ナトリウム

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春の西旅・九州へ⑦

①はこちら ⑥はこちら 10分ほど停車した折尾駅を発車し、熊本行き「急行天草」は筑豊線へ進路を取った。 この辺りは「福北ゆたか線」と路線愛称が付された北九州都市圏の通勤路線としての性格を持っているが、とはいえ鹿児島本線よりも長閑な車窓である。窓を開けると快走する車窓から心地よい風が当たる。 自席は1号車だったので機関車側の展望室がすぐだ。最後尾まで行くのは遠いし混んでいたので、時々こちらの展望室に足を運んだ。力強く牽引するDE10の姿を間近に見る展望もまた一興である。

    • 春の西旅・九州へ⑥

      ①はこちら ⑤はこちら 時刻は9時前。まだ1時間ほど自由時間があるので、9時開館の九州鉄道記念館に行ってみることにした。 JR各社が各々設けている鉄道博物館的な施設の九州版だ。ここは九州の鉄道に特化しており、その始まりの地である門司港という立地も適している。 展示物を逐一紹介してもきりがないので割愛するが、1時間程度の時間潰しにはちょうどよかった(もう少しじっくり見たかったが)。 門司港駅に戻り、いよいよこの旅のメインディッシュへ取り掛かろう。受付を済ませ、売店での買

      • 春の西旅・九州へ⑤

        ①はこちら ④はこちら 私は観光地ではとりあえず展望台に昇ることを是としている。門司港レトロにも展望台があるというので行くことにした。マンション建物の最上階とのことで、トロッコの車内アナウンスで黒川紀章の建築だと教えられたが、見るからに晩年の作品でモダニズムとは離れた眠たい見た目が惜しい(今思えば丹下の都庁やフジテレビもそうであるように、こういう化粧コンクリートとガラス窓の構成が彼らなりの「ポストモダン」だったのかもしれないが)。 展望台に昇るとスタンドがあったので、遠慮

        • 春の西旅・九州へ④

          ①はこちら ③はこちら 夜行列車で到着した早朝からたっぷり楽しんだ岡山の街を後にし、新幹線に乗り込んでさらに西へ。山陽新幹線内しか乗らないのであれば出来れば「のぞみ」ではなく指定席が2-2列の山陽区間単独列車を利用したいところだが、ここは行程上の速達性を優先した。新型で座席も改良されたN700Sなのでまだ良しとしよう。 路面電車から新幹線への乗換がかなりカツカツだったので、昼食となる駅弁は朝のうちに買っておいた。穴子を中心とした地のものらしいメニューに舌鼓。 新山口で後

        春の西旅・九州へ⑦

          春の西旅・九州へ③

          ①はこちら ②はこちら 路面電車に乗り込み、終点の東山電停を目指す。 東山電停に着くと、この街での一番の「目的」の姿が既にあった。 東武日光軌道線100形…まずはその名前で呼ばせてほしい。 岡山電軌3000形は日光軌道で使用されていた100形電車を譲渡した形式で、置換が進んだ現在は2両のみが現役となっている。うち1両は「KURO」という観光仕様に改造されているが、もう1両の3005号はほぼ原形で、ご覧の通り塗装も日光時代にリバイバルされている。 東武は自社の広大な路線網の

          春の西旅・九州へ③

          春の西旅・九州へ②

          ①はこちら 岡山駅にてサンライズを下車。この日(4月1日)の午前中いっぱいはこの街を見物する。夜行列車で降り立ったため時刻はまだ7時半前だが、この時間でも既に開いている観光施設があるのだ。 岡山は路面電車が走る街。趣味的に楽しいのはもちろん、初めての街での交通手段としては路線バスよりも分かりやすいので嬉しい。早速乗り込んで移動する。 乗車中異常に古めかしいコンプレッサーの音がすると思って、降りてから台車を覗いた。古い。岡山電軌のこの見た目の車両は車体だけ新しくしたもので

          春の西旅・九州へ②

          春の西旅・九州へ①

          どうもナトリウムです。 これまで旅行記はTwitterにスレッド形式で投稿していましたが、昨今のTwitter情勢の諸々を鑑みて、今後(少なくとも今回)はnoteに上げることにします。過去のnote旅行記とは異なり筆者が書きやすいよう写真多めでシンプル淡々に書いていきますので、よろしくお願いします。では。 旅の始まりは3月31日、金曜夜の東京駅。一旦帰宅してシャワーを済ませてから来たのは20時半ごろ。この時間はまだ新幹線もあるため、せわしく歩く通勤客に混じって自分と同じよう

          春の西旅・九州へ①

          「WEST EXPRESS 銀河」乗車記

          先日、念願だった夜行列車「WEST EXPRESS 銀河」への乗車を果たした。前評判の通り素晴らしい列車であったので、改めて記事にしておく。 全体の旅行記はこちら(Twitterスレッド形式)。今回の旅行は前後も盛り沢山だったが、全て旅行記に起こすとものすごいボリュームになってしまうので、今回は「WEST EXPRESS 銀河」に絞った形で書いていく。 乗車データ 特急「WEST EXPRESS 銀河」(以下WE銀河) 乗車日:2022/11/4(金) 運転区間:新大阪2

