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鋼のメンタルにもヒビは入る

普段noteに好き勝手なことを書き散らしているので薄々気付いているとは思いますが、私はメンタルが結構強いほうだ。

なにか嫌なことがあって落ち込んでも「まあしゃーない!」で乗り切ったり、人に話を聞いてもらうことでスッキリしたり。
泣き寝入りをしないと決めているので、直接的に被害に遭えば相手を土俵に引きずり出して戦ったり。

そんな鋼のメンタルにもヒビが入ることはある。



開き直り

今でこそ自由奔放に生きている私だが、子供の頃は内向的でおとなしかった。
勉強と読書が好きで、自分よりも他人の意見を優先することが多く、ワガママは悪だと思っていたのだ。

ところが中学生になった辺りから家庭にちょっとしたイザコザがあり、ある時に頭の中の回路のどこかが切れてしまった。

もう人のために生きるのはやめよう。
私は自分のために生きるぞ。

そう開き直り、そこから今に至るまで、私は基本的に自分の好きなことしかしていない。
誰からなんと言われようとも負けないぞ、という鋼のメンタルを身につけたのだ。

しかしそんな強いハートを持った人間も、一度だけ病んだことがある



地方都市の洗礼

夫の転勤に伴ってとある地方都市に移り住んだ時のことだ。
その経緯についてはこちらに書きました。

新しい土地で美容室やネイルサロンを開拓せねば、と色々なお店に行った私は、地元民の店員さんたちから厳しい洗礼を受けることになる。

「東京の男って『~だぜ』って言うんですよね?キモーイ!」
「東京の人には分かんないでしょーけどねw」
「まあ、こっちのルールに慣れないと生きていけませんよ?」

断っておくが、この都市が特別意地悪だったわけではなく、単に私との相性が悪かったのだろう。
上記の記事にも書いたが、当時は自分の故郷が特別な場所だとは思っていなかったのだ。

「東京の人間は痛い目に遭ったほうが良い」とばかりに冷たくあしらわれ、私は自分の存在と東京すべてを否定され続けた。
結果として、心を病んだ。

その頃好きだったシナモロールのぬいぐるみだけが私の救いで、寝る時も食事の時もシナモンちゃんを抱いていないとダメだった。
外へ出ることが怖くなり、一日中部屋にこもって泣いて過ごす日々が続いたのだ。

夫には「少し東京に戻ったら?」と言われたが、東京の家はすでに他人に貸し出していて、実家には妹家族がいるのでご厄介になれない。
そこで月に一度新幹線で東京に戻り、ホテルに宿を取って友達に会うことで心を休め、3泊ほどしてまた帰ることを繰り返した。

だが、ついに限界が訪れる。



ここで死にたくない

心療内科に掛からなかったので断定はできないが、多分うつ状態になっていたのだろう。
ある早朝、ふいに「そうだ、死のう」と思い至った

住んでいた借家には2階にロフトが付いていたので、その端にロープを括り付ければ首を吊れる。
それはとてもいいアイデアに思えた。

そうしてなにかちょうどいい長さの紐はないかと家中を探し回っている最中のこと。
急に頭の中に「死んでいいの?」という声が聞こえた。

私はオカルトの類は一切信じていない。
これはおそらく自分の内から溢れた言葉なのだろう。

「ここで死んでいいの?」

「ここで」という言葉が引っかかった。

そうだ。
こんな縁もゆかりもない土地で死にたくない。
私は東京で死ぬんだ。
こんな土地に殺されてたまるか。

そう思った瞬間、急にモヤが晴れたように、世界がキラキラして見えた。



隠れ都民として生きる

すぐさま夫を叩き起こし「海に行きたい」と言った。
こういう時は大自然に触れるべきだ。

途中で寄ったファミレスで、久しぶりにまともな食事をした。
うつ状態になってからほとんど食べていなかった私は、ご飯の美味しさに涙を流しながら思い切りかき込んだ。

そして海に向かって叫んでやった。

「お前らなんかに絶対殺されねーからなー!!」
「東京ナメんなー!!」

その後、私はこの土地の人間に対しては「東京出身」という身分を隠すことに決めた

さながら隠れキリシタンのように「昔からここにいますけど何か?」という態度で騙しきったのだ。
東京都のイチョウのマークを出してきて「さあこれを踏め!」と言われていたら危なかったかもしれない。

自殺しかけた話を聞いた夫は会社に事情を話し、東京へ戻らせてほしいと働きかけてくれた。
ようやく東京帰還の辞令が出た日、この土地を離れられる喜びで私は腰が抜け、泣きに泣いた。

引っ越しの手配を済ませて新幹線で東京へ発つ時、申し訳ないけれどこの土地には二度と来ないと誓った
私を殺そうとした土地になんか、金輪際来るもんか。



環境が一番大切

東京に戻ってきてから、また夫に辞令が出て別の土地への転勤が決まったのだが「凛は東京にいていいよ」と言われて私はひとり暮らしをしている。
一日中泣いていて家事もしない私の姿に彼も懲りたのだろう。

メンタル強者の私ですらこうなったのだから、そりゃ普通メンタルの人が過度のストレスを受ければ大変だよなぁと思います。

今現在心を病んでいる人もいるでしょう。
心療内科やセラピーに行くのも必要だと思いますが、とにかく自分が居心地の良い場所に身を置くことが大切ではないかと考えます。

経済的なことや個人的な事情で難しい場合もあることは重々承知です。
でも死ぬよりはマシじゃないですか?

死ぬぐらいなら無理してでも逃げたほうが良いですよ。
おかげで私は今も元気に生きていて、こうしてあなたにまたnoteを読んでもらえています。



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