主婦の大変さ

男が抱く「家事」のイメージと現実とのギャップ。

まず最初に断っておくけれど、これはボクが勝手に想像する、独自の見解なので、限られた一部の家庭像にしか該当しない可能性もあるし、妄想と受け止めて貰っても良いです。笑

まぁ、前提に言い訳を配置した訳だけど、特に昭和の家庭像・価値観が身に染み付いているような男性、夫、父親の立場にある皆さんに読んでほしいな。それで、一緒に考えたいなと思ったりしている。

また、この記事で書く「主婦」は、本来は女性に限らないので、便宜上の表現です。
だから「主夫」はもちろんの事、家事育児を主に行っている人であれば、専業であれ兼業であれ、母親であれ父親であれ、読み替えても問題ないと思います。

※現実的に今の社会では家事・育児の多くが「母親の役割」みたいになっている訳なので、便宜上母親とか主婦を表記語にしています。

ともあれ、世の男性の方…特に「主婦の苦労」の話題に関して「俺だって毎日遅くまで働いてるわっ!」とか「俺は仕事で疲れたんだよ!」と言いたくなってしまう男性には、是非読んで貰えたらなと思います。

もしかしたら、少しだけ主婦や母親に対する景色が変わるかも知れません。

また、世の中の既婚女性から、自前のデスノートに旦那さんの名前を書き殴る時間が少しでも減らせる手助けになれば幸いです。

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「主婦」の大変さは業務の「量」だけで見るべきではない。数多ある業務もだがその背景にある現場の「環境」を見るべし。


主婦の大変さの本質とは、おそらく、やるべき家事の量だけでは決してないと思います。
もちろん、以前にも別の記事で書いたように、量そのものも決して少ない訳じゃなく、量も凄いんですけどね。
単純に、精神的なキツさは、さらに別の要因もあるよ、という話です。


1.所要時間の誤解


もしも妻や他の女性の口から、「主婦は大変」という耳馴染みのあるセリフを聞いたなら、世の多くの男性は(ここでは会社勤めで頑張っている方としますが)、論理的思考が働き、まず主婦が行っている「家事」の種類と数を頭に浮かべる事でしょう。

例えば、「炊事(朝食・昼食・夕食)」「掃除」「洗濯」など。
或いは、子供のいる家庭なら「お勉強を見る」「おやつの準備」「お風呂に入れる」といった「育児」に関する項目も挙がることと思います。

これは、理解ある男性である程、挙がる項目も増えることでしょう。
まぁここまでは、特に問題や認識のズレは大きくないと思います。

それでは、それぞれの業務(項目)の処理に要する「所要時間」については、どのように考えているでしょうか?

まず、世の男性が主婦の大変さを理解するには、この所要時間に対する不理解、感違い、誤解を認識・解消する必要があると思います。

男性(主婦業の未経験者)は、その業務を単体で行う場合の推定所要時間を脳内で算出すると思いますが、実際の主婦は、子供の送迎や、来客の対応、子供の遊び相手、学校・幼稚園・保育園などで使う道具の準備や買い物といった、「1つの家事の合間に別の家事を行う」といったように、複合的に絡みながら、しかも常に流動的に変化する波の中で行わなければなりません。

事件は、会議室で起きている訳ではありません。
現場で起きているのです。


そして、各業務も合間で済めば良いのですが、実際には「2つないし3つが並行して行わねばならない状況」が往々に生まれるという点に着目しましょう。

例えば、洗濯物を干すのは、一人暮らしの男性が専念して処理すれば、5分もあれば終わると思いますが、主婦の場合は、家族全員の洗濯物を「こっち来てー!」「見てーっ!」「これやってー!」と全力で邪魔しにくる子供の攻撃をかわしたり、いなしたり、誤魔化したりしながら遂行せねばなりません。

子供は業務遂行を全力で阻止しにくる。


これは、結構ハードなミッションです。
それも、殆ど全ての業務でそれらの攻撃を仕掛けてきます。

主婦が1つ1つの業務にかける(かけざるをえない)時間は、想像の倍以上と思います。

したがって、おそらく男性の脳内にある公式は、多くの場合、

[朝出勤を見送ってから帰宅までの時間]-[各業務の推定所要時間の合計]=[主婦の自由時間]

といった感じだと思うけど、実際には、主婦の自由時間なんて殆どない、という事に気付いてないんですよね。

ここに気付ける、知っていて当たり前になるには、体験するしかなくて、その意味での男性の育休が重要になると思っています。


2.怒涛の割込業務


先の項で、「2つ3つを並行して行わねばならない状況」という表現を使いましたが、実際に業務を大変にする要因は、ボクが思うに主業務よりも、爆発的に、慢性的に生じる副業務=割り込んでくる業務量の多さの方がむしろ大きいかなと思っていて。

子供は業務遂行の阻止に飽き足らず、別業務を追加させる。

例えば、幼児1人・乳児1人のいる家庭の主婦が、銀行までお金を降ろしに行かなければならない日があったとすると。

男性なら、「・・・行けばいいじゃん。」と思いますよね?

