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*ネタバレあり* LOVE ALL ARENA TOUR 2023/1/4 福岡マリンメッセ

仄暗い照明の中、ゆっくりと上がっていったステージ中央の奈落上にピアノと人影が見えた。それは先程わたしのすぐ横から颯爽と自転車に乗って登場した藤井風だ。夕陽のように真っ赤なオレンジを背に穏やかな顔をした彼のビジュアルがステージ頭上に設置された4台の大きなモニターに映ったかと思うと、フッと消えた。
待ちに待ったLiveのスタートである。何から歌うのか客席の約15000人が今か今かと待ち構える。天井は高く広いはずなのに、期待と興奮で会場うえから下まで隙間なく満杯だった。

聴いたことのあるピアノの旋律が響き出した。

それが何の曲か理解するのにコンマ何秒か遅れた。しかし頭で理解するよりも先に涙が溢れていた。たくさんの人と一緒にliveで聴きたいと願ったあの曲『The sun and the moon』だったのだ。
わたしは昨年Twitterでこのようなツイートをしていた。

このTweetへの賛同者は多く、あれよあれよと広がっていった。

このツアーが決まった当初からもう歌うことは決めていたのかもしれないし、アマゾンプライムで配信しだしたことが関係してるかもしれない。全くの考え違いでこのTweetは関係ないのかもしれない。
でも、それでもわたしと同じように聴きたいと願った多くの人の気持ちが彼に届いたのだと思わずにはいられなかった。彼の歌声は心に沁みた。

改めて、沢山の人の願いを叶えてくれてありがとう、風くん。team風の皆様も本当にありがとうございます。演奏は本当に素晴らしかったし、美しかった。奈落の側面に光る青と緑と白の線のような照明と相まってか、彼の周りにたくさんの流星群が流れているように見えた。それはこれまで見たどのLiveの光景よりも美しかった。
割れんばかりの拍手に込められた感謝の気持ちは新年1発目のパフォーマンスをした風くんの心にしっかり届いただろうか?それを願うばかりである。

(ここからは覚えてる限り曲を記載していきます。初っ端の迫力に呆然としてしまったので、記憶抜けてるので順番違ってるかも。悪しからずです。)
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『ロンリーラプソディ』間奏でネガティブなもの吐いて、綺麗なポジティブなものを吸って息を整える。この時間が本当好き。本当にそれができているか信じる信じないに関わらず、その瞬間だけはみんな何となーくやっている。彼が先導するのを隣の人もそのまた隣の人も素直になって後に続く。小さい、でも確かな呼吸音があちらこちらから聴こえて来る。たくさんの人の肩がわずかに動く。出たものも吸うものも目には見えないけど、確実にみんなが綺麗にキラキラになっていってることが分かる瞬間だ。

風くんのLiveで初めて一緒に歌ったのは『もうええわ』である。福岡での初めてのコール&レスポンスはお客様の上品さが際立つ結果となった。誰の心も歌詞のようにいつでも自由であってほしいと願った。
この曲は行きの飛行機で耳に残った曲の1つである。「何が大切なんよう選んで」という歌詞が頭にこびりついた。

『旅路』をLiveの序盤に演奏したことに少し驚いた。どの曲も好きだけど、わたしにとって思い入れのある曲だし、ラスト感が強いからだ。『旅路』は歌詞がものすごくいい。あとビジュアルがすごく好き。スーツケースから溢れるほどの花を携えて、あわよくばわたしもどこまでも隣を歩いていきたいくらいには好きだ。
生きてればいろんなことがあって、でもそれも学びだし、これからもそんな旅路を一緒に歩いていきたいみたいなコメントを残して歌われた『旅路』は無色透明で心に届いた。朝焼けの澄んだ空気のようなこの曲を胸いっぱいに吸って明日からも頑張ろうと思えた人は多かったのではないだろうか。

そこからガラッと空気が変わると、ステージの形が変わり照明の明かりがそれに合わせて広がるとバンドメンバーがステージ上に。あの構造だと開場スタートからずっとスタンバイしていたんでは?まじか…何時間あそこに?お疲れ様すぎる…真偽はわからないけどそればっかり考えていたら『damn』がスタート。ご機嫌なサウンドに会場は大盛り上がりだった。その流れに乗って『へでもねーよ』『やば。』『優しさ』と続く。
『へでもねーよ』もカッコ良さに磨きがかかってたし、『やば。』も美しかった。
『優しさ』はアレンジがかかっていた。ラストサビ前の祈りのようなAhは声がよく伸びていた。

『さよならベイベ』サビでお決まりの”バイバイ”を15000人がやっているのは壮観である。さよならは愛の言葉だと本当に理解するにはまだまだわたしは青い。
そして『死ぬのがいいわ』である。この曲も行きの飛行機で耳に残った曲であった。NHKの特番で取り上げられていたことも関係していたのかもしれないけれど、「あんたとこのままおサラバするよか死ぬのがいいわ」を痛感する経験を年末にしたからなのだと思う。(※)
紅白の演出はLAATのものだったんだと途中で気づいた。アリーナ1列目のお客様は目の前で行われる妖艶腰使いダンスをどんな思いで見てたんだろう。わたしだったらやんややんやの喝采を送ってしまうだろうな。

