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これで子育てが再び回り始めました『保育が変わる信頼をはぐくむ言葉とかかわり』(須賀義一著・東洋館出版社)

行き詰っていた5歳の育児が、この本を読んでスムーズに動き出した。

保育士おとーちゃんこと須賀さんの情報発信は前からフォローしていて、須賀さんが提唱する「人権をベースにした子供との関わり方」「人柄とか気持ちに頼らない、保育士というスキルとしてのプロの関わり方」を私もぜひやりたいと思っていました。まあ、私は保育士ではなく親なのですが、でもそんな保育士のスキルを獲得できたらと思うじゃないですか!

今までも、須賀さんの提唱する子どもをひとりの人として尊重する関わりは念頭に置いていたのですが、それを上回る子どもたちのやんちゃぶりにほとほと手を焼き、なんだか理想の育児と距離ができてしまってどうしてものかなあと思っていたのです。

そんなところに、以前から須賀さんがTwitterで執筆していますと言っていて心待ちにしていた『保育が変わる信頼をはぐくむ言葉とかかわり』。これを読んだのです。そして、私に足らなかった情報が追加されて「そうか!こうすればよかったんだ」と明るい気持ちになれました。それだけじゃなく、実行して再び子育てがいい感じでまわり始めています。

具体的には、以前から須賀さんの前の著書やアドバイスで得た、子どもに注意するときに「私はそれをされると嫌です」と、「私は」を主語とする伝え方。「誰かに怒られるよ」とか「こうするとこうなるよ」みたいなことじゃなくてね。でもうちの5歳はこれを言うと、「僕のこと嫌いなの?」と始まり、私「そうじゃなくて!(焦)、5歳君の存在は大好きなんだけど行為が嫌いで(以下、私もうまく言えず撃沈)」となっていたのです。

そこを、この本でプラスされたのが「言葉でいくら”私はこれをされたら嫌だよ”と言っても、機嫌悪そうな顔をしたり嫌味な言い方をしたら意味がない。それから1回ですんなりうまくいくわけではない。なぜなら、そのまえに子どもとの間に信頼関係がないといけないから。信頼関係を作るために、注意だけじゃなく普段から肯定的なかかわりを意識する。目を見てにっこりしたり、”これおいしいね”とか肯定的な声掛け。ようは、子どもが自分は安心していられる関わりがベースにあること」
ここは、私は明らかに足りていなかった!よく5歳が「ママどうしてニコっとしないの?」と言うのもきっとここが足りなかったんだ!そう、「私はこれを嫌だよ」というにも、まずは普段から信頼関係を耕すことが必要なのだ。手を付けるべきはここから。

子どもとの信頼関係をどう構築するか。こちらの本には、そのための非常に重要な、根本的な考え方がある。それは信頼関係は子どもが大人を信頼すること「より前に」大人が子どもを信頼することなのだ!これこれこれ!ここめちゃくちゃ大事だけど、めちゃくちゃ忘れますよね。私もここに全く思い至っていなかった。そう、大人が子どもを信頼することが先であって、それで子どもはその大人を信頼するようになる。子どもを信頼しない大人を子どもは信頼するだろうか?という話。

それで子どもを信頼するとはどういうことであるかというと、「子どもを低く見ない」!!私はここで様々な行き詰まりがすっとつながった。子どもを低く見るというのは、「子どもはできない存在だ」「子どもは言ってもわからない」。だから何かを避けさせようと腕を引っ張っぱるし、おばけを持ち出して言うこと聞かせようとするし、モノで釣ろうとするし、最悪のケースでは体罰に至る。

安心できる環境にいれば、子どもは主体的に成長していくのだ。こどものトライ&エラー、失敗もあるがままに受け止める。
私も子どもを信頼できていなかった。だから「わかった?」って何度も念押ししたくなったりしていた。

11ページ
「もし家庭や職場で、不機嫌さを醸し出している人がいたり、自分の行動にダメ出しをされるのではと常に顔色をうかがわなければならない人がいたらどうでしょう?そうした空間で自分のパフォーマンスを十分に発揮できる人はほとんどいないでしょう。子どもも同じです。」

保育が変わる 信頼をはぐくむ言葉とかかわり

これですよね。私自身、母が私の行動に常にダメだしするタイプで、幼少時に母といると緊張した。私の場合、よくしたもので主に養育してくれていた祖母が安心させてくれるタイプだったので、だいぶ助かりました。

それから、以前から私が漠然と思っていた「子どもにとっての理想の大人像」。昔からこういう人間力のある人はいたんだけれど、なかなかうまく説明(言語化)できなかった。私もそうありたいけど、なんせちゃんと言語化されていないものだからよくわからない。それがこの本で、わかりました!!!
それがこちら↓

24ページ
「子育てで大切なのはなんですか?」と聞かれることがあります。ひとつだけあげるとしたら「おおらかさ」と答えます。子どもを思う気持ちでも、優しさでも愛情でも、一生懸命さでもなく「おおらかさ」です。なぜかといえば、子どもはおおらかさをもった大人のそばにいると安心し、くつろぎ、他者を信頼できるようになるからです。身近な大人がおおらかで機嫌よくすごしているのは、子どもにとってなにものにも代えがたいものでしょう。
信頼すべき人が言葉や態度にうらおもてがなく、安定した感情や対応でいると、子どもは屈託なく安心して人を頼り、自分を出すことができます。子どもに対して緊張感を持っている人、子どもが従ってくれなかったらどうしようとおっかなびっくりになっている人、子どもになになにをさせなければとかたくなになっている人、そうした状態にある人は、子どもからすれば心が開かれておらず、許容的、需要的ではなくなっています。」

保育が変わる 信頼をはぐくむ言葉とかかわり

子どもに信頼される人、子どもになんとなく信頼されない人、今まで自分の中で漠然と思い浮かべるものの、まったく言葉で整理できなかったポイントを初めて目にした感じがします!
しかもこれ、須賀さんは、これは決して属人的なものではなく、保育士として身に着けられるスキルというのですよ!なら一養育者である私も身に着けたいいいいい!いや、さっそくやります。そう、さっそくやってみて、なんとなくうまく回り始めているのです。

あともう一ついいですか?
私ね、今までよく人に自分の子育て状況を説明するときに「へたくそ」って言葉を使っていたんですよ。子育てでよくあるとっさの状況に言葉が出てこなくて「あうあうあうあう…」となってしまうの。
これはね、「言葉でしっかり子どもを納得させなければ」というところから来ていたのよね!子どもが危ないこととか迷惑になりそうなことをしてとっさに制して、でも「ダメ」と制するだけではなく子どもが納得する理由をつけなければと思って。でもそんな「とっさの」うちにそんな言葉まで出てくるはずもなく…という感じね。
これはこちらの本でしっかり学びました。
まずは「事実を言うこと」。例えば「ほら、そこをフラフラ歩いていると、通る人の邪魔になるからこの端っこを歩いてくださいね」→「そこ、人が通りますよ」みたいな!
それから、「納得させてあげる」ということ自体に無理がある。なぜなら、納得は子ども自身が「するもの」だから!!!「納得させてあげる」じゃなくて「納得するもの」。親が納得させてあげる答えをあれこれ考えて用意するということ自体がナンセンスだったのだ!!

これで、子育てのストレスがだいぶなくなりました。
だって、そもそもが無理なことをやろうと四苦八苦していたのだもの。
それからこれ、子どもだけじゃなく、大人の人間関係でも使えそうな気がしませんか?


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