ところが、これをある日の実際の現場(主婦の日常)に置き換えて、1日の流れをフローチャートで表してみましょう。
※脳内でドキュメンタリー風の再現VTRにするのも良いと思います。


まずは、参考情報として、
男性の描くフローチャート予想図がこちら。

・朝、朝食を準備し、旦那を送り出し、幼児を保育園に連れていく。
・洗濯する
・掃除する
・銀行に行く
・お昼を食べる(乳児にミルクあげる)
・横になってテレビを見る
・買い物をする
・幼児のお迎え
・夕食準備
・旦那が帰宅


これを、主婦の日常のフローチャートに置き換えると、こんな感じになると思います。

・朝、朝食を準備し、旦那を送り出す
・幼児が着替えを嫌がり登園準備が終わらない
・ようやく着替えも完了して家を出ようとしたら、幼児がうんちをしてオムツ交換の事案が発生
・迫る時間に追われながらようやく登園
・帰宅して朝食の後片付け
・洗濯物を干そうとカゴを持ってベランダに移動するも、乳児がギャン泣きしているので抱っこタイム突入
・ようやく乳児が落ち着いた(or寝た)ので洗濯物を…。
・と思ったらベッドに寝かした瞬間に背中スイッチ発動でギャン泣き再開

★ルート分岐あり(事件発生ルート)
・途中で保育園から電話があり幼児が発熱。
→ お迎えに行くことになり、病院その他で銀行も行けず1日の予定が崩壊end。

★ルート分岐なし(平穏ルート)
・やっと寝てくれて洗濯物を干す。
・掃除機の音で乳児が目覚めて再び(ry
・銀行にいこうとするがもうお昼時なのでとりあえず昼食準備。
・抱っこしたまま片腕で食事(常に片手orオンブで立ったまま)
・午後の寝かし付けで午睡の誘惑と格闘。
・幸か不幸か宅配物のチャイムで午睡タイムを乗り越える。
・出掛けようとするが幼児のお迎え時間が近く断念(翌日に先送り)
・幼児のお迎え。
・買い物に行こうとするも「公園!公園!公園!」。
・スーパーでお菓子を欲しがりおねだり攻撃からギャン泣きのコンボ(※標準装備)
・オンブする乳児がつられて背中でギャン泣き
・商品棚から別のシマに走って、隠れて、はぐれての行方不明事件で捜索タイム
・周囲の迷惑や視線に気を病みつつプリプリしながら買い物を終了。
・帰宅して夕食準備をしようとするが「おやつ!おやつ!アンパンマン!」
・DVDを再生してお菓子を与えて、ようやく静かになったところで炊事開始。
・調理を始めるも幼児が足に絡みつき細かな移動を制限しにくる。
・ギャン泣きの乳児が片腕を占拠。片腕での調理を強いられる。
・障害を排除しつつ料理を完成させるも、狙ったかのように「食べない」「吐き出す」「こぼす」の三択ゲーム開始。
吐瀉物や食べこぼしで汚れた床や服を拭いたり片付けながら、味もわからない片手間の自分の食事。
・旦那の帰宅時間が迫る中でお風呂の掃除、準備。
・帰宅した旦那が食事する傍らで、乳児にミルクを挙げる。
・「今日も疲れたぜオーラ」を出しながら食事した旦那が、出しっぱなしの掃除機や玩具が散乱した部屋で、洗い物もせず、取り込んだ洗濯物の山には目もくれず、労いの言葉もなく、自分だけスマホやテレビに没頭。
・殺意を覚えるも吐き出す時間さえない。
・予定していた事を殆ど完了できていないが、現在進行形で乳児と幼児に呼びつけられる…。
・お風呂に入れる、寝かし付ける、通園バッグの中身の準備や連絡帳のチェックや、何かと多い支払い関係の整理・・・。
子どもが、寝ない。
寝たと思ったら、夜泣き。
・・・まだまだ夜は長い。

・・・まぁ、かなり簡略的に書いてみましたが、どうですかね?

