夜の帳とともに降る
鈴虫の旋律よ
耳を傾け今日も私は夢をみる
思えば夏の始まりは
蛙の合唱よ
そっと目を閉じ私は息を飲む
喉の奥が締めつけられる予感
うなじから垂れる汗
真夜中のエアコンの軋む音が
生きてる証のような導音で
私を飲み込むのだ
ぐるりぐるりと周る意識の奥底に
私が置いて行った自我を見つけ
手を伸ばしすくい取ろうした瞬間
それは泡みたいに儚く消えてしまう
上下に分かれたあの感情の波を
ただただ目で追いかける
もはや聞こえるのは私の呼吸音だけだ
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