その後『青春病』『きらり』『燃えよ』『まつり』どれも良かった。
『青春病』は『死ぬのがいいわ』の世界観引きずってて、それはそれで新しい解釈が生まれそうだった。『きらり』はやっぱり軽かった。歌詞はとてもいいことを言ってるのにふわっとのれる曲でLiveで聴くと頭空っぽで盛り上がれる。あの感じは好き。そして『燃えよ』の演出はパナスタでの演出をキュッとコンパクトにした感じ。あの歌詞も最高だよな。『まつり』は客席のほとんどがアレちゃんの振り付けを完璧にこなしてて、正月ってこともあってかめでたさが倍増していた。これまでこの曲には旋律とか声のトーンで慎ましやかな日本の原風景的なイメージがあったけど、初めて派手なイメージを持った。めでたさがそう思わせたのかもしれない。

そして『grace』やっぱりいい曲だ。もう何回おんなじこと言ってるんだろう。どの曲もいいんだよ。言わせてほしい、どの曲もいい曲なんだ。
この曲を歌う前に彼は少しだけ喋った。彼のMCってもちろん話す前にしっかり考えてるのは前提なんだけど、比較的ストレートにモノを言う印象があった。それは絶対的にブレない信念があるからだろう。言葉や伝え方を変えて私たちに伝われと思いながら届けようとしてるのが伝わってくる。しかしいつだって彼から「Aの次はB」みたいに決めつけるような圧力を感じたことはなかったし、ただただそこにいる人がいい方向に向かうきっかけになればという優しい気持ちしか感じたことはなかった。
けれど今回だけはオブラートに絡んで渡された感じがあった。色んな思いがせめぎ合っているのだろうかと要らぬ心配までしてしまった。「何ができるかな 愛に従うのならば」という歌詞が特に頭に響いたのはそのせいかもしれない。

ラスト『何なんw』をみんなで熱唱して迎えたフィナーレで彼は私たちにお願いをしてきた。
「どうか幸せであってください」
その言葉にはいつものストレートさを感じた。彼の心から生まれたそのまんまの言葉だった。わたしはその約束をしっかり守ろうと思う。だからどうか彼にもわたしたちに同じ約束をしてほしいと、すぐ横を笑顔ではハケていった彼の目に願った。

歌ってくれててありがとう。
これからも何があろうと、彼が前に進む限りわたしは全力で応援します宣言をして今回の締めとする。

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※余談です。気になる人はどうか読んでくれたら嬉しい…

実は年末、コロナにかかってしまった。熱は39度を超え、頭痛と咳に悩まされた年越しだった。自宅隔離が終わったのが福岡公演の2日前、いろんな意味でギリギリの闘いだった。
コロナがまだどんな病気か分からなかった2020年、世界が混沌とする中わたしの心はそれとは裏腹にとても落ち着いていた。仕事のキャンセルが相次ぎ明日がどうなるか見えなくても何とか希望を持って進めたのは大丈夫だという確信と自信があったからだ。それは身体も心もコントロールする鍛錬をしていたからだと思う。根拠のない不安へのストップも身体のちょっとした不調も全て抑えてきた。知り合いが不安だと言えば電話して励まし、久しく会ってない友人が寂しいといえば面白い動画を送り続けた。それだけの余裕があったからだ。しかし今回の体験はどうにもならなかった。痛みや苦しさに抗うどころかもたれかかることしか出来ず、頭の中は常に嵐のようにパニックを起こしていた。
2022年、風くん初紅白出場に歓喜しながら年越しをしたその年のほとんどは今振り返っても素晴らしい時間だった。わたしがわたしを信じられたし、全てが最善の道に繋がっていると自覚できたからだ。それはつい昨日までできていたことなのに、急に生まれたての子鹿のように身体は震え、心は何を頼っていいのか分からなくなった。こうして久しく襲われることのなかった心細さに心はやられてしまったのだった。それは子どもの頃に見た雲ひとつない薄い青空に感じた寂しさに似ていた。拭おうにも人がくれる安心感では生ぬるく、あまりにも不確かだった。それよりも確実な何かに縋りつきたくなったのだ。その時に自分の近くにいたはずの存在が雲がかかったように見えなくなっていることに気づいた。自分の思い1つで物の捉え方は如何様にも変わってしまう。ひとりぼっちで取り残されたように感じた瞬間、コロナなんか比じゃないくらい辛くなった。いつだって側にいると信じられずに、何かを探して心だけ徘徊する夜を何日も迎えた。そんな過敏な心のまま Liveに参加することになったのだった。
何回も1人で乗ってきた飛行機も、1人旅も何故だか新鮮でちょっとビビった。人がいつもより大きく見えて、落ち着くので精一杯だった。
もしこのままこんな状態が続くなら、それはわたしにとって地獄すぎた。本当に「死ぬのがいいわ」と思うほどに心は縮こまっていた。そんな存在のことに気づかないで生きていたわたしにはもう戻れないくらいには信頼しているのだと今は思うことができる。
Live終わり、「幸せになる」ことは決めたけど心はついていかなかった。そんな心はLiveの余韻に流されまくり、彼の初めの曲を思い出す度に目頭が熱くなる始末で、このままだと変になると髪を切り、初詣に行き、美味しいものを食べ、人に会いに行くなど思いつくことをぜーんぶやった。これを書いてる今はいろんなことを思い出し、気付き、だいぶ落ち着いた穏やかな生活へと戻ったが、久々にかなりディープな経験となった。
病は気を曇らせる。でもなるには何かしら意味があるのかもしれない。風くんの言葉を借りればパワーアップできたのかもしれないと前向きに考えようと今は思っている。


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#最後まで読んでくれてありがとう

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