか?)。

プレイした人は驚愕するかもしれないが、たったそれだけの情報で名越さんは同作(コナー)の行方をだいたい言い当ててしまうのだ。右目がやや下がっているから左脳をよく使うタイプ、ということは優しいけれど神経質で……云々。その先は動画を観てほしい。

冒頭のイベント中で、名越さんは女の子を人質に取ったアンドロイドのダニエルを救いたいと何度も繰り返す。ただ、ゲーム中の選択肢がどういう内容なのか分かりづらく、名越さんの分析となかなか一致しない。そこはゲームの作りとして甘いというか微妙なところだった。

ただ、それでもコナーの顔の造形は精神科医の深読みに耐えうるものになっているのには感嘆してしまう。また、名越さんが鋭く読み取ったように、ダニエルが女の子に銃を向けながら屋上の縁に爪先立ちで立っていることにも意味があったのだ。

動画で残念だったのは、なむさんが名越さんの関心や分析に全然ついていけていなかったことだ。上記の爪先立ちのくだり、そして仏像のくだりはもっと掘り下げて尋ねてほしかった。ダニエルとの交渉シーンも、選択肢を予習しておくべき。それがなむさんの役割だろうに。

とはいえ、その部分を抜いても本動画は群を抜いて面白かった。精神科医が本気でゲーム内の造形や演出を読み解くと、そこにはゲーム制作者の意図さえ浮き上がってくるというのは感心するほかない。

弁護士×グランド・セフト・オートV

そして5/31時点での最新動画では、弁護士の水野祐さんと『グランド・セフト・オートV』をプレイする(なむさんと水野さんは友達とのこと)。

水野さんといえば企業法務やビジネス周り(著作権など)といった方面のイメージが強いので、『GTA』のような刑法ぶっちぎりのゲームとはあまり相性がいいように思わなかったが、それでも弁護士とあってナイスツッコミが炸裂していた。

『GTA』内で何かするというのはすなわち犯罪行為を意味するが、なむさんがきちんとお約束どおりに動いてくれていたのがよかった。窃盗と強盗の違い、正当防衛の条件や過剰防衛の危険性など、日常生活に活かせる豆知識が満載。水野さんがゲーム内の企業ロゴに敏感に反応していたのがツボだった。

最後のほうではなむさんが車のラジオを操作したことで音楽の著作権の話へ。なむさんが夜の街に車を走らせながら、水野さんがクリエイティブビジネスの話をする。動画自体が室の高いラジオになっていた。

専門家の目線でゲームを語る面白さ

ざっとコラボ版のみ紹介してきたが、なむさんのチャンネルに「ゲームさんぽ」過去作もあるのでそちらもぜひ。こちらの最新作が8か月前になっているので、コラボ版まではかなり間があったのだろう(めちゃくちゃ視聴されているわけでもなかったのに、なぜ突然ライブドアニュースとコラボしたのか……?)。

こういう方向性でその道の専門家にゲームを語ってもらうのは、皆さんも動画を観てもらえば分かると思うが、とても面白い。プレイヤー目線ではないし、クリエイター目線でもなく、ライター(批評家)目線でもない。ゲーム以外の道を極めた人の目にゲームがどう映るかというのは、それだけで興味をそそられる。

特に最新のゲームはリアリティが高く、作り込みがすさまじ。ゲームエンジンも進歩し、多数の専門家が開発に協力しているので、現実と遜色ないところもある(名越さんによるコナーの分析はマジでやばい)。だからこそ、「ゲームさんぽ」のコンセプトも光るのだ。

ゲーマーからすれば、彼らの言葉はどこか間が抜けているように聞こえることもある(『GTA』で「刑法が~」なんて言ってもしょうがない)。なぜなら、対象があくまで空想のものだからだ。「でも、ゲームだし」と一言返せばそれで終わってしまう。

しかし、それがゆえに、専門家の言葉はゲームに対して極めて批評的だ。彼らが気になるところ、指摘する部分にこそゲームの面白さが宿っているのではないだろうか。

「ゲームさんぽ」、このあとコラボ版が何本あるのかは知らないが、めちゃくちゃ楽しいのでもう少し続いてくれると嬉しいな。

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謎部えむ

eスポーツスリンガーとして日本のeスポーツ業界にまつわるあれこれを取材・分析しています。マガジン「happy esports」の詳細と連絡先は↓のプロフィールをどうぞ。「焚き火を囲って」はジャンル不定で唐突です。「happy game note」はおすすめゲーム系記事まとめです。

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