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歴史入門41 近くなったか? 福井県と橋本左内……

北陸新幹線の延長で、
はじめて福井県に新幹線が通ることになりました。

芦原温泉や恐竜博物館、それに敦賀港など、
これから観光客が期待できるところは、
待っていました!……なのでしょう。

ならばこちらにも、
これから少し人が多く
訪れるようになってくれないだろうか?

画像は福井市内にある、左内公園という場所。
もともとはお寺があったようですが、
橋本左内さんの、お墓のある場所です。

7年くらい前でしょうか。
彼の著書である
啓発録』を現代語訳したこともあり、
私はお墓参りに訪ねました。

なんせ住宅地にある、普通の公園です。
周りには子供用の遊具が置いてあったりするのですが、
その奥にひっそりと、左内さんのお墓があります。

左内さんは幕末に、
福井藩藩主・松平春嶽さんの下、
幕府体制の下で欧米諸国に対抗できる
国家づくりをしようと
西郷隆盛らとともに、奔走した人です。

しかし幕府側の主導者であった井伊直弼に敵視され、
25歳にして処刑されることになります。

ただ、若き侍に、優しい言葉で
立ち上げる勇気をうながした『啓発録』は
多くの人に影響を与え、
世の中を大きく変えることに寄与しました。

そんな『啓発録』ですから、
戦前は小学校の教科書に取り上げられ、
多くの若者が左内さんの言葉に触れてきたんです。

しかし戦後、これがどういうわけか
「軍国主義を彷彿させる」ということで、
一切、学校で教えられなくなります。
ただ彼が生まれた地元、福井県だけを除いては……。

まあ、お墓も地味ではありましたが、
ちゃんとお祭りも行なわれ、
少なくとも橋本左内さんは多くの県民に
よく知られた存在であるのでしょう。

ところが、かつて北陸の入り口だった越前も、
東京から見れば、いちばん遠い場所。

その距離の遠さもあってか、
橋本左内さんを知っている東京人というのも、
ほとんどいなくなってしまっています。
時代が時代ならカリスマだったのに。
実に惜しいところ……。

でも、新幹線によって、一気に近くなった福井。
これから左内さんの知名度が、
もっと上がっていけばいいですね。

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