          「WEST EXPRESS 銀河」乗車記

          「推し」という概念を廃止した話

          「推し」という概念が流行っていますね。TVなどでも聞く場面が増えましたし、今日電車に乗っていたら東急が推し活広告なるものを宣伝していてびっくりしました。コンテンツ市場を越えた範囲で広まっているようです。 考えてみると、一昔前であれば「好きなアイドル」や「好きな声優」、「好きなタレント」のように、応援する対象はそれぞれ適当な肩書で呼ぶことができました。しかし昨今“推される”人というのは、声優がアイドルとしてライブしたり、アイドルがタレントのようにバラエティをやったり、タレントが

          「推し」という概念を廃止した話

          南東北旅行⑤

          南東北旅行① 南東北旅行② 南東北旅行③ 南東北旅行④ 南東北旅行⑤←ここ 一泊した名取市を後に帰路に就く。閖上から「なとりん号」で駅へ戻り、東北本線上りホームへ。 ちなみにホームの向こう側に見えるのは駅西側にあるサッポロビール仙台工場。工場見学はやっていないが仙台ビール園というレストランがあり、工場直送ビールとジンギスカンなどの料理を楽しめるとのこと。酒飲みとしてはぜひ、是非とも行っておきたいので、この時点で名取市再訪は確定している。 上り列車に乗り込み数駅、降りたのは

          南東北旅行⑤

          南東北旅行④

          南東北旅行① 南東北旅行② 南東北旅行③ 南東北旅行④←ここ 南東北旅行⑤ 仙台から普通列車で10分ほど揺られて降り立ったのは、仙台市の南隣にある名取市。実は2回目の訪問である。仙台都市圏の郊外のこの街に何故筆者が固執しているかはこの旅行記の一つ前に投稿しているnote記事なんかを見ていただけると分かるかもしれないが、ともかくちょっとした思い入れがあって今回の泊地とした。 駅前からはバスに乗車。市内を走っているのはコミュニティバス(自治体が経費を負担して運行するバス)の「

          南東北旅行④

          南東北旅行③

          南東北旅行① 南東北旅行② 南東北旅行③←ここ 南東北旅行④ 南東北旅行⑤ 3.快速湯けむり号 さて、本旅行記は鉄道マニアではない人にも楽しんで読めるよう、なるべく平易な表現を心掛けて執筆している。その意味でここまでご紹介してきた山形新幹線や銀山温泉はまだ面白みが伝わりやすかったのではないかと思うが、これから乗る列車に関してはオタク性癖純度100%の愉しみ方をしているので何とかご了承願いたい。もしくは狂ったオタクがよく分からないことを叫びながらハイになっているのを生暖かい

          南東北旅行③

          南東北旅行②

          南東北旅行① 南東北旅行②←ここ 南東北旅行③ 南東北旅行④ 南東北旅行⑤ 2.夏の銀山温泉 駅前からバスに乗車。駅の自販機で水ゼリーが売っていたので迷わず購入。JR東日本クロスステーションウォータービジネスカンパニー(長い)が誇る最高傑作である。ラムネ風味の口当たり良いゼリーは爽やかな甘さで後味もすっきり、夏にぴったり。「水ゼリー」とかいう聞いただけではあんまり美味しそうに思えない商品名で損してる気がするが、皆様も駅で見かけたら是非に。 さて、大石田駅を発ったマイクロバ

          南東北旅行②

          南東北旅行①

          どうもナトリウムです。 私は架空鉄道趣味の一環で「架空列車を旅行記っぽく描く」という小説をときどき書いています。 その方が臨場感や現実感が出るからなんですが、一方で実際の旅行の後でTwitterに投稿している旅行記はそれとは全然違って淡々としていることに気が付きました(1ツイート140字以内に収めないといけないので)。 ということで、もうちょっと情景描写に重きを置いた、鉄道オタク以外でも万人にある程度読みやすく、かつ軽い語り口で読みやすい旅行記を試みてみようという感じで本

          南東北旅行①

          世界を旅する“窓”としてのインターネット

          “窓”の話 漫画「ドラえもん」の一編に「あの窓にさようなら」という回がある。足を怪我して家で退屈しているのび太のために、ドラえもんがひみつ道具を使って部屋の窓から見える景色を色々な場所からの光景に変えて楽しませる、という話だ。とても良い読了感を持つ回なので、機会があればぜひ読んでみてほしい。 さて、上述した「ドラえもん」の一編で表されているように、窓というのは内から外の世界を望む装置となっている。が、日常生活でそれを意識することはあまり無いように思われる。というのも、当然

          世界を旅する“窓”としてのインターネット

          丁寧なインターネット生活を心がけたい話 ~楽しいSNSのために~

          私はTwitterに生息するオタクです。ツイッタラーとまでは名乗りませんが、日に最低でも数ツイート、たいていは十数の投稿をしています。そしてありがたいことに、最近は以前にもましてフォローしてくださる方が多いようです。この記事を執筆している2022/2/27時点でフォロー数314/フォロワー数670、フォローバックされない公式系のアカウントをあまりフォローしていないというのもありますが、それにしても倍以上の比率になっています。ありがたい限り。 ただ、フォロワーが増えるというこ

          丁寧なインターネット生活を心がけたい話 ~楽しいSNSのために~