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【詩】「オモチャ」

僕の手のひらに落書きして悪戯っぽく微笑むあなた
本を読んでいる僕の肩を拳を固めて叩くあなた
「僕ってオモチャなの?」って聞くと
笑いながら「うん」と肯いたね

愛情表現だとは分かってる
憧れている人よ 
それだから僕がめずらしく軽い言葉を交わせるんだよね
手を届かせるつもりもない
それを知ってるから僕はここで笑っているんだ

あなたが見た目以上に辛そうに微笑んでいること
それを和らげることが僕にできるのなら
喜んであなたにこの身を差し出しましょう
「役立たず」と時にののしられる僕ではあるけれど

うつむいている僕の背中をバシンと叩くあなた
見上げる僕に胸を張って微笑むあなた
「僕ってオモチャなの?」って聞くと
当然のように「うん」と肯いたね

これまでもそうであったようにこれからもそうでありましょう
あなたの素敵な微笑みを見たいがために
僕は真っ赤なお鼻のピノキオでいましょう
記憶のネジを必死で巻き直している僕ではあるけれど

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