至って普通の、ありがちな日常の景色、ですよね。

なすべき業務を書き出すだけだと然程大変そうに思えない家事でも、
育児と相まって恐ろしいほど業務が増加・細分化し、しかも物理的にも精神的にも激しい制約の中で処理しなければならないことが分かりますよね。

とてもじゃないけど、「おまえ暇じゃね?」とか主婦に向かって言えなくなります…脱帽。


3.精神を疲弊させる無限連鎖


前述の2で書いたフローチャートで既に内容はお察しの事と思いますし、そのままなのですが、主婦の業務の大変さは、怒涛の割り込み業務の多さが大きな要因です。

そして、この割り込み業務の更にやっかいなところは、「業務量が増える」ことだけじゃなくて、「1つの1つの仕事が満足に完了できない内に、次の業務が襲ってくる」という点に、大きな精神的疲弊の要因があると考えます。

例えば、男性陣の職場での業務で置き換えると・・・

・朝一でお客様からお見積もりに関する電話を受ける。
・14時までに見積書をFAXすることでまとまり、電話を切る。
・担当部署に仕入額の確認を行おうとしたころ、通常は社内にいる筈の担当者が急ぎの案件で不在
・戻り時間の確認のため携帯に電話するも圏外。留守電も残せず。
・時間がないので過去の資料を参考に自分で算出する作業に入るが、納品済のお客様から想定外のクレーム案件があり対応に入る。
・対応中のやりとりで、全ての案件で使用するwebサイトのページ内に重大な誤植を発見。
・至急webサイトの修正が必要になるが、データを保管するサーバーに障害が発生中で管理会社に問い合わせしなければならない。
サポートへ電話している間に別の取引先からの着信・折返しの伝言あり。
・折返しの電話を入れると12時に来社が判明。
・取引先に渡す資料を出力しようとしたらプリンターがインク切れ表示。
・インク交換を終えるが今度は用紙切れ
・用紙の在庫を取りに行ったところ担当部署の発注ミスで用紙在庫がないことが判明。
・タクシーで最寄りの取扱店に購入に向かうも突発的な事故渋滞
来社時間までに帰社できず、取引先に事情説明と謝罪。
昼食抜きで資料を出力するも取引先が来社取りやめの連絡あり。
・サーバーの件でサポートへ再度電話しようとしたところ、来社を取り止めた取引先の件で上司の呼び出し
・サーバー復旧の時間が15時頃になるので、取り急ぎ当初の見積書の作成を急ぐ。(この時点で既に13時半)
・見積書のフォーマットファイルが破損している事象が発生。
・不運にも社内の人間は出払っておりコピーファイルの所持者も見つからず。
・何とか作成してFAXしようとしたら帰社したスタッフと肩がぶつかり、相手が手に持っていたコーヒーがこぼれて書類が作り直し
・慌てふためくもデスクで事後処理に追われる自分を見かけた上司が一言、「あれ?まだ終わってないの?


・・・もちろん、一見すると無茶苦茶なようですが、ただやるべき仕事が多いだけでなく、想定外の事象がめまぐるしく立て続けに起こり、しかも1つ1つのタスク処理が完結する前に、次々と新しくしかも急ぎのタスクが襲ってくるという意味で、実際、こんな感じだと思います。


精神的にやられますよね。
単なる業務量だけじゃないんです。
何一つ思い通りにいかない。
順序よく処理できない。
効率よく予定通りに処理できない。
原因が自分にない事象で自分の業務が増える。
それが毎日なんです。


この、何一つ思い通りにいかず、1つ1つが完結できないままに、次々とやらねばならない事が舞い込み、当初の予定が当然のように達成できずに忙殺されていく。

まさに無限連鎖、達成感を得られないままに忙殺され、
それが延々と日々繰り返される慢性的なストレス。


***

世の主婦の「大変さ」の本質を知ると…
あとは分かるな?


世の主婦の「大変さ」量もさることながら、この精神的な負担なのではないかな、と思います。

これらを知って尚、世の中の多くの奥さん、主婦、母親(が役割を担う事が多い家事育児)の方が、自分より楽だと思える男性は余りいないのじゃないかな、と思います。

あぁ、ちなみに、当然ながら休みも無いですからね。もちろん。

朝に家族を送りだした後は、適当に昼メシくって、洗濯もん片付けて、気が向いたら掃除機かけて、あとの時間は横になってゴロゴロしながらテレビ見れんだろ?俺より楽に決まってら~

・・・こんなこと、もう口が裂けても言えなくなったんじゃないでしょうか。

さぁ、家の事はパートナーに任せきりの皆様、主に男性の皆様、今日は会社帰りにケーキの1つでも買って、家に帰ったら、奥様に「いつもお疲れ様。有難うね。」と労いの言葉でも掛けてあげてはどうでしょうか(笑)


※もちろん仮に専業主婦でも、家族構成やパートナーの仕事の内容や、様々な条件・性格・価値観で変わると思いますし、一概に全ての男性・女性に当てはまることだとは思いません。
使用した「主婦」も性別も、あくまで便宜的なものです。

以上、ナツキのパパでした。

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育児日記

過去のボクは昭和の固定観念や慣習に縛られ、自分や家族を苦しめていた事に気付きました。今は、同じ想いや苦しみを感じる人が少しでも減るように、拙い言葉ではありますが微力ながら、経験を通じた想いを社会に伝えていけたらと思っていますので、応援して頂けましたら嬉しいです。