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おいしい綴り

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毎日のおいしい時間を綴っています。 2人のライターでゆるく運営しています。マガジンを「おいしい」でいっぱいにしたいので、一緒においしいエッセイを書いてくれるライターさんを募集して… もっと読む
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記事一覧

カツ丼食べたい

ふと思った。カツ丼を食べたい。 夏の暑い日の恋は唐突に始まるものだし、僕のカツ丼への恋が始まったのはきっと偶然ではなく必然だった。 カツ丼を食べたい、そう思った瞬間から全ての味覚がカツ丼に向かっていた。この世の全ての料理による民主政治は死を迎え、ディクタトル_カツ丼による独裁政治が始まった。もうカツ丼以外のものを昼飯に食うことなど考えられない。 梅雨明けの夏の日差しの中、僕はカツ丼を食らわんと自転車を走らせた。 じわじわと五感がカツ丼に蝕まれていくのがわかる。通りの鰻

オカンのタッパー弁当

母親のことをなんて呼ぶか、というのは世の中のあらゆる息子にとって5番目くらいに悩ましい問題だ。ウチで面と向かって呼ぶのにはなんでもよくて、僕も「お母さん」と呼んでいるのだけど、高校生くらいになると人前で「お母さん」と呼ぶのがムズムズしてくるようになる。 女性には理解されにくいかもしれないが、友達に「お前のおかんなにやってんの?」と聞かれたときに「うちのお母さんは〜」なんていうのは、ひどく小っ恥ずかしい。感覚としては、幼稚園から小学校に上がるときに「僕」という一人称を使わなく

朝ご飯

今日も朝6時より5分前に目が覚めました。 アラームが鳴る前に目が覚めると、朝から少しいい気分になれるのは私だけでしょうか? . . . ー 朝ご飯に誘っていいですか? ー 朝起きて、太陽の光を浴びようとカーテンを開けると、玄関のチャイムが鳴りました。 急いでパジャマから着替えて、コンタクトを入れる間も無く、眼鏡のまま玄関の扉を開けると友達が立っていて言いました。 「朝ご飯食べたい!」 私は、 「今日は友達から沖縄旅行のお土産でもらった、パイナップルジャムがあるか