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【詩】「明るい景色を求めて」

昨日ずっと眠らずにささやかな会話を重ねてみた
あなたにとって僕は通りすがりの人だろう
僕にとってもあなたは二度と会わないだろう人

少しだけ心の何処かで溜息を吐いてる
目を合わせることもほとんどないままに
あなたの言葉の影を踏むように僕は言葉連ねた

明るい景色を求めて
ただ微笑める場所を求めて
人は静かにもがいている

寒さに身を震わせはじめたあなたに
僕はただ眠りを促すことしかできなくて
しばらくしてあなたはゆっくりとシートを立った

僕に背中を見せて遠ざかるあなたに
僕はたった一回しか視線を送れないまま
また少し心から温もりが失われたのを感じた

明るい景色を求めて
幸せであれる場所を求めて
人はその憧れを胸に抱いて
哀しみ渦巻くこの街で生きている

あなたを追いかけられない不器用な僕がいる
夜が明ければまた朝が来るその繰り返しに
夢はそっとそっと薄れていくだけだ

あなたの名前を呼ぼうとしたときに僕は気付く
何一つ僕は知らないままで生きてきた
振り返っても誰もいない薄闇が広がるばかりだ

明るい景色を求めて
優しくなれる場所を求めて
人は憂いを胸に秘めて
静かにその儚い生を往く

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