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ルールを知れば面白くなる SDGsのトリセツ(2)

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ルールを知れば面白くなる
SDGsのトリセツ(2)

SDRs研究所 所長 奈須 憲一郎(下川町在住)

持続可能な社会の4つのルール

 前回、SDGsランキングでスウェーデンがトップを走る仮説として「このゲームのルールを知っているから」と書いた。そのルールとは?
 1989年、スウェーデンにナチュラル・ステップという環境団体が設立された。その目的こそが、他でもない、持続可能な社会の原理原則を導き出すこと。
 ガンの研究をしていたカール・ヘンリク・ロベール博士が作成した草案を元に、数多くの科学者たちが対話を重ね、草案を何度となく書き直し、ついに、1992年、持続可能な社会の4つのシステム条件として公開した。
 ちなみに1992年といえば、ブラジルのリオデジャネイロで地球サミットが開催され、SDGsの起源となった。この歴史的なサミットに日本の首相はビデオ参加で外交上の汚点を残し、バブル崩壊もあって持続可能な社会構築に遅れを取った。

動画:地球サミットでのセヴァン・スズキさん(カナダ、当時12歳)によるスピーチ

 一方でスウェーデンは、地球サミットで決まった約束事を忠実に実行した。21世紀に向け持続可能な開発を実現するため、地域の行動計画「ローカルアジェンダ21」を作成するよう基礎自治体であるコミューンに勧告し、地球サミットでの目標年の1996年には、すべてのコミューンでその作成を終えたのである。

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画像:スウェーデンのベクショーコミューンで稼働する巨大な木質バイオマス熱電併給プラント(著者撮影)

 話を元に戻そう。ナチュラル・ステップが提唱する持続可能な社会の4つのシステム条件、言い換えれば4つのルールは次のとおりである。
①自然の中で地殻から掘り出した物質の濃度が増え続けない
②自然の中で人間社会が作り出した物質の濃度が増え続けない
③自然が物理的な方法で劣化しない
④人々が自らの基本的なニーズを満たそうとする行動を妨げる状況を作り出してはならない
 SDGsの17目標と比較するとたかが4つ。されど4つ。次回からはその背景にある考え方や基礎科学について解説する。



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