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星に思うことの走り書き


「星を知らない人の歌」ってよく揶揄されてるけど、もう少し想像力を膨らませたらいいのに、と思う。私自身は、この曲が好きというよりドギョムが歌ってくれたから好き、というだけなんだけど。

空にある何かを見つめてたら
それは星だって君がおしえてくれた

あの空に浮かぶ輝きを、人はいつ「星」だと学ぶのだろう。

人間は言葉を覚えることで、認知する世界を広げていく、という話を聞いたことがある。赤ちゃんが「ママ」という言葉を最初に覚えたら、赤ちゃんにとっての世界は「ママ」と「ママ以外」になる。次に「まんま」を覚えたら、その子にとっての世界は「ママ」と「まんま」とそれ以外。

この歌の冒頭、「僕」は星のことを「空にある何か」としか認識できない。でも、「君」が教えてくれたから、それを「星」と認識できるようになった。そういう歌詞じゃないのか。(知らんけど)


考えすぎかもしれないけど、だから私はこの歌い出しが嫌いじゃない。だって、ドギョムが教えてくれたことが星以外にもたくさんあるから。

アイドル、って存在そのものについても、ドギョムが教えてくれたものだったな。薄っぺらいところしか見えてなかった。こんなに眩しくて儚くて、素晴らしい存在だってこと、知らなかった。

ドギョムは私の新しい世界だなあ、と思う。まって、A Whole New Worldってコト……?!

これまでの自分の傾向とか好きになりやすいものとか、そういうものを突然ぜんぶブチ破って「好き!」と思わせてくれた人。20年以上生きてると、自分が好きに思うものって大体の「型」が出来てしまってつまらなかった。はいはいこういうの好きだよわかる、みたいな。新鮮さがない。

もう10代の頃みたいにみずみずしい気持ちで何かを好きになることってないのかな、と思ってた。大袈裟な、という話だけど、世界を知りすぎてしまったように感じていた。人は中学生の頃に出会った音楽に一生囚われるって、多分そう。なのに、あの頃好きだった音楽と似た曲に出会うたび、どんどん感動が薄れてしまってかなしかった。

私の世界、少なくとも自分の「好き」を中心にした世界は、ドギョム以前/以降で明確に分けられる。それまで「何か」としか認識できなかったものたちを、「あれは星なんだよ」と教えてくれた。ずっと信じきれなかった「応援」って言葉を、うつくしく塗り替えてくれた。


ベテルギウスと地球の距離は550光年。光の速さでも550年かかる。
私が見ているあの星は550年前の姿をしていて、もしあの星が爆発してなくなったとしても、それは550年後でないと地球からはわからない。

推しとの距離もそのくらいがいい、と思う。さすがに550年は長すぎるけど。あなたがいま泣いているのか苦しいのか嬉しいのか楽しいのか、私にはわからない。わからないけど、何百年も経って届く星の光のようなものを、受け取っていたい。まなざしていたい。