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高齢者こそ都市部に

定年したら、あるいはそれよりも前にサラリーマンを辞めてのんびり田舎暮らしを、と考える人は今も昔もきっといるだろう。特に近年は地方自治体が移住を促進していることもあって、様々な補助制度が用意されている場合があり、移住しやすい。

しかし田舎に住みたいと思う人でも、田舎に住むのは80歳くらいまでで、それ以降は都市部に住んだ方がよいと思う。
なぜなら歳を取るにつれ、健康上に不安が出てくるからである。

前提

日本の田舎、と聞いて思い浮かべる風景は人それぞれ異なるだろうけれど、ここでは農村部のことを指す。田んぼや畑、山林が広がり、コンビニはもちろんスーパーも近くにはなく、どこに出かけるにも車が必須の地域。

都市部とは、東京23区を指すわけではなく、市役所や町役場があり、マンションが建っているような、この辺りでは街、というレベルの地域を指す。山が遠く、平地。
今住んでいる地域が田舎だと思うなら、相対的にそこよりは都会だと思われる地域。


メリット

高齢者が都市部に住むメリットについて。

公共交通機関が発達している

時折高齢者が起こす交通事故がニュースになり、同時に免許返納についても言及されるが、田舎では車がないと生活できない。一人一台レベルで所有している家も多くあるだろう。免許を返納した場合に増える負担は、都会に比べてかなり多い。

一方、都市部では公共交通機関が発達しており、車がなくても生活できる。バスや電車が発達しており、タクシーを利用しても低料金で移動できる圏内である。
日常生活で通うことになる病院やスーパーに行くためにも、いちいち「若い者」に車を出してもらわなくて済む。
新しい駅や施設はバリアフリーに対応しており、使いやすい。

各種施設が近い

様々な施設が近くにあるため、利用しやすい。
生活に必須のスーパーや金融機関、特に病院が近くにある。病院は、緊急時の搬送が速いことにもつながりやすい(搬送先の病院がすぐ見つかるかという問題があるが、それでも近いに越したことはない)
図書館や集会所系の施設が近い、ということは、習い事や趣味のサークル、各種イベントが近くで開催されるということでもあり、賑わいを感じやすい。
また、デイサービスのような福祉施設も通いやすい。
健康上の不安がなくもう少し働きたい、と思った場合も都市部の方が仕事を見つけやすい。単純に人が多いため、需要が高い。

災害に強い

大雨による浸水や洪水は都市部でも起こるけれど、人が亡くなるような土砂崩れは山際で発生する。田んぼをメインに考えていた時代に建てられた建物は山際に建っていることが多く、危険性が高い。9月か10月に台風がちらほら来るような時代から変わり、今や梅雨時から台風が到来し、線状降水帯やゲリラ豪雨が頻発するようになったため、土砂崩れへの要警戒度は以前よりも高まっている。
幹線道路が被災して通れなくなると、陸の孤島となる可能性がある。これは消防車や救急車などの緊急車両が通れないということでもある。

都市部では山が遠いため、土砂崩れの危険性が低い。河川の氾濫や浸水被害は都市部でも考慮する必要があるけれど、それは農村部でも同じである。
また、停電からの復旧も一般的に都市部の方が早い。
都市部ではそもそも災害が起こりにくい上に、避難所も近いため避難しやすい。また、数日の避難であればホテルという選択肢を採ることもできる。


デメリット

高齢者が都市部に住むデメリットについて。

住宅が高い

賃貸にせよ購入にせよ、住宅費が高い。

家が狭くなる

同じ金額を支払った場合、都市部ではより狭い家にしか住めない。

緑が少ない

田舎暮らしに憧れる人が最も強く求めるもののひとつは豊かな自然だろう。
都市部では自然が豊かとは言えない。
神社仏閣や大きな公園など、選んで探さなくてはならない。

騒々しい

田舎も決して音がないわけではない。
が、人が少なく、車も少ないので静かだと感じることが多い。
都市部では家の間隔も近く、騒音問題など近隣住人とのトラブルも発生しやすい(しかし農村部に人間関係のトラブルがないかと言われるとそうではないので、結局は人の問題である)。

村じまいに向けて

もし高齢者になって移住しようと考えているのであれば、体力がある内にした方がいいと思う。同時に、何歳まで住むつもりかについても考えておいた方が。

人口減少が進む中「村じまい」を進めていくべきだと考えているけれど、ここでは単に、都市部に住んだ場合と農村部で住んだ場合、都市部の方が住みやすい、という点のみ書いた。
村じまいについてはまたそのうち。

名角こま

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