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気管挿管していない低酸素血症を伴うCOVID-19で腹臥位療法は効果があるか?

少し時期外れな内容かもしれませんが、集中治療室で行われてきたCOVID-19に対するprone position(腹臥位)が非挿管患者においても有効かどうかを見た研究があったのでみてみました。

Effect of Awake Prone Positioning on Endotracheal Intubation in PatientsWith COVID-19 and Acute Respiratory FailureA Randomized Clinical Trial
JAMA. 2022;327(21):2104-2113. doi:10.1001/jama.2022.7993Published online May 15, 2022.

挿管適応ではない低酸素血症のCOVID-19において腹臥位の安全性と効果をみた研究です。(カナダなどでの21の病院で行われた非盲検化ランダム化試験)

Patient 参加者
COVID-19でFiO2 0.4(40%)以上の酸素投与を要するが侵襲的呼吸管理を受けていない(気管挿管されていない)成人
Intervention 介入群
起床している間に腹臥位になる
Comparison 対象群
腹臥位にならない通常治療(気管挿管しないCOVID-19で通常伏臥位にすることはない。)
Outcome 主要評価項目
ランダム化から30日以内に気管挿管を行ったかどうかを評価した。
その他副次評価項目として60日時点の死亡や30日時点の侵襲的呼吸管理、非侵襲的呼吸管理なども評価した。

Result 結果
400名が参加し、腹臥位群205名、通常治療195名に割り当てられた。
腹臥位群では平均1日あたり4.8時間腹臥位になっていた。通常治療は当然ながら伏臥位になっていない。(0時間)
30日目までに腹臥位群で34.1%(70名)が、通常治療群で40.5%(79名)が挿管された。(有意差なし)副次評価項目にも有意な差を認めなかった。
腹臥位群では筋骨格系の痛みや腹臥位による不快感が10%ほどでみられた。

Conclusion 結果
低酸素血症を伴うCOVID-19で非挿管時に腹臥位になっても30日以内の気管挿管のイベントは通常治療を比較して差を認めなかった。

個人的感想
今回の患者群は日本の基準で中等度Ⅱが該当しますが、40%以上の酸素濃度の投与を必要としていことは、中等度Ⅱの中でも比較的重度の方が多いのではないかと思います。この患者群でよく1日5時間弱も覚醒状態で伏臥位になることができたなぁと感じました。(当初の目標は1日8‐10時間だったようです。)腹臥位は結構つらい印象です。またこの臨床研究の患者のBMIは29と肥満の割合が多いためなおさら腹臥位は大変だったのではないでしょうか。
覚醒状態で1日5時間の腹臥位はちょっと辛くて実現が難しい印象に思えます。

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