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東京から金沢ー新幹線とか寿司とか。

新幹線に乗り込んで金沢に向かう多くの外国人を眺めながら、毎年使う英作文の演習本の一文を思い出していた。

「旅の楽しみ方は人それぞれであろう。名所旧跡めぐりもよいが私ならまず食べ物である。」

もう30年ぐらい前。1時間半ぐらいかけて汽車(電車ではない)とバスを乗り継いで市内の高校に通った。その頃の金沢駅は0番線なんてよくわからないプラットフォームがあり、駅周辺は若干、廃れていた。私が3年間通学に使ったローカル線の1両目はビーバップハイヒール風なヤンキー高校生(今もいるのか?)たちに占拠されてて、タバコの匂いがする車両で、クソ真面目に単語帳なんか開いてた女子高生時代が懐かしい。

そんな田舎の、めちゃくちゃローカルな駅から今ではすっかり様変わりした金沢駅を歩きながら、何がそんなに魅力でこの街にやってくるのだろうとふと思った。

金沢にUターンした14年前。まだ東京の会社に籍を残していたので毎週通っていた。移住から数年経ち、こっちの仕事が忙しくなって東京に全く行かない時期もあったが、5年前に東京に教室を開いてからは月に2ー3度は行っている。いつも私が行かないといけなかった。

その暮らしも去年ぐらいから少しずつ変わってきている。東京に行かなくても金沢に来ていただけるようになった。ベトナムからアメリカから東京から大阪から、いろんなところから友人や仕事のパートナーが金沢を訪れてくれる。

金沢に来る人のほとんど、私の友人に限ってはほぼ全員、旅の目的は食事だ。この街にある食文化が訪れる人の大きな魅力となっていることははっきりしている。兼六園の桜も松も雪吊りも、茶屋街の街並みや21世紀美術館の美しい建築も、どれもこれも金沢が持つ食文化の圧倒的な魅力には到底勝てないような気がする。

先日行ったお寿司屋さんの隣に座っていた韓国人の若い女の子2人。直行便で金沢に来たそう。今回は金沢だけの訪問。慣れた感じで英語で対応する大将。訪れる観光客の楽しみはやはり食、特に寿司なのだろう。

最初の英作文の一文に戻るが、高校生に和訳をさせると「まず」の部分をほぼ必ずat firstと直訳してしまう。食べ物が旅の一番の楽しみ、大事なことであると解釈して訳さないといけない。金沢を訪れる多くの人にとってそうであるように、その土地に根付く食文化の体験が旅のthe best partであると考える人はきっと多いと思う。

金沢の寿司は本当に素晴らしい。でも、2度目、3度目の金沢はいわゆるお料理屋さんにもぜひ足を運んでほしい。寿司のような素材の圧倒感とはまた違う、季節感あふれる繊細なアートがお料理で表現されてる感じもまた楽しいのだ。








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