春の西旅・九州へ⑦

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10分ほど停車した折尾駅を発車し、熊本行き「急行天草」は筑豊線へ進路を取った。

この辺りは「福北ゆたか線」と路線愛称が付された北九州都市圏の通勤路線としての性格を持っているが、とはいえ鹿児島本線よりも長閑な車窓である。窓を開けると快走する車窓から心地よい風が当たる。
自席は1号車だったので機関車側の展望室がすぐだ。最後尾まで行くのは遠いし混んでいたので、時々こちらの展望室に足を運んだ。力強く牽引するDE10の姿を間近に見る展望もまた一興である。

折尾駅で積み込まれた弁当が配られた。なかなか豪勢だ。良い列車、良い車窓、良い食事…至高のひとときである。

昼食後にも引き続き飲んでいく。折尾駅での停車中にコンコースまで足を伸ばしたところ中津からあげの店があったので調達しておいたのだ。楽しい。

列車は桂川を過ぎた。実際の急行天草は桂川から篠栗線へ入り博多を経由していたらしく、また現在でも筑豊線直方側の全列車が篠栗線に直通して博多と結んでいるが、今回の「急行天草」はそのまま筑豊線を進んで鹿児島本線と合流する原田へ向かう。この区間は非電化で山中へ分け入っていくよりローカルな地域で、こんな機会でもないと来なかっただろう。

筑豊線を完走し、鹿児島本線に合流する原田駅に到着。しばしの停車となった。ウィスキーがついに切れたので近くのスーパーまでビールを買い出しに行きつつ、スナップを撮る。
原田を出てすぐ、次の停車駅の鳥栖に着く。長崎本線が分岐する鉄道の要衝にも30分の停車時間があった。

鳥栖駅といえば中央軒。歴史あるターミナル駅の歴史ある店だ。ホームの立ち食いが馴染み深いが駅弁も調製していて、焼麦(シャオマイ)というシューマイ様のものが名物となっている。

もちろん購入。地のものをアテに酒を飲むのが旅を実感するひとときだ。

鳥栖から熊本までは列車はいよいよ天下の鹿児島本線を走って行く。同じ区間を現在SL人吉(熊本行きはDL牽引)が運転しているが、そちらが2時間22分かかるのに対しこちらの「急行天草」は1時間38分のスジとなっていて、複線電化の幹線を飛ばすディーゼル機関車牽引客車列車の力走(最高80km/hくらい出していた)は、「第一線」といった求めていた趣で最高だった。

大牟田で小休止

軽やかな乗り心地と酔いにうたた寝してしまい、やがて列車は終着駅へ。

15時半過ぎ、門司港駅から4時間57分を走り抜け、臨時急行天草は終着駅熊本に到着!酒であっという間だったとはいえ、乗り応え満点の列車であった。門司港駅からの旅立ち、長距離客車列車という意味でとても良い体験をすることができた。

⑧につづく(執筆中)

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