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映画感想:劇場版Fate/Stay night[Heaven's Feel]が終わって、春が来た。(ネタバレあり)

見てきた。

ああ……終わったんだなぁ……終わってしまったんだなぁ……
2014年の8月、FGOが始まる前年で制作発表されてから足掛け6年。現代怪異譚、Fate/Stay nightの最も深い闇と謎である「聖杯戦争」と一人の少女「間桐桜」に焦点を当てたルート[Heaven's Feel]の劇場アニメ化。三部作として展開されて、3月の公開がコロナ禍によって延期され、8月15日に満を持して公開された。

映像化は叶わないであろうと思われたこの物語を、完璧に映像化した名作だった。よくぞ、よくぞ6時間前後であの物語をまとめ上げた。ありがとう。ありがとう……

さて感想を……あー……いかんな。未だに夢心地のままだ。
こうなったらこのまま書き連ねる。普段のような冷静な語り口は期待しないでもらいたい。

今回は暫定版の記事だ。
ネタバレ回避で改行だ。



言峰綺礼という男

不安を完全に払拭してくれた!!

HF1章2章で不安だったのが彼だった。
士郎の左腕の治療だとか正義を問い正す場面だとか尺の都合でガッツリカットされていた。間桐桜の愛を貫く須藤監督のことだからひょっとして言峰綺礼の要素が薄くなるのでは? という不安が残っていた。

よくぞやってくれた!!
先天的な破綻者としての彼の描写、それでも神を信じ続けた聖職者としての苦悩、サーヴァントですら相手してしまうほどの強靭さとそのあり方! 全部が見事に描かれていた。洗礼詠唱の神々しさもたまらない! 願いをかけた殴り合いも最高! 信じてよかった。

ライダーの美しさ

サーヴァントライダー、真名メドゥーサ。間桐桜のサーヴァントである彼女は彼女からの令呪で士郎を守り彼と共闘することになるわけだが……

あれほど美しく描けるとは……
前作で膨大な光の奔流とも言うべき強さと爆発力を魅せたセイバーオルタ相手の戦闘が、美しい。力のセイバーオルタに対する速さのメドゥーサか。肢体の艶めかしさとその速さで繰り出される怒涛の戦闘が脳を刺激する。あの暴力的な魔力の破壊を紙一重で避けて立ち向かう様よ。

衛宮士郎という人間

そして本作の主人公。
彼は大災厄から生き残ったサバイバーズギルトによって、自己より他者を優先するような「正義の味方」を理想とするようになってしまった後天的な異常者だ。

Fate/SnのFateルートとUBWルートでは彼の目指す先は大きく変化せず、その自己の命を顧みない破綻した在り方は時として忌み嫌われるようなものであったが、今作のHFルートで彼はその在り方と対峙することになる。

自分が好きな相手が、自分の理想と反する殺人者であったなら、自分はどうするのか。理想を捨てて、正義の味方から人間になれるのか。それを描いたのがHFルートであったが……文句なし! 最高の描写だった。
投影の暴走で身体の内から突き破る剣の描写も良い。同じ異常者同士の殴り合いもいい。セイバーに剣を突き立てる時の表情も素敵だ。

葛藤し苦悩し決断し、好きな女の子を助ける立派な主人公だったよ。
イリヤとのやりとりで自分の今までを棚に上げたような説得したのも好き。

映像化したいところをとことん映像化

1章2章では少しは配慮していたところもあったが、3章ではもうやりたい放題だ。このシーンを映像化したいんだよ!っていう欲望を叶えるかのように、シリーズ初見だったりFGOだけやってる人ではわからないような描写もたくさん!
だけどわかっている人から見ればそれで十二分にOKであるわけだし、細かくやろうとするとさらにさらに時間が足りなくなってしまう。2時間という尺でよくぞまとめきった。

あ、カレイドスコープのおじいさんだ!みたいにわかるのも良かったかもしれない。

間桐桜への愛

もはや多くは語るまい。
被虐され苦しめられた彼女の唯一の救い、それを求め、力と運命に飲み込まれようとする様。士郎が正義の味方を捨てでも助けようとした彼女の描写は、愛がなければできなかったろうな……
原作への愛、間桐桜への愛が成し遂げた快挙だった。

本当にこの劇場版を作ってくれて、ありがとう……

さて、一旦ここまでにしておこう。
もう一度反芻してから書くかもしれないが。

ああ……終わっちゃった……

また会おう。

・追記(2020.8.18)

実質の続編。

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